住宅を買うときの売買契約書を買主が自らチェックする場合に、注意すべき点をあげます。本来であれば、大変重要な契約内容・取引条件を定める売買契約書なわけですから、その記載内容は全て理解しなければなりませんし、全ての条文をチェックすべきです。
全てをチェックすることを前提として、そのなかでも特に注意しておくべき点はどの部分でしょうか。
それは、条文そのものではなく、特約事項・特記事項・備考・その他といった名称で用意されているスペースです。たとえば、以下の売買契約書の青色の部分は特約条項です。
住宅の売買契約書は、多くの場合、その取引に関わる不動産会社が所属している業界団体が用意している雛形を使用しています。雛形を使用している場合、第1条から始まる条文そのものには、買主にとって一方的に大きく不利となる記載はありません。
但し、注意してほしいのは、条文内容を不動産会社が書き換えているケースが確認されたこともあるため、業界団体が用意して雛形を使用しているだろうと思われても、絶対に大丈夫だとは言えないということです。
業界団体の雛形を使用しているかどうかは、売買契約書の端を見ればわかります(上記と下記画像の赤色の部分)。たとえば、「不動産流通経営協会(FRK)」「全国宅地建物取引業協会」「全日本不動産協会」などと団体名称が記載されているからです。こういった名称の記載があれば、「条文内容は概ね問題は無そうかな」と考えてもよいでしょう。
ただ、大事なのは前述した「特約事項・特記事項・備考・その他」の欄です。この欄は、不動産会社が自由に文章を入力しています。買主がその売買において理解し、承諾した事項として様々な制約が記載されたり、その物件に関して買主が知って購入する情報などが記載されたりしていることが多いです。
契約した後に、「そんなことは知らなかった」と言っても通りません。
ちなみに、業界団体の雛形ではない契約書でも安心できるものはあります。ただ、今までに多くの売買契約書を見てきた経験から言えば、本当に無茶苦茶な内容のものも決して少なくありません。時代錯誤の契約書もあれば、契約内容が不動産会社の法規違反や業界自主規制への違反になっているものなど、いろいろなものもあります。
「特約事項・特記事項・備考・その他」の欄こそが危険であるのは確かですが、その欄に限らず契約書はしっかり読み込んで理解しておくよう心掛けてください。