住宅購入に際して購入者が知っておくべきことはたくさんありますが、そのうち基礎知識について「住宅購入の流れ・注意点の基礎知識」にまとめているので、住宅購入を考えはじめた早い段階で読んでおきましょう。
住宅購入時の大事なテーマである「物件探しの注意点」について学ぶ前に、まずはその予備知識として不動産業界、住宅業界における営業マンの本音や事情を知っておいたほうがよいです。
営業マンは、自分たちの都合や事情によって買主や売主に接していることが非常に多いですが、この事情を知っていることで理解できることは多いです。住宅購入で失敗しないためにも、この点を抑えておきましょう。不動産業界や営業マンの事情を知ることはきっと皆さんの住宅購入に役立つことでしょう。
契約した買主には興味がない
不動産・住宅業界の営業マンの多くは、売買契約を締結した後の顧客(買主)には余り興味がありません。ですから、契約前までが勝負なのです。
それは、何故か?
この理由について以降で説明しましょう。
住宅購入のリピーターはほとんどいない
住宅購入のリピーターはほとんどありません。何度も何度もマイホームを買う人はいないからです。あっても何十年も先の話になるでしょう。その頃には、担当の営業マンは転職や退職でいなくなっている可能性が高いですね。
つまり、どんなに顧客に良い対応をして満足してもらったとしても、次にまた自分の顧客になってもらえることがほとんどないために、契約した途端に態度が悪くなることがあるのです。
売った後は売主と買主の関係になる
また、仲介の場合には物件に対する責任の所在は原則として売主となります。たとえば、売買した物件に何らかの瑕疵(欠陥、施工ミス等)があったとしても、その補修等の責任を負うのは売主ですから、仲介した不動産業者の営業マンは責任を負うことがほとんどありません。
売った後は、売主と買主の間の関係だと考えていることが多いのです。
成功報酬と給与体系の問題
そして、もう1つの大きな問題は給与体系と大きな関係があります。
不動産・住宅業界の営業マンの多くは、給与が歩合制になっています。営業成績によって毎月の給与が大きくかわるのです。
たとえば、不動産仲介業者に勤務する営業マンであれば、仲介した取引の売買金額に対する一定割合(売買代金の3%+6万円が一般的)が仲介手数料として会社に入り、その仲介手数料の10~30%程度(会社と営業マンの契約による)がその営業マンの給与に加算されます。
契約することで、自分の歩合給に加算されることがほぼ固まりますので(解約になると別ではあるが)、契約までは丁寧に対応していた人が、突然、対応が悪化してしまうことがあるのです。契約後のフォローについての時間がもったいないと考える営業マンもいるわけです。
買主から「契約前はいい人だったのに」という声を何度も耳にしていますが、こういった裏事情があったのですね。
契約後、「電話しても出ない」「折り返しの電話をもらえない」「メールへの返信が遅くなった」などといったことは、全国で日常的に起きている残念な問題です。
新築分譲マンションの営業マンは、不動産を知らない
新築分譲マンションを購入する人も多いですが、販売センターなどで接客してくれる営業マンは、不動産や不動産取引に関して驚くほど知識が無いことが多いです。
新築分譲マンションの営業の仕事を何年しても、不動産取引には余り詳しくならないのが実情です。もちろん全員ではありませんが、不動産知識や建築知識が無い営業マンが多いです。
その理由は単純なもので、専門知識がなくてもマンションを売ることは簡単にできるからです。マンションを売るために必要なのは、不動産の知識ではなく、そのマンションに関するある程度の商品知識とクロージング方法の実践力です。
そのため、業界未経験の派遣スタッフや契約社員が営業していることが多いです。素人より少しでも詳しければ少々の誤魔化しがきき、マンションが売れてしまうわけです。
この状況は、不動産のことを知らない営業マンと買主が商談をしているわけですから、冷静に考えれば不思議なことです。
もし、あなたが住宅の買い替えをするなら、大事なご自宅の売却などは、新築マンションの営業マンだけでなく、不動産仲介業者にも相談する方が良いですから注意してください。