基礎の種類

建物の構造部分において特に大事なものといえば、「基礎」をイメージする方は多いでしょう。地盤の上に基礎があり、その上に土台を設置して柱が立てられたり、床がのせられたりしていきます。建物の下部で支える基礎に大きな瑕疵や著しい劣化があれば、その上の土台、柱、壁などに問題がなくても住宅が長持ちしないことも十分に考えられます。

せっかく購入した住宅の基礎部分に大きな問題があっては、補修などに多大なコストをかけたり、長持ちしなかったりしてしまうこともあるため、中古物件を購入する前には、この基礎についてもしっかり確認しておきましょう。

最初に、基礎の種類について確認しましょう。主な基礎の種類としては、ベタ基礎と布基礎があげられます。

ベタ基礎と布基礎

べた基礎

ベタ基礎とは、基礎の底盤部分(水平方向)と立上り部分(垂直方向)がともに鉄筋コンクリートになっているものです。上の写真もべた基礎です。建物の内部で、床下を覗くと地面にあたる部分がコンクリートであればベタ基礎の可能性が高いです。但し、なかにはコンクリートに見えるけれども土間コンクリートを流しただけで鉄筋の入っていないものもあり、次に説明する布基礎の構造になっていることもあります。下のイラストはべた基礎です。

べた基礎のイラスト

次に布基礎(ぬのきそ)です。これはベタ基礎と違って、底盤部分の鉄筋コンクリートがありません。古い住宅であれば、床下点検口から床下を覗くと地面がそのまま見える(土が見える)ことがあるのでわかりやすいです。しかし、前述したように鉄筋が入っていないものの土間コンクリートを流していることもあるため、その場合は見分けづらいかもしれません。下のイラストは布基礎です。

布基礎のイラスト

1990年代の後半にはベタ基礎を採用する新築住宅が増えて、その後はほとんどの住宅においてベタ基礎になっています。ざっくりと2000年以降に建築された中古住宅であればベタ基礎の可能性が高いと考えてよいでしょう。

但し、大手ハウスメーカーによるいわゆるプレハブ住宅では、布基礎を採用していることが非常に多いです。これはほとんどが鉄骨造のプレハブ住宅であることと関係しており、大きな重さが分散してかかる構造であるために布基礎の方が適しているという考えです。

ベタ基礎の方が強いと考えがちなのですが、プレハブ住宅のようなケースもあるため一概には言えないことも理解しておきましょう。

鉄筋コンクリート、無筋コンクリート、コンクリートブロック

中古住宅において基礎の内部構造を見ることはできません。表面はコンクリートに見えても、その内部に鉄筋が入っているかどうかの違いがあります。鉄筋が入っているものを「鉄筋コンクリート」、入っていないものを「無筋コンクリート」と言います。

中古物件を購入するときには、基礎が鉄筋コンクリート造であることが好ましいのですが、見た目で判断するのは難しいです。下の写真(中央の穴のところ)のように鉄筋が露出していれば別ですが。

鉄筋の露出

上記は住宅診断(ホームインスペクション)で床下を調査した際に、鉄筋が露出しているのを確認したところです。ただ、確認できたからよかったというものではなく、基礎コンクリートが破壊されてしまっており、この部分付近の構造耐力が本来のものより劣っているわけですから、問題視されるものです。

今の時代に新築住宅を建築する際には、鉄筋が入っていない基礎というのはまずありません。ではいつ頃に建築された住宅であれば、鉄筋コンクリート造の基礎なのでしょうか。1981年6月以降に建築確認を取得して新築した住宅であれば、鉄筋コンクリートである可能性が高いです。

この年以降でも無筋コンクリートがないわけではありませんが、ほとんどの住宅が鉄筋コンクリートになっていますので、購入検討している中古住宅の築年月を確認して参考にするとよいでしょう。ただし、1981年6月以降の建築確認ということは、完成時期は1981年後半か1982年以降ということになる点に注意しましょう。

ちなみに、無筋コンクリートの基礎で築後40年以上経過しているにもかかわらず、ひび割れ(クラック)が1つもなく状態がよい建物もありますので、無筋コンクリートの住宅の全てを避けるべきというわけではありません。ただ、リスクの大きさや可能性が異なると理解しておいたほうがよいかもしれません。

また、なかにはコンクリートブロック造の基礎もあります。相当古い住宅において見られるものですが、住宅診断(ホームインスペクション)の経験から、1990年代に新築された住宅であっても、増築したときにその部分においてのみコンクリートブロック造の基礎としている住宅もありました。

そのときの所有者が安くあげようとしたのかどうかはわかりませんが、その部分については心配されるものです。コンクリートブロック造の基礎が鉄筋コンクリート造のものに比べて弱いのは否めません。

ホームインスペクションのアネスト

ホームインスペクション
第三者の一級建築士が、住宅購入・新築時などに建物の施工ミスや劣化具合などを調査する。新築(建築途中および完成物件)・中古住宅に対応。安心してマイホームを購入できる。