建売住宅の見学に行った際に見ておくべきチェックポイントの1つとして、建物の傾きやゆがみのチェックをご紹介します。
傾きがあるかどうかは、リビングや洋室の床や壁で確認するのがわかりやすいでしょう。もしくは、和室の柱でチェックすることもできます。
今の建売住宅の多くは、リビングも洋室も床がフローリングになっています。よくテレビを見たからといって、ビー玉が転がるかどうかを試される方がいらっしゃいますが、フローリングでは転がりやすいので、あまり良い方法ではありません。カーペットなら逆に転がりにくいですね。
住宅診断をする専門家であれば、水平器を使って傾きを計測します。水平器にもいろいろありますが、専門家がよく使用するレーザータイプのものもあれば、水泡タイプのものもあります(下の写真はレーザータイプ)。
後者であればホームセンターで数千円で入手でき、かつ使用方法に簡単なので購入しておいても良いでしょう。傾きがあるかどうかはこれでもわかります(下の写真は水泡タイプの水平器)。
建物の傾きの計測結果は、3/1000や6/1000などと表現されます。
3/1000とは、1000ミリメートルの長さで3ミリメートルの傾きがあるということです。1メートルで3ミリですね。床であれば3メートルの長さで計測することとされておりますので、9ミリです。但し家具などがある中古住宅では3メートルの長さで計測できないこともあります。
傾斜を判断する目安・基準
計測結果を判断する基準の目安としては、住宅品質確保促進法で「住宅紛争処理機関による住宅紛争処理の参考となるべき技術基準」が参考になりますが、そこには次のように定められています。
床の傾斜(3メートル程度以上の距離で)
・3/1000未満の勾配の傾斜
「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が低い」
・3/1000以上6/1000未満の勾配の傾斜
「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が一定程度存する」
・6/1000以上の勾配の傾斜
「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が高い」
壁または柱(2メートル程度以上の距離で)
・3/1000未満の勾配の傾斜
「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が低い」
・3/1000以上6/1000未満の勾配の傾斜
「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が一定程度存する」
・6/1000以上の勾配の傾斜
「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が高い」
6/1000となりますとかなり大きな傾斜ですから、少し注意すれば一般の方でも傾きを体感できるレベルです。ただ、3/1000は体感で感じて頂くのは難しいでしょう。
そして、注意しなければならないのが、傾きだけを調査して結論を急いではいけないということです。建物の傾きは1つの症状です。これに関連する他の症状の有無もしっかり調べた上で本当に問題がある事がどうかを判断しなければなりません。他の症状の代表的なものが、基礎や壁のひび割れ(クラック)です。
建物の傾きがあれば欠陥住宅?
建物の傾きがあれば、直ちに深刻な欠陥住宅というわけではありません。傾きや歪みの原因が軟弱地盤と地盤改良工事の不足による地盤沈下である場合や構造躯体の施工不良である場合、または下地材の施工不良である場合などいろいろなケースが考えられます。
それだけに、傾きや歪みがあった場合には何が原因であるかを検討してから、購入判断(購入後ならば補修等の方法の判断)をしなければなりません。
また、傾きが部分的なものであるならば、下地材の施工不良などの可能性もあり、主要構造部分に問題があるわけではないことが多いです。ただ、建物の傾きがあることがわかれば、そこから先の判断は専門的な知識や経験が必要な事ですから専門家に相談した方がよいでしょう。第三者の住宅診断も検討すると良いでしょう。
傾きを感じたときには、基礎や壁などにひび割れが無いか、床下や屋根裏で構造部分(土台・柱・梁など)に異常がないか、といったこともチェックすると良いでしょう。