住宅購入に必要な諸費用の基礎と注意点
はじめて住宅を購入する人にとっては、家を買うのにかかる費用がどれくらい必要なのか想像もつかないということも多いです。購入する物件の売買価格ばかり気にしていたら、諸費用が思ったよりも高くて予算オーバーということもありうるのです。
ここでは、物件探しを始める段階で知っておくべき住宅購入に必要な諸費用の基礎知識や注意点をご紹介しますので、購入する物件の予算を検討するときなどに活用してください。
1.住宅購入の諸費用の明細は必須
住宅の購入に際して必要となる諸費用についての注意点を紹介します。
住宅購入時の相談業務などをしているので、いろいろな方の相談にのっていますが、契約を目前に控えた方に、
「諸費用がどれぐらいかかるか聞かれていますか?」
と伺います。そうしますと、
「だいたい150~200万円ぐらいだと聞いています。」
といった返答が返って来ることがよくあります。しかし、契約を目前に、たとえば明日が契約だという場合、諸費用は概算とはいえ、かなり正確な数値がわかるものです。
それを「契約のときに諸費用の明細をお渡ししますから」という営業マンの説明にはあきれます。
でも、実際には、こういったケースを非常によく耳にします。
もちろん、これではダメです。諸費用の明細は、契約の前に把握しておくことが大原則です。契約前に、諸費用がいくらかかるのか把握しておいて、予算を確認しておかなければいけません。
以下について少し考えてみてください。
契約の場で、あなたが初めて諸費用の明細を見ました。しかし、その金額は思っていた金額をオーバーしていました。あなたは心の中で、
「こんなに費用がかかるのか・・・、それなら購入をもうちょっと考えなおそうか・・・、でも、もう契約の席だし売主さんも目の前にいるし言いにくいなぁ。」
と考えることになるでしょう。これでは、夢のマイホームの契約のはずが、非常に暗いものになってしまいますね。諸費用が思ったよりも高いときには、明細を見て項目ごとに、
「この○○○という費用は、何のために必要なものですか?どこに支払うものですか?」
と聞いて納得しておく必要があります。本来ならば、高くなくても確認すべきですが。
住宅そのものの価格が、何千万円と非常に高価なものですから、諸費用の金額への意識が低い方が非常に多いです。それをわかっているからか、悪い業者などは法外な諸費用を請求していることすらあります。
気をつけなければいけないということはわかって頂けたと思います。
2.住宅購入の諸費用の種類
ここでは、住宅購入に必要な諸費用の種類について説明します。まずは、どういった項目の諸費用があるのか項目を一覧でご紹介します。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 住宅ローンの保証料
- 住宅ローンの事務手数料
- 団体信用生命保険料
- 火災保険料
- 地震保険料
- 家財保険料
- 登記費用
- 住宅ローン代行手数料
- 水道分担金
- つなぎ融資の金利
- 固定資産税・都市計画税の精算金
- 修繕積立一時金(新築マンションの場合)
- フラット35の適合証明書の発行手数料
- 耐震基準適合証明書の発行手数料
- 住宅診断(ホームインスペクション)の調査費用
一覧にしますと上に記載の通りです。しかし、もっと細かなものまで考慮しますと、住民票や印鑑証明書の発行費用のようなものまでありますので、もっと増えます。この一覧を見ると少しびっくりするような項目数の諸費用がありますね。
全て合計すればいくら必要なのか心配になりませんか?
でも、これらの諸費用は、どんな場合にでも必要なものもあれば、取引内容・購入物件の種類などによっては不要なものも多く入っています。なかには、「これにはお金をかけたい」とか、「これは節約しておこう」という住宅購入者の考え方次第では大きく費用が変るものまであります。
一般的には、
新築住宅の場合で、売買代金の3~5%と言われています。5,000万円の物件なら、150~250万円ということになります。結構、差額が大きいですが、取引内容などにより左右される部分があるからです。
中古住宅の場合であれば、売買代金の5~8%と言われています。3,000万円の物件なら、150~240万円となっています。新築住宅よりも高額な諸費用となっていますが、これは、中古住宅の場合は仲介手数料がかかることが圧倒的に多いからですね。
実際には、新築住宅でも仲介手数料が必要なこともありますから5%を超えることもありますし、中古住宅では高ければ8%を超えることがあります。また、中古住宅でも仲介手数料を必要としない取引なら3%~5%ということもあります。
そして、注文建築で家を建てるならば、設計料や工事監理料などが必要となることもありますし、建売住宅や新築マンションでもオプション設備・工事を発注するとその費用も必要です。中古住宅を購入してからリフォームするならば、リフォーム費用の予算も考えておかなければなりません。
皆さんが、何にお金をかけるか?(投資するか?)
といった価値観や考え方の影響が大きいですね。購入後にも長く安心して暮らすには、保険や調査などにより多くのコストをかける必要があります。住宅購入の諸費用の基礎知識は、住宅購入の基本ですからよく抑えておきましょう。
それでは、具体的な諸費用の内容については、以下をご覧ください。
- 住宅購入の諸費用(仲介手数料・印紙税・住宅ローン保証料・事務手数料)
- 住宅購入の諸費用(団体信用生命保険・火災保険・地震保険・家財保険・登記費用)
- 住宅購入の諸費用(住宅ローン代行手数料・固定資産税・適合証明書等)
また、不動産業者から請求された諸費用の金額が妥当なものか、高額すぎないか不信感をお持ちの方は専門家に相談してみるのも1つの方法です。「住宅購入・建築のメール相談」のように気軽にメール相談できるサービスもあるので検討するとよいでしょう。