建売住宅を買うときに確認すべき敷地周りのチェックポイント

建売住宅を買うとき、多くの買主はどうしても建物にばかり目が行きがちです。もちろん、建物の間取りや広さ、施工品質は重要な要素ですが、立地環境や敷地周りのことも大事な要素です。今回は敷地周りのチェックポイントを紹介しますので、建売住宅の見学へ行くときにはぜひ一緒に確認してきましょう。

購入する前には意外と気づかなかったことなのに、入居してからすぐに問題が表面化して後悔することもあるので、ぜひ契約する前にチェックしてください。ちなみに、新築の建売ではなく、中古住宅を買う人が読んでも役立つ内容になっているので参考にしてください。

1.境界を用意に目視確認できるか

建て売り住宅を購入するときのチェックポイントで見落としがちなことの1つが境界です。境界が不明瞭な住宅を購入してしまうと、後々に隣地の所有者とトラブルになることがあり、その問題解決のために時間と労力、さらには余計なコストまでかかってしまうこともあります。

境界

1-1.境界標の位置を要チェック

境界標とは、境界の位置を示すために必要なもので、境界のコーナー部分にあります。長方形の土地ならば、その4隅にあるので境界標を設置すべき箇所数は4箇所です。但し、長方形に見える土地でも実は微妙に五角形や六角形と言うことも多いため、注意が必要です。

最もオススメの確認方法は、地積測量図を不動産業者に用意してもらうか、自分で法務局へ行って取得し、それと現地を照合する方法です。通常は不動産業者にお願いすれば地積測量図を提示して頂けるでしょう。

但し、建売住宅の場合、工事途中ならば境界標を確認できないことがあります。たとえば、建築資材や土砂で覆われていて目視できないといったことです。こういった場合には、完成時点で現地にて確認するようにしましょう。この確認時には、売主にも立ち会ってもらい説明を受けながら確認するとわかりやすいです。

境界標にもいろいろなものがあります。たとえば、コンクリート杭、プラスチック杭、金属標などです。この種類についても説明を求めれば対応してくれるはずなので、売主か不動産仲介業者へ聞いてみるとよいでしょう。大事な境界に関する質問に対して誤魔化されるようであれば、あまり信用できない業者ですから、業者判断の材料にもなります。

1-2.境界線

境界標は、いわば点です。その境界標と別の境界標を結んだラインが境界線です。現場に線が引いているわけではなく、境界標と境界標の間が境界線ということになります。但し、境界線の参考になるものはあります。隣地との間にある塀などがそうです。

たとえばブロック塀があれば、その塀の中心が境界線になっていることが多いです。但し、注意すべきなのは常に塀の中心が境界線であるとは限らないという点です。

塀の手前や向こう側が境界線になっていることもあるので、きちんと境界標の位置と一緒に境界線を確認しなければなりません。

2.越境物がないか要チェック

境界と合わせて確認しておきたいポイントが越境物の有無です。越境物とは、その名の通り、隣地との境界線を越えている物です。お隣との関係もあるし、少しくらいはいいかと思うかもしれませんが、それが後々の問題を引き起こすこともあります。

越境物

2-1.植栽の越境が多い

最も多い越境物は植栽です。植木などですね。

街を歩いていると道路ではみ出てきた植木の枝や葉を見かけることも多いと思いますが、これも越境物です。道路への越境も、その環境によっては歩行者の安全の妨げになったり、車を枝で傷付けたりする恐れがあるので解決しなければなりません。

それ以上にトラブルになることが多いのは、隣の住宅地への越境です。単純に邪魔ということもあれば、落ち葉が隣地に大量に落ちて迷惑をかけることもあります。もちろん、お隣から自分たちの敷地の方へ越境されていれば、その迷惑を受けることになります。

植栽の越境確認で注意したいのは季節です。冬場の物件見学時は大丈夫だったのに、夏になって生い茂ったときに越境することもあるからです。

2-2.空中に要注意

植栽以外にもいろいろなものが越境していることがあるのですが、越境物を確認するときには、地面に近い位置ばかり確認せずに、上方向も確認すべきです。人は目線よりも上のことに気づきづらいようで、越境が見逃されているのは上方向のことが非常に多いです。販売している営業マンも気づいていないことがありました。

たとえば、屋根や雨樋の一部が越境していることがあります。屋根が越境だと聞くと驚くかもしれませんが、住宅密集地で家を買うときには意外と遭遇率が高いです。アネストの住宅診断(ホームインスペクション)では越境物の有無を目視確認していますが、たまに屋根や外部に取り付けた設備機器(給湯器など)の越境が確認されています。

2-3.越境物があるときの対応

購入したい物件に越境物があることがわかったときには、その対応を慎重にすべきです。売主にとっては、何の対策もとらずにそのまま購入することにしていることがありますが、買主にとってはリスクでしかありません。

