注文住宅を建てるときの注意点(見積書のチェックポイント)

注文建築で家を建てていく過程でよく起こるトラブルの1つに建築工事代金に関することがあります。注文住宅の工事費については、「思っていた以上に建設費が高くなった」「後から工務店に追加料金を請求された」「○○○が別途費用とは聞いていなかった」などといった大変多くのお金に関する悩みや不満を耳にします。

その原因は明確なものです。

注文住宅の契約のなかに含まれる工事内容がどういったものであるのか、はっきりしていないから起こってしまうトラブルです。

注文建築で家を建てるときには、注文者(発注者や施主と同じ)と工事請負者(工務店・ハウスメーカー等)の間で工事請負契約を結びますが、その工事請負契約書には、必ず、工事請負代金が記載されているはずです。この代金のなかに含まれるものを注文者と工事請負者の両者でしっかり合意しておくことが、建築工事費に関するトラブルを防ぐための最も重要なポイントです。

繰り返しますが、契約した代金に含まれる内容は、注文者が理解しておくだけではなく、工事請負者も理解しておくべきことです。工事請負者はプロですから、理解していて当然だと思われるかもしれませんが、営業マン自身もあやふやになっていることもありますし、会社によっては「とりあえず契約しておいて、進めながら決めていけばよいか」などと考えていることは非常に多いです。

契約しないことには、詳細を考えもしないことが多いのが業界の非常に大きな問題点です。

では、どのようにして工事請負契約の代金に含まれるものを確認するのでしょうか。

それは、工事の見積書および仕様書・図面の確認によって行うべきです。見積書や仕様書、図面の内容をきちんと把握し必要なことを記載することで、契約に含まれるものが明確になり、後のトラブルを抑制することになります。

それでは、見積書のチェックポイントをあげます。

見積書があるかどうか

あまりに基本的なチェックポイントで拍子抜けするかもしれませんが、今までに対応してきた建築トラブルのなかで、何回も「見積書はもらってない」と施主から聞いたことがあります。つまり、注文住宅の工事請負契約書に総額代金のみを記載しているだけで、見積書が一切提示されていなかったのです。

そんなことがあるはずがないと思われるかもしれませんが、このような話は何度も聞いてきました。もちろん、大手ハウスメーカーや一般的な工務店ではありえないことです。

見積書も作成せずに契約して工事を進めてしまうような工務店は、地方の小さな会社で見られる問題です。1~3人ぐらいの会社で、都度、外部の職人を手配して仕事をしている業者に多いです。後から後悔している施主からは「知人の大工に直接頼んで建ててもらったら、建築費でもめた。考えたら見積書ももらっていない」と相談を受けるパターンです。

そもそも見積書も見ずに総額代金だけを確認して契約すべきではありません。見積書を確認するという基本的なことは、契約前に必ず実行してください。もし、工務店から見積書も提示されていないのに請負契約を求められることがあれば、その工務店は信用できませんから、見積書の提示を求めるというよりは別の会社を探した方がよいです。そのような工務店と無理に契約しても、他の点でも建築トラブルが生じるリスクが大きいでしょう。

見積書の記載内容(一式表示)

見積書には、各工事の項目名と金額が記載されますが、項目が細分化されているのかチェックしましょう。今までいろいろな見積書を見てきましたが、たとえばクロス(壁紙)に関して「壁・天井壁紙 一式 ○○万円」とのみ記載されているものもありました。

これだけでは、クロス(壁紙)の使用される商品も不明ですし、数量も不明、さらには人工代も不明です。商品名や数量(クロスなら㎡数)、人工については明記してもらいたいものです。商品については、名称や品番を明記しますが、同等品と追記するなどして、同価格帯のものへの変更対応できるのも悪くありません。

見積書の一式表示は、含まれるものが不明確でもあり、要注意です。

材料・商品が見積書等に明記されているか

前述のクロスの例でも示しましたが、使用される商品が明記されていないことは後のトラブルを誘発することが多いです。工事が進んでから施主が現地見学をして、「こんなクロスのつもりではなかった」「梁の材種が違う」などと考え、工務店にクレームをつけたものの、「そんな商品や使用材料の指定はなかった」とか「うちはいつもこれですから」などと返答されることがあります。

施主とも工務店もお互いに確認しあっていなかった点ですから、双方に非があるとも言えますが、施工後に変更する費用をだれが負担するのかは解決が難しいです。また、変更するならば工期も遅れてしまいます。

見積書に商品や使用材料を明記してもらう必要があります。但し、見積書ではなく、仕様書など別紙で指定する方法もありますから、その点は工務店ともきちんと打ち合せて確認しましょう。

 

仕様書や図面もチェック

 

含まれる工事内容や使用材料を仕様書や図面も一緒に確認する

使用される材料や商品については、見積書ではなく仕様書などで確認すると書きましたが、この仕様書と図面も見積書と一緒に確認しておかなければなりません。

どうしても見積書だけで契約に含まれる工事内容を把握するのは難しいものです。仕様書では、商品や材料が明記されているか1つずつ丁寧に確認してください。それが施主の希望しているものであるかどうか、カタログと突き合わせる必要があります。インターネットで商品名などを検索すれば、メーカーのHPや電子カタログを確認できることも多いです。ときには、ショールームで実物を確認するのもオススメです。

また、図面については、各階平面図(平面詳細図)、立面図、矩計図、敷地配置図は最低限、確認が必要なものです。敷地配置図では、外構工事がどこまで含まれるかも確認できます。こういった図面がなく、間取り図だけで請負契約を求められたときは断る勇気も必要です。

見積書を見て把握するのは難しい

見積書の予備知識として知っておきたいことがあります。見積書の書き方は会社によって大きく異なります。第三者の専門家が見ても、ちょっと見ただけでは全体像をつかみ切れないこともあります。書き方の癖もありますし、そもそも不明瞭なものもあり、見積り内容について工務店に質問したところ、担当者が質問を受けてから回答に時間を要したり(つまり確認に時間がかかるほど作成者も把握できていない)、質問に対して堂々と「それは未定だ」と回答したりすることもあります。

見積書を作成する側ですらも、見積書が不完全な状態だとわかっているわけですから、不完全な書面を見てすべてを把握するのは難しいでしょう。

きちんと整理された見積書でない限り、専門知識のない施主が自分だけで正確に把握するのは難しいため、工務店に説明を求めて、内容を十分に理解し納得してから注文住宅の請負契約を結ぶようにしなければなりません。見積り内容で不明な点があれば、何度でも質問することです。金額に関することでもめることは本当に多いので、この点で遠慮するのは禁物です。

 

執筆者:専門家

 

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