中古住宅の床下

 中古住宅を購入する際に、建物の劣化状態などを確認するために住宅診断を利用する方は多いですが、この建物調査はあくまで調査したときの現況を診断するものです。

 その第三者による住宅診断をした中古住宅を購入した後、多くの購入者がリフォームをされます。リフォームの内容は、壁のクロスを張り替える程度のちょっとしたものから、住宅診断で見つかった不具合の補修であったり、水周り設備(キッチンやバスなど)を交換する規模の大きなものであったりと様々です。

シロアリの事例

 中古住宅購入後のリフォームでは、様々なトラブルがあります。1つは工事そのものの施工不良によるトラブルで、もう1つの代表的なトラブルは悪質なリフォーム業者による不要な工事受注です。

 ここでは、後者の不要な工事について事例をあげておきます。

 アネストが住宅診断をした中古住宅を購入したお客様から、

 「リフォームしようと思ってリフォーム屋さんに見てもらったら床下にシロアリがいた。
  しかも、被害は大きい、、、」

という連絡が入りました。

 希望された調査内容などにもよりますが、依頼いただいた住宅診断で、被害が既に広範囲に進行しているようなシロアリ被害を見過ごすことがあっては、一大事です、、、(そんなことはないはずと思いながら対応させていただきました)

 そこで、現場確認に伺う旨をお伝えして、すぐに日程を決めました。しかし、翌朝にそのお客様からお電話があり、

 「もう一度、建築士に見てもらうとリフォーム屋さんに伝えたところ、突然、『シロアリは見間違いだった』とリフォーム屋さんが言っている」

とのことでした。「やっぱり、、、」と思ったわけなのですが、お客様もバツが悪そうでした。悪質なリフォーム業者が嘘をついて不要なシロアリ駆除や補修工事を受注しようとしたものであり、危うくお客様が被害者になるところでした。

 リフォーム業界は、お客様から依頼された工事以外にも、このような手口で追加工事を受注して売上をあげようとする業者が少なくありません。そういった業界であることを認識されていないと、簡単に被害にあってしまいます。

漏水・ひび割れの事例

 シロアリの事例では、たまたまアネストに住宅診断を依頼していた経緯があったので、連絡をいただいたことをきっかけにリフォーム業者の悪事がわかりましたが、気付かずに不要な工事をしている方も少なくないことでしょう。

 シロアリ以外でも、床下の排水管から水漏れしているという話があったが、確認に伺うとそのような被害は全くなかったり、不要な換気扇が床下に大量に設置されているというので住宅診断時の床下の写真を確認すると1つもなく、お客様ご自身でも潜ってみたところ何もなかったり、、、

 ちなみに、床下の換気扇は、換気状態が悪い住宅に対して設置することもありますが、悪質な業者が明らかに過度な数を設置することがあります。そういった被害にあっている住宅なので、換気扇を取り外すべきだと業者が言っていたそうです。1つもないのに、、、

 また、外壁面の軽微なひび割れ(構造的に何ら影響のないヘアークラック)をもって耐震性の不安を煽って耐震補強を提案していいたケースもありました。

 中古住宅の購入とリフォームはセットになっているようなところがありますが、リフォーム業者次第では不要な工事を提案されたり、実施されたりして被害にあう可能性があるので十分に注意する必要があります。

 少し変わった事例としては、リフォーム業者がリフォーム工事のミスを隠ぺいするために、元々の異常だったと主張したこともありました。

 外構の補修工事を依頼されたリフォーム業者が、塀の基礎部分をなぜか破壊(ありえない!)してしまい、明らかにその破壊工事によって塀が大きくぐらついているにもかかわらず、元々塀がぐらついていたと、、、

 基礎を破壊しておいて、そのような子供のような言い訳をするなんて、、、しかし、一般の方にはこの言い訳ももっともらしく話をされると信じてしまうこともありますし、それもやむを得ないことかもしれません。現地確認の後に、説明するまでリフォーム業者の説明をそれほど疑ってはおられませんでした。

 建築や不動産は、専門的な知識を有することが多く難解であるため、一般の皆様にはなかなか適切な判断はし辛いものです。そこをついてくるリフォーム業者は多いため、リフォームには信じられないようなことが起こりうるので、注意して頂くしかないですね。

ホームインスペクションのアネスト

ホームインスペクション
第三者の一級建築士が、住宅購入・新築時などに建物の施工ミスや劣化具合などを調査する。新築(建築途中および完成物件)・中古住宅に対応。安心してマイホームを購入できる。