理想は、引渡し前に越境物を解消して頂くことですが、難しいこともあります。たとえば、隣の家の屋根が購入物件の方へ越境している場合、屋根の一部を撤去するのは簡単ではありません。そういった場合、「将来、増改築や建て替えをするときには越境物を解消する」ことを覚書にしてもらうことです。

この覚書の作成や隣地との交渉等については、売主の負担と責任で行ってもらうことです。

3.ゴミ捨て場(ゴミステーション)との位置関係

ゴミ捨て場

建売住宅を買うときの敷地周りでぜひ確認しておきたいチェックポイントは、ゴミ捨て場所です。分譲地ではごみステーションなどと表示していることもあります。

ゴミ捨て場はどうしても臭いや美観の問題があるため、多くの人がそれに隣接する住宅を敬遠しがちです。しかし、ゴミ捨て場の環境や風向きによっては道を挟んだ距離くらいなら匂いがすることも少なくありません。その土地における風向きの特徴も考えておくとよいでしょう。

ゴミ捨て場との位置関係では、実はすぐに近くに飲食店があるときに注意が必要です。地域によることですが、飲食店が店前など決められた位置にゴミを出しているはずですが、その位置関係によっては影響を受けることが多いです。しかも、生ごみが多いですから要注意です。管理状態が悪くて鳥がつついて散乱してしまうようであれば、ストレスが大きくなるでしょう。

複数棟の建売住宅を販売する現場では、売買契約の時点でゴミ捨て場(ゴミステーション)の位置を現地で目視確認できないこともあります。通常ならば、書面で位置を説明してもらえるものですが、これまでにも説明がなく、知らない間に売買契約書や重要事項説明書に記載されていて、買主が承諾したことになっていたという事例はあります。

ゴミ捨て場の位置は契約前によく確認しておく必要がありますね。

4.隣地建物との距離と位置関係

物件見学時に敷地周りで確認しておいてほしいことの1つに、隣地建物との位置関係や距離があります。

位置関係と言ってもわかりづらいですね。たとえば、お隣の家と同じ位置に窓やバルコニーが向かい合わせにあるといかがでしょうか?家の中などから、建物の内部が見えやすくてプライバシーが保ちづらくなります。窓がすぐ向かいにあるのに開けておくと声も通りやすいですね。

建売住宅を見学する際は、窓から見える状況をよく確認しておきましょう。お隣の窓がよく見えるようならお互いに要注意です。

また、建物同士の距離も確認しておきましょう。住宅密集地では、どうしても家と家の距離が近くなりがちです。仕方ないところではありますが、将来の住宅のメンテナンスがしづらいようであれば、建物を長持ちさせるうえで少し不利になります。

人が入ることができない距離ならば、メンテナンス(外壁の補修等)が難しくなります(できないわけではないがコスト高になることが多い)。

5.ブロック・フェンス・擁壁などの状況

最後にご紹介するのは、建物とも関連があることです。住宅には、建物以外の構築物があること多いですね。境界にあるブロック塀やフェンス、擁壁、さらにはカーポートなどもそうです。こういったものは、建物や土地に関する大事な情報を得るヒントになることがあるので、ぜひチェックしておきましょう。

擁壁

5-1.劣化による倒壊リスク

境界にあるブロック塀やフェンスなどは軽く手で押してみてぐらつきがないか確認してください。新築の建売住宅でも、塀などは以前の古いものをそのままにしていることもよくありますし、新しく設置したフェンスなのにぐらついていることもあります。

子供が体重をかけて倒壊して怪我をするリスクや隣の家の物を傷つけること、通りがかりの人に迷惑をかけることもありうることです。

また、擁壁が古くて危険な状態であれば、そのような物件は買いたくないですよね。大きな亀裂があることや水抜き穴が適切に配置されていないこともあるので、よく見ておきましょう。

5-2.軟弱地盤のリスク

実は、古いブロック塀などの構築物は、地盤の状況を予測するときに役立つことがあります。新築の建売住宅は建物が新しいために、地盤が弱くても購入時点では何も症状が出ていないことがよくありますが、古い塀などに症状が出ていることがあるからです。

塀などのひび割れや傾きがあれば、軟弱地盤の可能性も考えておきたいものです。売主から地盤調査報告書を見せてもらって地盤について説明を受けるとよいでしょう。

中古住宅を買うときならば、駐車場などの土間コンクリートのひび割れや段差の有無を確認しておくと参考になることもあります。

こういった症状が見られたとき、常に地盤に問題があると決めつけずに冷静に見極める必要があります。できましたら、建物の床下の状況を見てひび割れなどの症状が出ていないかチェックすることをお奨めします。

いかがでしょうか。境界、越境物、ゴミ捨て場(ゴミステーション)など、敷地周りのチェックポイントは、現地見学時に役立つ知識なので実践してみましょう。