売主の瑕疵担保責任と10年保証

不動産の売買においてよく注意を促される項目として、瑕疵担保責任というものがあります。売主には瑕疵担保責任があり、対象の物件に瑕疵があれば、買主から売主に対して補修等を請求することができるというものです。

新築住宅と中古住宅で、その内容は異なります。また、売主が不動産会社であるか、それ以外であるかによっても異なります。

新築住宅における売主の瑕疵担保責任

新築住宅の売買契約では、売主は不動産会社になりますが、対象物件が買主に引渡されてから2年以内に請求した瑕疵に限り売主が責任を負う内容で取り決めることが多いです。もし、2年未満の期間とした契約であれば、その条項は無効となります。

ちなみに、宅地建物取引業法では2年以上の期間とすることを定めておりますが、3年や5年などの期間を定める契約はほぼなく(見たことがない)、下限の2年としている契約ばかりです。

10年保証と呼ばれるものがありますが、これは上記の「引渡しから2年以内」とは別で、主要構造部や雨漏りに関する瑕疵のみが対象となります。

参照:新築住宅の10年保証とは?

中古住宅における売主の瑕疵担保責任

中古住宅の瑕疵担保責任については、売主が不動産会社であるかどうかがポイントになります。売主が不動産会社である場合は上記の「引渡しから2年以内」の期間と定められることが一般的です。2年以上の期間とすることもできますが、そのような契約を見たことはありません。

売主が不動産会社ではない場合(一般個人の方はこちらに該当する)、売主の瑕疵担保責任を免責としたり、引渡日から短期間の設定としたりします。買主としては、売主の瑕疵担保責任を免責にするのは好ましくないため、短期間であっても設定してもらいたいところです。

瑕疵担保責任を設定する場合は、1~3カ月程度の期間が一般的です。

境界の確定と確認

住宅に関するよくあるトラブルの1つに境界問題があります。隣地と境界の位置について認識が食い違い、どこまで自分たちの土地であるか揉めてしまうものです。

住宅の売買をする時点で、その売主と隣地の間で境界問題が既に表面化しているケースもありますし、その時点では表面化していなくても、購入したあとに何かをきっかけに表面化することもあります。

そのきっかけとなる何かとは、たとえば、建替えや増改築のとき、または境界にある塀やフェンスの補修・交換の必要性が生じたときなどです。隣地の所有者が相続や売買によって代わったときに表面化することもあります。

購入した後に建替えや増改築をする可能性はどの住宅でもありうることですから、境界が明確であるか確認してから売買契約をしたいものです。境界位置については、現地で引渡し前に確認することが売買契約に記述されているはずですが、その内容を確認しておきましょう。

現地では、地積測量図を見ながら、境界の位置を目視確認していく必要があります。 境界が明確でない場合には、できれば売主の負担と責任で隣地と話し合って明確にしてもらってから契約をするよう交渉してみましょう。契約後に明確にしてもらうのであれば、それを条件として付けたうえで、いつまでにするのか時期を明記してもらうべきでしょう。その時期は、引渡しまでとすることがお奨めです。

担保権(抵当権・根抵当権)等の抹消

購入する住宅には、売買契約の時点では抵当権などの何らかの権利が設定されていることはよくあることです。売主が購入した時の住宅ローンの抵当権であったり、売主が事業資金の融資を受けるために担保として不動産を利用したときの根抵当権であったり、その他にも様々な権利が登記されていることがあります。

登記されていないものも可能性としてはありえるものです。

こういった権利が残ったまま買主が購入するわけにはいきませんから、これらの権利については抹消してもらわなければなりません。

売主の責任と負担において、所有権の移転までに抹消することが売買契約書に記述されているはずです。「所有権の移転まで」という時期については、実務上は、所有権の移転をするときと同時に抹消手続きをすることが多いです。

売主は、その住宅の売却資金を融資の返済に充当することで、抵当権などの権利を抹消することが多いからです。

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