住宅を購入する時も売却するときも、住宅が売買される基礎的な仕組みを理解しておかないと消費者が何のためにどんな不動産会社と商談等をしているのか理解しづらいですね。住宅が売買される際の当事者の関わり(取引の仕方)には、以下の4つのパターンがあります。
売主(不動産会社)と買主の直接取引
新築住宅や一部の中古住宅において見られる売買の仕方です。新築建売住宅(分譲住宅ともいう)であれば、その売主である不動産会社が自ら広告宣伝活動を行い、買主を見つけて売却することがあります。
広告などに表示されている取引形態の欄には「売主」と書かれています。この場合、買主は不動産会社へ仲介手数料を支払う必要はなく、住宅購入時にかかる諸費用を抑えられます。一方で、不動産会社が媒介(仲介)していないために中立的な立場からの助言・アドバイス(※)を受ける機会がありません。
※不動産仲介業者が中立的に助言・アドバイスをするかどうかの疑問もあります。
売主(個人)と買主の直接取引:個人間の直接売買
中古住宅の場合に稀にみられる売買の仕方です。売主が自宅などの所有物件を身内や知人などに直接売却する(買主から見れば身内や知人から直接購入する)ケースが該当します。
売主にとっても買主にとっても、不動産会社へ仲介手数料を支払わないでよいというメリットがある反面、素人同士の取引であるために売買契約書の内容等において不安が残ることが多いです。また、金融機関によっては不動産会社が介在しない売買に関しては住宅ローンの融資を断ることもあるので、売買契約を交わす前に確認しておいた方がよいでしょう。
また、地主が所有する土地を自ら分筆して(大きな土地をいくつにも分けて)少しづつ売却していくときに、地主が買主へ直接に売却しているケースもあります。この場合は地主がセミプロ化していることが多く、買主との知識格差があることもあります。
このケースにおいては、売買契約内容が無茶苦茶な事例も確認されていますが、地主に悪意がなく問題が生じても臨機応変に対応してくれていることもあります。但し、買主としては安心を得るためにも売買契約書などの書面はきっちりしたものとして頂く必要があるでしょう。
不動産会社による媒介(仲介):1社のみ
新築住宅でも中古住宅でもよくある売買の仕方です。売主が売却を依頼した不動産会社(仲介業者)を介して買主が購入する場合です。
媒介(仲介)を行う不動産会社は、本来ならば顧客のメリットを考えないといけませんが、売主と買主の双方が自社の顧客ある場合には矛盾が生じてしまいます。売主のメリットは買主のデメリットになることが多く、その逆も然りです。
そして、その物件の売主は1人(もしくは1社)のみであること等から、不動産会社(仲介業者)は買主よりも売主の顔色を伺う傾向が強いと言えます。よって、買主はあまり不動産会社(仲介業者)を信用しすぎずに自分自身でしっかり考え、判断していく力が求められます。
不動産会社による媒介(仲介):2社
新築住宅でも中古住宅でもよくある売買の仕方です。売主が売却を依頼した不動産会社(仲介業者)ではない不動産会社(仲介業者)を介して買主が購入する場合です。
上記3に比べて買主側の不動産会社(仲介業者)が買主の見方となってくれると言えます。但し、買主側の不動産会社(仲介業者)は対象物件を他社に先に売られてしまう可能性が高いため、上記3よりも買主を焦らせる営業マンもいます。
ちなみに、買主も売主も支払う仲介手数料は、自分側の不動産会社(仲介業者)にのみであり、2社の不動産会社(仲介業者)に支払うわけではありません。
上記1~4には、それぞれの特徴がありますが、個々の物件・会社・担当者によって有利・不利の影響は異なりますし、状況によって変化もします。また、物件ごとに取引形態は概ね決まっているため、消費者の望むパターンで取引できるわけでもありません。
あわせて「不動産業界の裏話・業界事情」についても知っておいた方が住宅購入に役立てることができますので、一読しておくと良いでしょう。