コンクリートブロック塀のある住宅の注意点
買おうとした住宅の敷地と隣地との境界にコンクリートブロック塀があったということはないでしょうか。ブロック塀と聞いて一般的に想像する塀のことです。
特に何も気にしない人も多いですが、このブロック塀にはリスクがあるため、住宅購入時のチェックポイントの1つとして考えておいた方がよいでしょう。それでは、そのリスクとはどういったものでしょうか。
コンクリートブロック塀のリスク
ブロック塀の抱えるリスクを1つずつ見ていきましょう。
ブロック塀は倒壊しやすい
ブロック塀はその構造・仕様などの条件によっては、倒壊しやすく大変危険です。全てのブロック塀が危険だというわけではなく、構造や仕様などの条件によります。その見分け方については後述するので確認してください。
ブロック塀が倒壊したときの被害が大きい
コンクリートブロック塀はなかなか重量があります。倒壊したときには、住宅の外壁や基礎に衝突して建物を傷めてしまう可能性もありますし、倒壊したときにそこに子供がいたら大変ですね。新築住宅であっても、境界にあるブロック塀は古いままであることも多く、十分に注意して購入判断したり、購入後に対処を検討したりしたいものです。
地震のときにブロック塀が倒壊した事例は多いですが、隣地の工事の振動で倒壊した事例もあります。ブロック塀の構造や仕様、劣化状態によっては倒壊する可能性があり、その被害が決して小さくないことを理解しておきましょう。
防犯上の問題
ブロック塀の高さが高すぎる場合、防犯上の問題があるのをご存知でしょうか。泥棒は、敷地内に侵入後に敷地外から内部が見えづらい環境を好みます。高い塀がある方が侵入の妨げになるのでよいと考えるのは誤りですから、高いブロック塀のデメリットとして認識しておきましょう。
建物本体でもないにも関わらず、意外とブロック塀のリスクが大きいことがわかりますね。それでは、住宅購入時に確認しておきたいブロック塀のチェックポイントや注意点をあげます。
ブロック塀のチェックポイントと注意点
コンクリートブロック塀については、建築基準法の施行令において規制があります。その内容の要点を書きだしますと、以下のようなものです(他にも規定あり)。
- 高さは1.2m以下(但し、以下の条件を満たせば2.2m以下でもOK)
- 壁の厚さは15cm以上(但し、高さ2m以下なら10cmでもOK)
- 径が9mm以上の鉄筋を使う
- 壁内の鉄筋のピッチは80cm以下
- 塀の長さ3.4m以下の間隔で控壁を設ける(控壁も径が9mm以上の鉄筋を使う)
残念ながら全てのブロック塀が上記の規定通りになっているわけではありませんので、買主としては確認しておきたい項目です。
ブロック塀の高さ・鉄筋・基礎・控壁
原則的には高さは1.2m以下とされていますが、条件付きで2.2mまでの高さが認められています。安全性を考慮すれば、1.2m以下が好ましいでしょう。
大事なチェックポイントとしては、鉄筋が使用されているかどうかです。塀の内部に鉄筋を配していないブロック塀もありますが、倒壊リスクが高まります。
鉄筋のないブロック塀と同じぐらい怖いのは基礎のないブロック塀です。地中にブロック塀を指しているように設置し、積み上げているケースがあります。高さが低くても(例えば1mであっても)倒壊するリスクが高いですから注意したいです。
ブロック塀の長さが3.4m以内ごとに控壁を設けなければなりません。控壁とはブロック塀に対して垂直方向に設けられる壁です(以下の図を参照)。
この控壁がなければ、倒壊しやすいのはイメージできますね。ちなみに、この控壁にも鉄筋が配されている必要があります。
ブロック塀の劣化具合のチェック
規定以外に現地で確認したいポイントとしては、ブロック塀の劣化具合の確認です。目視で、大きなひび割れがないかどうか確認することと、軽く触ってぐらつきがないかも確認してください。このときに、注意したいのは「軽く」触って確認するということです。
実際にあった話ですが、ぐらつきなどの異常を確認しようとしてブロック塀を押したところ、その行動によって大きく傾いてしまったということがあります。劣化が激しい場合にはありうることであり、購入前であれば、その所有者との間でどちらが補修等の負担をすべきかでもめることにもなります。
買主としては、元々劣化していたから売主(=所有者)が補修すべきと言いたいところですが、売主は元々の劣化を認めずに交渉がまとまらないという事態になっています。
ブロック塀と建物本体の位置関係
ブロック塀と建物本体の位置関係で問題となる事例もあります。ブロック塀には基礎が必要ですが、建物本体との位置関係が近い場合には、お互いの邪魔になってしまうという問題です。
特に、更地を購入して住宅を新築しようとした場合に、ブロック塀の基礎があるため、建物をその境界近くに配置できないというケースを何度か目にしてきました。そのブロック塀があなたの敷地内にある、つまりあなたの所有物であるならばブロック塀を撤去して別の対応を考慮することもできますが、隣地の所有物である場合や隣地との共有である場合には隣地の承諾が必要になり、相手次第では話が複雑になってしまうことがあります。
都会では限られた敷地に住宅を建築するため、仕方ないから建物の配置をずらそうと簡単にプランを変更できるものではありません。こういったリスクがあることも理解しておきましょう。
ブロック塀とフェンスの組み合わせ
最近の新築住宅では、隣地との境界に高さ1.2m程度やそれ以上の高さのブロック塀を構築することはほとんどありません。冒頭で述べたようなリスクがあるため、ブロック塀は不動産会社としても好んで選択することはありません。
代わりによく見られるのは、低いブロックとフェンスの組み合わせです。たとえば、2~4段程度のブロック塀の上にフェンスを設置するものです。
これであれば、見通しが良くて防犯上のメリットがあり、さらにフェンスが軽いため倒壊リスクが低く、倒壊しても被害はそれほど大きくなりません。また、狭小地の住宅同士であれば、境界に1段か2段のブロックだけとしてフェンスも設置しないことがあります。
これは、人が建物の横や裏側へ通るためのスペースを確保するためのもので、将来のメンテナンスを考える上でよいことだと言えます。その住宅の条件に応じた対応ということですね。
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