普段、多くの住宅購入相談をお受けしておりますが、よく住宅購入者が誤解していることの1つに、「住宅瑕疵担保責任保険や住宅性能表示制度、フラット35の物件検査を利用すれば、建物の施工不良が無く安心できる」と思っていることがあります。
このことは、実は住宅を分譲したり建築したりしている不動産会社や工務店にも誤解している方が多いため、購入者が不動産会社等がそのように説明を受けていることが誤解の要因の1つとなっています。
瑕疵保険の検査で施工不良は無くならない
結論から言えば、住宅瑕疵担保責任保険、住宅性能表示、フラット35の物件検査で施工不良が無くなるということはありません。その理由は単純なもので、これらは現場で施工品質の検査をしているわけではないからです。
例えば、住宅瑕疵担保責任保険であれば、その保険に加入するために必要な基準を満たしているかを現場で確認しますが(関連部分についてのみ設計通りか確認する)、施工品質はほとんどノーチェックです。一部では、保険の基準を満たしていなくとも指摘されずに工事が進んでいくことまであります。
住宅性能表示もフラット35も同様
また、住宅性能表示もフラット35も同様です。施工品質・施工不良の検査はされていないのです。そのためか、これらの制度等に基づく現場検査は5~15分程度だけです。これで施工品質の住宅検査を求めても無理があるというものです。
不動産会社やハウスメーカー等の営業担当者が、そのお客様に対して悪意なく、「住宅性能表示を利用しているので安心です」と仰ることもありますが、真実は違うということです。
「住宅瑕疵担保責任保険に加入するので第三者検査が入りますから大丈夫」という説明も実態と異なるわけです。そもそも不動産会社やハウスメーカー等がいつも依頼している保険会社とのその検査が第三者なのかという疑問もありますが。
これに似た話で「長期優良住宅だから工事は大丈夫です」という話を聞くこともありますが、長期優良住宅の制度では簡単な現場確認すらしていません。
つまり、住宅の施工品質のチェック(欠陥住宅を防ぐための検査)は本来ならば施工会社が自らしっかり行うべきであり、消費者がこれを担保するには自ら第三者の住宅検査を利用する必要があるのです。