マンション購入の際には、そのマンションの管理面や修繕計画について十分にチェックし、問題点がないかどうか確認しておくことが重要です。管理面や長期修繕計画に問題がある中古マンションを購入するのであれば、購入後には管理組合の活動に積極的に参加して、その問題点の改善に努める必要があるでしょう。
ここでは、マンションの長期修繕計画や修繕積立金などについての注意点などを解説しています。主に中古マンションを購入しようとする方を対象としていますが、新築マンションの購入に際しても参考になるでしょう。
修繕積立金
中古マンションの長期修繕計画や修繕積立金について考える上では、国土交通省が出しているガイドラインが良い参考になります。平成23年4月の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を参考にしながら解説していきます。
マンションを購入する上で、必ず正しく理解しておく用語として「修繕積立金」と「長期修繕計画」があげられます。
修繕積立金とは、マンションの将来の修繕にかかるコストをマンションの所有者の皆さんで積み立てていこうというもので、一般的には毎月、定額を積み立てていくものと、新築マンション購入時やその後も数年に1度の時期を決めてある程度のまとまった金額を負担する一時金というものがあります。
(例)あるマンションのある住戸の修繕積立金と修繕積立一時金
修繕積立金 9,880円/月(毎月の支払い額)
修繕積立基金 335,000円(新築で購入したとき1回限り)
修繕積立一時金 313,000円(築12年目で支払った金額。24年目でも同額程度の予定有)
上記は一例ですが、このように修繕積立金は毎月支払うものと、一時的にまとまった金額を支払うものとがあります。
前述したように、マンションの将来の修繕にかかるコストのために積み立てるものですが、対象となる修繕は共用部に限られます。外壁やエントランス、屋上(屋根)のほか、エレベーター等の設備・施設も含まれます。日常的にちょっとしたメンテナンスに支出するコストもあれば、数年に1度(例えば10年に1度)のペースで実施される大規模修繕工事に支出するコストもあります。
大規模修繕工事ともなれば、マンションの規模や建物の劣化具合などにもよりますが、1度に数億円規模の費用がかかることも多いため、この金額を必要なときだけ所有者の皆さんから徴収するのは無理があり、支払えない人も多く出てくるでしょう。そのために、前もって積み立てておくのが修繕積立金です。
ちなみに、各所有者の部屋(専有部分)の修繕費用はこれには含まれないため、各自でコスト負担して対応しなければなりません。
長期修繕計画の注意点
次に長期修繕計画についてです。長期修繕計画とは、マンションの共用部分の修繕費用を長期にわたってあらかじめ金額を算出しておき(予測)、それに必要な金額をどのように賄っていくか計画するものです。
そのためには、各工事等の工事費等の支出と所有者から集める修繕積立金(収入)が明記される必要があり、かつ修繕積立金の毎年の残金も明記されていなければ、適切な長期修繕計画とは言えません。
この長期修繕計画を書面にしたものが、長期修繕計画書です。この書面には、修繕等の項目とその修繕費用(金額)が年度ごとに記載されています。年表のようになっていることが多く、修繕積立金や累積の支出等がわかりやすくグラフ化されていることも多いです。
項目には修繕工事そのものに限らず、建物診断の費用などが含まれることも多くなりました。
多くの長期修繕計画書を見ていくなかで、収入金額しか示されておらず、支出はその都度、場当たり的に決めているケースもありました。もちろん、計画的な修繕工事や積立がなされていないために、財政の厳しいマンションでした。
ちなみに、長期修繕計画はあくまで「計画」ですから変更していくことが前提です。工事費や収入が計画通りでは無いことも多いです。そもそも物価調整もあります。そして、大規模修繕工事を実施するたびごとに、この計画を見直していくことが一般的です。