中古住宅は誰かがそれまで暮らしていた住宅ですから、売主がその住宅に居住しながら売却することも多いです。物件見学に行って居住している売主が出迎えてくれることもたくさんあります。そういったときに、「居住しているのでゆっくり見学したら申し訳ないのではないか」「売主に遠慮して見学するのは気が引ける」「気になるところがあっても何度も見学しづらい」といったお話を中古物件を検討されている方が伺うことが本当に多いです。

 売主もいろいろな方がいらっしゃるので、確かに気難しい方もいらっしゃるでしょうし、逆に「ゆっくり時間かけて見てくださいね」と協力的な方もいらっしゃいます。真剣に売却したいと考えている売主にとっては、大事な購入検討者なのですから、「ゆっくり見学してもらって、できれば買って欲しい」というのが大方の本音です。


 売主の売却事情によっては、態度の良くない方に遭遇したこともあります。たとえば、自宅の住宅ローンを支払えず、銀行から売却して返済するように言われ、渋々、売却する場合にはこういったこともあります(同じ状況でも良い売主も多いですが)。

 中古物件を購入する際には、同様の悩み、疑問を持たれる方が多いですが、基本的には遠慮しすぎないことが大事です。一般的に新築住宅より安価とはいえ、大きな資金を投じて(多くの方が借入までして)購入する大きな買い物です。にもかかわらず、気になる点を残したまま購入するのは良くありませんね。全てについて疑問・心配を取り除くことは無理かもしれませんが、できる限り解決しておきたいものです。

 売主が居住されている住宅である場合、具体的には以下の点が問題となりえます。大きな家具や電化製品がある箇所において、その家具等の向こう側(壁など)が確認できません。たとえば、冷蔵庫に隠れている壁や床は見えません。また、クローゼットや押入れのなかの荷物が山積みであれば、奥にカビなどがあってもわかりません。この点は、実は第三者の専門家に住宅診断を依頼しても確認できない箇所となります。

 遠慮せず時間をかけて見学すべきことですが、これらの家具や荷物などを移動させてまで見学したり住宅診断したりするわけにもいかないので、この点はやむを得ないと考えておきましょう。空家の中古住宅しか買わないと判断した場合には検討対象の物件が減ってしまいます。ですから、居住中の物件であれば契約を交わし売主が退去された時点で、そういった箇所についてしっかり確認してください。この確認は買主が自分の家具等を入れる前(引越しする前)に行うことが大事です。

 話が少しそれましたが、売主が居住中の中古住宅であっても、ゆっくり見学したり繰り返し見学してから購入判断してもよいでしょう。このときに、不動産仲介業者が「売主に悪いので見学は1回だけにしてほしい」と正当な理由なく仰られるならば、その業者さんは売主よりか単に信用できない会社である可能性が高いと考えた方がよいでしょう。

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