新築の建売住宅の値引き交渉のコツと注意点
これから新築の建売住宅を探そうとしている人、もしくは今まさに建売物件の購入申し込みをしようとしている人の多くは、できる限り安く購入したいと考えていませんか?誰でも同じ物件ならば、安く買えた方がよいと思うものですね。
新築の建売住宅は、値引き交渉次第では本当に値下げを実現することも可能な場合が多いです。値引き交渉をすること自体は何も失礼なことではありませんから、ここをよく読んでから値引き交渉にチャレンジしてはいかがでしょうか。
建売住宅の値引き交渉を成功させるための6つのコツ
値引き交渉を闇雲に行えばよいというわけではありません。新築住宅ならば販売状況なども影響しますし、市場環境も影響します。値引きを成功させるためのコツを確認しておきましょう。
- その物件の購入を真剣に考えていることをアピールする
- 購入申し込みと同時に値引き交渉する
- 希望価格よりも低めの金額で交渉を開始する
- 購入してもよい価格の上限を決めておく
- 販売状況(販売期間・売れ残り棟数)を把握する
- 地域の価格相場を把握する
上に6つのコツをあげましたが、これを1つ1つ説明していきます。
その物件の購入を真剣に考えていることをアピールする
売主の立場で考えれば当然のことですが、簡単に値下げに応じるようなことはしたくありません。「あの物件は簡単に値下げしてもらえたらしいから、この物件も値下げしてもらえるのではないか」などというイメージが付くのは好ましくないですよね。
売主としては、冷やかし程度の人に対しては例え値下げを考えていたとしても、交渉を断ることがあるのです。
その建売物件を本当に購入したいと考えているのであれば、真剣さが伝わるようにしなければなりません。では、真剣さを伝えるにはどうすればよいのでしょうか。それは購入の意思表示を明確にするということです。この意思表示は書面で行うべきです。購入申込書に署名して意思表示を明確にしましょう。
購入申し込みと同時に値引き交渉する
購入の意思表示を書面で行うことは、つまり購入の申し込みという手続きです。値引き交渉をするのであれば、この申し込みのタイミングで交渉を開始するのが大事なポイントです。売買契約を締結する寸前になってから、価格交渉を試みる人がいますが、こういった人は売主に敬遠されることがあります。
購入の申し込み時に提出する署名(購入申込書)に購入希望の金額を明記して提出するところから、交渉が始まると考えてください。
希望価格よりも低めの金額で交渉を開始する
次のコツは購入申し込み時に初めに提示する購入希望金額の設定です。この金額は慎重に検討しなければなりません。初めに提示した金額で売主が承諾したとき、買主が「もっと値下げしてもらえたのではないか」と考えて、さらに低い金額を申し出ることがありますが、このようなことをすると売主に警戒されて相手にされなくなることがあります。
購入希望金額を徐々に上げていくことはできますが、売主が承諾した後に下げていく方法はすぐに交渉決裂となってしまう可能性が高いのでお勧めしません。
また、購入希望価格に対して一度で承諾してもらえるケースはあまり多くありません。もちろん、希望する値引き金額にもよりますが、200万円程度以上の値引き交渉となれば一度では無理なことも多いです。100万円以下ならば可能性は十分にあります(但し、価格帯などにもよることをよく理解しておきましょう)。
仮に、4,980万円の販売価格の建売住宅であったとして、本音の購入希望額が4,800万円ならば、もう少し低めの金額(4,700万円など)で交渉するといったイメージです。このとき、仲介業者に本音を先に言ってしまうと本音の金額で話をまとめてきてしまうことがあるので、注意してください。仲介業者は見方とは限らないことを知っておくべきです。
購入してもよい価格の上限を決めておく
値引き交渉はうまくいくとは限りません。上手くいかないときには、いくらまでならば購入しても良いか交渉開始前に決めておいた方がよいでしょう。なぜならば、交渉の過程で気持ちが熱くなってしまい、思っていたよりも高き価格で購入することになってしまう人は非常に多いからです。上の例で、4,800万円以下ならば買ってもよいと決めておくと、その希望が通らなかったときに気持ちが熱くならずに引き下がりやすいというものです。
ちなみに、こうして引き下がった後、売主から妥協してくることもあります。
販売状況(販売期間・売れ残り棟数)を把握する
購入の申し込み時に価格交渉を開始するわけですが、そもそも値引きしてもらえそうな物件であるかどうかを把握しておきたいものです。例えば、新規で販売開始したばかりの物件で、かつ見学者も複数いるような状況であれば売主が値引きに応じる可能性は低いです。
当然のことながら売主は値引きしたいわけではありませんが、販売価格で買ってくれる人がいるならば、その人に売ります。どうしても欲しいと思った物件で、本当に人気がありそうならば値引き交渉をあきらめることも必要です。どんな建売住宅でも値引きできるわけではありません。
売主が値引きに応じる可能性が高い物件は、販売開始してからの経過期間が長いものです。この期間は一定のものではなく、3カ月程度で値下げに応じることもあれば、半年程度経過してから応じることもあります。
また、複数の物件を開発して販売しているケースでは、売れ残り物件の棟数によっても売主の判断を異なります。何カ月も売れない物件が多いとなれば、値引きにも応じやすいわけです。
