質問内容
ある中古物件を内見して気に入ったため購入を検討中です。契約する前に第三者の建築士に住宅診断(ホームインスペクション)をしてもらう予定でいます。
ただ、その物件は売主がまだ居住中で住みながら売却しているものですから、住宅診断(ホームインスペクション)を実施できるのか不安です。実施できたとしても、家具や家電もあるので診断するうえで邪魔にならないでしょうか?
売主居住中の中古住宅の診断を依頼する場合に何か注意点はありますか?
回答内容
日頃から多くの住宅診断(ホームインスペクション)をしておりますと、「売主が居住中の中古物件に対して住宅診断(ホームインスペクション)を入れることができるのか?」とご質問頂くことは多いです。
結論から言えば、売主が居住中でも実施可能です。
売主が居住中の物件でも住宅診断(ホームインスペクション)の利用は多い
中古住宅は、売主が自ら居住しながら売却し始めることが非常に多いですが、そのような物件に対しても住宅診断(ホームインスペクション)をされる買主も非常に多いです。
中古住宅の購入を検討される方のなかには、売主に対して遠慮しすぎる方が多いようです。しかし、売主としても売却するためには、買主が納得するように診断してもらうことはそれほど拒否反応を示すようなことではありません。もちろん、個人差があることですから一概に言えることではありませんが。
売主にもメリットがある
実は買主が購入前に住宅診断(ホームインスペクション)することについては、売主にとってもメリットがあります。それは、売買後(買主が買った後)の買主からのクレームが減るということです。
自分が住んでいた家とはいえ、売主が気づかずにいた建物の不具合や異常が存在していることがあります。そのことに購入後に気づいた買主が売主へクレームを出し、補修等を要求することがありますが、購入前に調査しておくことで買主がそういった不具合を知った上で購入判断することができ、それでも購入するならば売主へクレームをつけないことになるからです。
もちろん、何か重大な不具合などが見つかることで買主が購入を中止することもあるため、それをデメリットだと売主が考える可能性はあります。しかし、売買した後のトラブルを未然に防ぐことは売主にとってもメリットだと考えた方がよいでしょう(全てのトラブルを排除できるわけではないが発生確率は下がる)。
買主にとってのデメリット
売主居住中の物件に対する住宅診断(ホームインスペクション)に関しては、買主にとってデメリットとなる点もあります。それは、診断時点で家具や荷物などがあるために専門家といえども見えない範囲が増えるという点です。
たとえば、冷蔵庫やタンス、棚などがあるスペースでは、その家具の裏側の壁やその真下にあたる床の状態を目視確認することができません。調査・診断を行う専門家にとって、目視できない箇所については原則として判断ができないため、このことは買主にとってはデメリットであると言えます。
買主が取り得るこれに対する対策としては以下の方法が挙げられます。
- 売主が退去後に(空家になってから)診断依頼する。
- 売買契約後・引渡し前に診断依頼する。
- 売買契約前の家具等があるときと上記2の2度、診断依頼する。
上記1については、売買契約前に売主が退去する予定があるならば、退去を待ってから住宅診断(ホームインスペクション)してもよいでしょう。この場合には、そのときまで物件を止めておいて頂けるかどうかが1つのポイントとなりますので、不動産仲介業者と相談してください。
上記2は売買契約前の診断をあきらめることになるため、何か重大な不具合等が見つかった場合に購入を中止することが難しくなります。上記3は当然ながら住宅診断(ホームインスペクション)にかけるコストが高くなってしまいます。
こういったことを考慮して、総合的に依頼するタイミングを考えなければなりません。ちなみに、多くの方が、売主が居住中のときでも、売買契約の前に住宅診断(ホームインスペクション)を利用する方法をとっています。つまり、家具等の荷物がある状況での診断依頼をしているということです。
もちろん、居住中に診断をして契約した買主としては、売主が退去した後にせめて自分自身の目で家具等のあった場所に何か問題がなさそうかどうかチェックすることは忘れないようにしましょう。専門家の診断に立ち会った後であれば、どういったところを見ればよいか、多少はイメージできるようになっていることでしょう。
そのときに気になる症状があれば、その点について診断してくれた専門家に相談するのも良い方法です。