建売住宅を購入する時の諸費用

建売住宅を購入するときに必要となる諸費用について、その項目などを解説します。

注意すべき費用の項目

建売住宅を購入するときにいろいろなトラブルに巻き込まれて相談を受けることがありますが、今回は代表的な事例として諸費用に関することを取り上げます。同様のトラブルに巻き込まれて「事前に確認しておけばよかった」と後悔されている方は少なくないので、十分に注意してください。

建売住宅に関する諸費用の注意点としては、どのような項目の費用があり、それぞれの金額がいくらであるかを売買契約の締結前によく確認するということです。一般的な建売住宅の売買では請求されないものや、売買価格に含まれていることが多いものを別途費用として請求するケースがあります。

「この価格であれば安いかな」と考えて購入を決断した建売物件なのに、契約のときによく種類を確認しなかったがために様々な諸費用を請求されてしまい、最終的には何も安くないということもあります。

諸費用の目安としては、売買代金に対して以下の割合を参考としてください。この範囲に入っていないようであれば、何か疑わしいものがあるかもしれません。

  • 仲介手数料が不要な取引 : 3~5%程度
  • 仲介手数料が必要な取引 : 6~8%程度

※参考ページ:住宅購入にかかる諸費用は大凡どれぐらいか

実際にどのような諸費用項目で誤魔化しや過大請求がなされているのか具体的な項目をあげていきます。ちなみに、これらは違法というわけではなく、一般的な取引と比べてどうであるかを述べているものです。

今までに見られる事例では、以下の諸費用の項目が一般的な建売物件の取引と違ったものとして確認されています。

  • 住宅ローン代行料・斡旋費
  • 水道分担金(負担金・納金)
  • 建築確認費
  • 地盤調査費・地盤改良費
  • 住宅瑕疵担保責任保険の保険料等
  • 給排水の工事費

上記について順に説明していきます。

住宅ローン代行料・斡旋費

住宅ローンの手続きをサポートしたり、書類手続きを代行したりするのにかかる費用として請求されることがあります。

実際には申込書は買主本人が書かなければなりませんので、金融機関への書類提出や必要書類の徴求の代理を行う程度で、大した時間も手間もかかりません。なかには、必要書類の徴求は買主本人が行い不動産会社は申込書を銀行へ持っていくだけでこの費用を請求するケースもあります。

大手不動産会社では、このような費用を請求することはほとんどありません。その他の不動産会社で請求する場合でも10万円程度までが相場ですので、20万円やこれを超える金額の場合には信頼できる不動産会社とは言えないでしょう。

水道分担金(負担金・納金)

新築したときには水道の引き込みに際して、水道分担金がかかることがあります。名称は自治体によって異なりますし、自治体によってはかからないこともあります。

この水道分担金は、本来の建売住宅の売買であれば、売買価格に含まれているべきだと考えられます。建売物件の事業主(売主)が企画・開発・建築していく流れの中で生じる必要な経費のようなもので、こういった費用を含めて物件の売り出し価格を提示するものです。

しかし、地域性もありますが水道分担金を本体価格とは別に表示し請求するケースは多く、不動産業界の慣習のようになっている部分もあります。買主としては、水道分担金が別途請求であるかどうか確認しておき、別途であれば売買価格の一部だと考えて購入判断すればよいでしょう。

建築確認費

建築確認とは、建築物を建てるために必要な行政手続きの1つで、必要な図面等と共に建売物件の事業主が申請して建築の許可を得るものです。建売住宅を分譲するためには当然にかかる費用で、この建築確認費用は売買代金に含まれることが一般的です。

稀にこの費用を別途請求する不動産会社もありますが、正直なところ悪い印象を受けます。物件価格を少しでも安く見せておいて、別の費用で請求することで、全体の価格の辻褄を合わせている印象もあります。

ちなみに、建築確認費の実費は10万円程度までなのですが、この費用を請求する業者はかなり上乗せしていることが多く、40万円や50万円もの金額を請求をされている買主もいます。買主としては売買契約の前に確認しておきたいものです。

地盤調査費・地盤改良費

新築する前には地盤の状況を調査し、軟弱地盤であるならば、地盤補強や改良工事を行います。新築住宅であれば地盤調査は必ず行っているはずですが、その地盤調査費用を買主に請求している事例もあります。

建売住宅ですから、地盤調査費用は売買価格に含まれるべきものですが、別途請求しているのですから、困りものです。また、地盤補強や改良工事を行う場合にその費用も別途請求することもあるので注意しなければなりません。特に地盤改良工事は100万円単位になっていることもありますので、後から知ったというのでは納得できませんね。

住宅瑕疵担保責任保険の保険料等

新築住宅では、住宅瑕疵担保責任保険へ加入するか法務局へ供託することが義務付けられています。中小・零細の不動産会社であれば、住宅瑕疵担保責任保険へ加入することが多いですが、その保険料や現場手数料といった実費分を買主へ請求していることがあります。なかには、この費用にも利益を上乗せしていることもあるので要注意です。

給排水の工事費

住宅で生活するうえで必要なライフラインである水道等の工事費用が別途請求となっていることがありました。これが売買価格に含まれていないとは、なかなか悪質な印象を受けますが実際にあった事例です。

概算金額を書面で確認すべき

書面で確認

これらの費用を請求する目的の1つとして、売買価格を見かけ上は安く見せて住宅購入者の目を引こうとしていることが挙げられます(不動産会社はこれを工夫と考えているフシもある)。買主としてはかかる諸費用も含めて総額で購入判断したり、他物件と比較したりすべきことですから、物件の見学へ行って気に入った時点で諸費用についてすぐに確認するべきです。

「諸費用の全ての項目と概算金額を書面で出してほしい」とお願いすればよいです。

これらの費用がかかることを契約日よりも前の日までに十分に書類を提示して説明するのであれば、まだマシですが、目立たない書類にコッソリと書いていることもあるので、建売住宅を買う方は本当に注意しなければなりません。

また、同じような考え方で、一般的に必要な設備などについて別途工事費やオプション工事費としていることも多いです。たとえば、カーテンレールや網戸が別途となっていることが非常に多いです。

通常はこれらについては契約前にしっかり説明するはずなのですが、なかには十分に説明されず、仕様書や諸費用の概算書、売買契約書にこっそり書いていることも多いです。契約書類などを細かくチェックしない住宅購入者も多いので、後から知ってクレームを入れたても、明記されているので対応してもらえません。

少し話がそれますが、建売住宅の売買ではなく、建築条件付土地の売買契約をして建物については建築工事請負契約を締結する取引において、不動産会社が仲介(媒介)しているケースでは、土地の売買に関しては仲介手数料がかかります。

これは当然のことなのですが、本来ならば生じないはずの建物の請負契約に関してまで仲介手数料を請求することがあるので、このような不動産会社には気を付けてください。詳しくは「建築条件付土地の売買と仲介手数料に関するトラブルと注意点」もご覧ください。

ホームインスペクションのアネスト

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