中古住宅を購入するとき、買った住宅に瑕疵(欠陥・雨漏り)があったらと考えるとなかなか中古住宅の購入に踏み切れないという方は少なくありません。新築に比べて建物の劣化が進んでいるだけに、建物の不具合などに悩まされる確率が高いということは想像できます(新築でも施工ミスなどは多いですが)。
「中古物件だから心配だ」という声は根強く、これが日本で中古住宅の流通量(取引量)が少ない主な原因の1つだと考えられています。中古住宅の流通量を増やしていくために、既存住宅売買かし保険が生まれました。既存住宅売買かし保険を活用すれば、購入後の中古物件に万一のことがあっても保険金で瑕疵の補修費用を賄うことができるのです。
中古住宅の購入者が直接、保険に加入するのではなく、不動産会社や住宅検査会社(住宅診断会社)などが購入者に対して建物を保証し、その不動産会社や住宅検査会社が物件ごとに住宅瑕疵担保責任保険法人(以降、かし保険法人)の保険に加入する制度です。通常は、かし保険法人の保険がおりる中古物件に対して不動産会社や住宅検査会社が保証する仕組みになっています。
※住宅瑕疵担保責任保険法人は国土交通省が指定している機関である。
既存住宅売買かし保険は、対象物件の取引の形によって2つのパターンにわけられます。1つは、売主が不動産会社(宅建業者)である場合(以下のA)で、もう1つは個人間売買(売主も買主も個人。多くの場合、不動産仲介業者が仲介している)の場合(以下のB)です。
いずれの場合であっても、保証対象は同じで、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」などが対象となっており、その保険期間は5年間または1年間です。
前述のように不動産会社や住宅検査会社が保証したものに瑕疵保険がつく制度ですが、どのような中古住宅でも保証され、瑕疵保険がつくわけではありません。住宅検査を行って基準に適合したものが対象となります。この保険を取り扱うかし保険法人は以下の5社あります(2014年10月時点)が、これらの保険会社が設けた基準に適合しなければなりません。
- (株)住宅あんしん保証
- 住宅保証機構(株)
- (株)日本住宅保証検査機構
- (株)ハウスジーメン
- ハウスプラス住宅保証(株)
ちなみに、保証する不動産会社や住宅検査会社も独自の保証基準を持っていることがありますが、保険がつかない住宅を保証することは通常ではありませんので、かし保険会社と同等の基準をもっているか、かし保険会社と全く同じ内容としていることが一般的です。