新築住宅・リフォーム工事の見積書のチェックポイント

住宅の新築やリフォーム(リノベーション)の見積書について、その見方や構成については「新築住宅・リフォーム工事の見積書の見方と注意点」で説明してきた通りです。ここでは、見積書の具体的なチェックポイントや注意点について解説します。

見積書の一式表示や単価、数量等に要注意

見積書のチェックポイントの基本的な事項として、まず一式表示の問題があります。各工事の名称の記載があるものの、それぞれについて一式でいくらになるかのみ記載している見積書が多くみられます。

見積内訳明細書

上の写真の例では、全ての項目が一式表示となっています。何がどれだけ使用されるのかも不明で詳細が確認できない見積書です。

商品の名称・品番

使用される商品が何であるか不明な見積書にも要注意です。極端な例でいえば、キッチンやトイレとしか表示されていなければ、どのような機能の商品であるかわかりませんね。またメーカー名だけの表示であっても、そのメーカーのどの商品が使用されるのかわかりません。

商品にはグレードや機能の差がありますから、工務店の想定と施主の想定に相違があれば大きな問題となります。上の事例ではメーカー名のみ記載されていて、品番や商品名が明記されていません。メーカー名と共に商品の名称や品番を明記しているかどうかは大事なチェックポイントです。

リフォーム工事の見積書

この事例では、メーカー名だけではなく品番まで明確になっていますね。このような見積書であるか確認しましょう。

数量と単価の記載

数量の表示有無も確認しなければなりません。たとえば、内装クロスであれば、平米数(m2)で表示することが一般的です。そして、1平米あたりの単価も合わせて表示することになります。

数量の表示

この事例は内装クロスの該当箇所を拡大したものですが、数量や単価が記載されているのがわかりますね。子の見積書では該当スペースごとにクロスの数量・単価・金額を一覧表示していますが、工務店等によって記載方法は異なります。

金額が全て万単位

見積書のチェックポイントは他にもあります。一式表示が多い見積書に見られることがあるのが、金額そのものの不自然さです。以下の写真を見てください。

見積り書の金額の単位

各項目の金額が全て万単位で揃っていますが、そのような偶然がありうるでしょうか。明らかに詳細な見積り金額について根拠をもって計算していないと想像できます。総額を表示するときに、金額の端数をカットして値下げとすることはよくありますが、全ての項目でこれはちょっと不自然です。

いわゆるどんぶり勘定です。

必要な工事項目の記載漏れと同じ工事の2重計上に注意

見積書のチェックポイントとして、工事項目の漏れや同じ工事の2重計上について取り上げます。

必要な工事項目の記載漏れに注意

その住宅の新築やリフォームをする上で本来ならば必要であろう工事の項目と金額が漏れてしまっているケースがあります。例えば、リフォーム工事で劣化の激しい配管の更新が必要であるにも関わらず、それを見積りに入れていないということがあります。

しかし、工事が始まってから配管の更新をすべきだと工務店が判断して施主へ提案し、同時に追加工事費用の見積りが出てくるとどうでしょうか。施主としては当初の予算を超える負担となり、対応に困ることもあるでしょう。

なかには、着工する前ではどうしても判断できなかったり、わからなかったりした必要な工事というものもありますが、わかっていて見積りから漏れてしまうこともあります。ハウスメーカーや工務店が単純に見積書に記載漏れすることもありますが、後から追加請求される方としては困りますね。

そして、悪意ある工務店などであれば、あえて当初の見積書から必要な項目を落としてしまうこともあります。その理由は、当初の見積り金額を低くして受注しやすくするためです。一度、工事請負契約を締結してしまえば、追加工事を他社に依頼するということはほとんどないため、追加工事もほぼ自動的に同じ工務店が受注できます。

既に着工している状況で追加工事が判明しても、工事を中止することもなかなかできないですね。ですから、まずは契約するために見積書からあえて項目を落とすのです。ひどいものですが、これは実際に使われることのある手法です。

同じ工事項目の2重計上に注意

次に注意したいのは同じ工事項目の2重計上です。

たとえば、同じ個所の点検口や給気口などが2度も見積書に記載されていることがあります。こういったミスは、下請け業者から元請け業者に提示された見積書を元請け業者が精査もせずに施主へ提示する見積書に転載したときにおこりやすいです。

上記ミスをもう少し具体的な例で解説します。大工仕事を請け負うA社と設備工事を請け負うB社が元請けのX社に、見積りを出します。そのとき、A社とB社はそれぞれが点検口を設置する(担当する)ものだと考えて見積りのなかへ点検口の設備代と設置工事費用を入れていました。

元請けのX社は何も考えずに、お客様(施主)へ提示する見積書を作成するときに、下請け業者へ支払う原価だから必要なものだと考えて金額をうつしてしまったのです。しかも、このときに各下請け業者の金額を一式表示で転載してしまうと同じ項目が含まれているかをチェックするのも難しくなります。

あるひどい現場では、下請け業者がそれぞれ点検口を設置して、同じスペースに2つの点検口が設置されるという無茶苦茶な事例もありました。無駄な費用というだけではなく、見た目も損ないますね。

そして、こういった2重計上のミスについて、工事中に気づくことはよくあります。気づいた時点で施主に説明して謝罪して、不要な金額を引けばよいのですが、施主が気づかないことをよいことにそのまま請求してしまうケースもあります。

悪質な業者なら、わざと見積書ではわかりづらくして2重計上し、過剰に請求していることもあります。気づかれたらミスだとして取り下げればよいぐらいに考えているので、こういった工務店とは契約したくないものです。

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