地域の価格相場を把握する
これは基本的なことですね。その地域における同程度の建売住宅と価格を比較してみましょう。相場よりも高いと感じるものは、値下げしてもらえる可能性が高いです。比較するべき項目は、土地の大きさ、建物の大きさ、そしてグレードです。これらが全て似たような条件であれば比較しやすいですが、そういった物件がない場合は対象エリアを広げて確認するなどの対応が必要です。
できれば、普段からその地域の物件の情報をインターネットなどで見ておき、ある程度は相場間隔を養ってから本格的に購入に踏み切ることがオススメです。
建売住宅の値下げ交渉で知っておきたいこと及び注意点
新築の建売住宅の値下げを考えるうえで、知っておいた方がよいことがあります。ここでは、そういった知識、情報をお伝えします。
- モデルハウスの値下げと注意点
- 売主から値下げするなら候補者に連絡する
- 新築物件はいくらまで値下げするか
- 一般的な建売物件の値引き交渉の流れ
- 着工前の物件の値引き交渉は図面・仕様書を入手してから
ここでお伝えするのは上の5点です。それでは1つ1つ見ていきましょう。
モデルハウスの値下げと注意点
多数の棟数を分譲する建売住宅の販売現場では、はじめにモデルハウスを建築することも多いです。モデルハウスとはいえ、販売が進んでいくなかで誰かに売ることが前提となっています。
モデルハウスとして使用されてきた物件は、多くの人が出入りしたという事実が心理的にマイナス要因になること、また内装仕上げ材等に傷・汚れなどが生じることなどから、他の物件よりも安く販売されることが多いです。なかには家具付きで分譲されることもあり、お得感を感じる人も少なくありません。
モデルハウスとして使用された住宅を購入するときに注意したいのは、建物の状態です。完成後の経過期間がやや長いために劣化している個所があることもありますが、何よりもモデルハウスでは見えない部分の施工が粗い事例がいくつもあるのです。
建売住宅とはいえ、床下や屋根裏のスペースは点検口から確認することができますから、普段は目にすることのない床下・屋根裏こそしっかり確認してから購入した方がよいでしょう。値下げされたからとは言っても、大事な部分に施工不良があっては元も子もないですね。
売主から値下げするなら候補者に連絡する
購入を希望していた新築住宅で、購入希望額の折り合いがつかずに別の物件を探していると、その物件の売主から「値下げするのでもう一度購入を考えませんか?」と連絡がくることがあります。一度はあきらめた物件であっても、値下げするならば考えようと思うこともあるでしょう。
このとき、売主はあなたにだけ値下げを打診しているとは限りません。購入する可能性があると判断した候補者に対して一斉に連絡を入れていることがあるのです。値下げ幅によっては、他の人がすぐに購入を決断することもありますから、検討するならば急がなければならないこともあります。
ここで無理にその価格でも買う必要はないと考えている人ならば、あえてもうしばらく期間が経過してから、まだ売れ残っているか確認し、残っているならばそこから強気の価格交渉をするのも1つの方法です。
新築物件はいくらまで値下げするか
「新築の建売住宅はいくらまで値下げするのか?」と何度も聞かれましたが、明確な答えはありません。物件によって様々です。その時の市場環境が悪かったり、他の販売現場へ人員を割きたいと考えたりしたときなどは、大幅な値下げに踏み切ることもあります。
驚くことに20%程度もの値引きを行った現場もあるほどです。まさに赤字覚悟の値下げですね。
一般的な建売物件の値引き交渉の流れ
値引き交渉をするならば、一般的な交渉の流れを把握しておいた方がよいでしょう。
- 対象物件の見学
- 購入の申し込みと同時に購入希望額を提示
- 売主から値引きに関する回答(逆に価格を提示することも多い)
- 買主から再度、購入希望額を提示
- 売主から値引きに関する回答
- 売主と買主で価格等の条件で合意
- 売買契約を締結
上のうち、3~4を何度か繰り返すこともあります。また、売主は価格交渉に対応しながら時間を稼いで、その間に他に購入希望者が表れないか様子を見ることもあります。交渉が長引けば、他の希望者が表れる可能性は高くなりますね。
但し、交渉が長引けば買主の買いたいという気持ちが冷めることも多く、売主がこれを警戒して交渉を急ぐこともあります。つまり、価格交渉のへの回答が遅いほど別の買主を探したいと考えている可能性が高いということです。
着工前の物件の値引き交渉は図面・仕様書を入手してから
新築の建売住宅は、着工する前に販売開始することも多いです。着工前の物件を購入しようとして、値引き交渉するのであれば、交渉開始前に建物の図面や仕様書を入手しておいた方がよいです。
なぜならば、値引きに応じるふりをしておきながら、物件のグレードを下げることがあるからです。値引きの分だけグレードダウンしていたのであれば、買主にとってはメリットが無いですね。グレードダウンしてでも値下げしてほしいのであればよいのですが。
図面と仕様書で建物のグレードを確認してから、そのままの条件で価格だけを下げてもらうように交渉するとよいでしょう。
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