新築住宅の建築中の住宅検査(基礎配筋検査)の現場レポート 2016年7月
住宅コンサルティングのアネストのスタッフが、住宅診断(ホームインスペクション)の現場に同行したときの様子を公開するホームインスペクション・レポートです。住宅あんしん工程検査(建築中の住宅検査)の現場に同行してきましたので、その様子をレポートいたします。
基礎配筋検査の前に
今回の検査は基礎配筋検査(立上り)で、担当するのは一級建築士の清水さんです。
まずは清水さんに検査をどのように進めていくのか聞いてみました。
「検査の前に図面を確認しておき、現地で図面通り間違いなく施工されているか確認します。この基礎伏図に今日の検査の内容が書かれていますよ。」と図面を見せてくれました。
これが基礎伏図です。基礎の配置がわかるようなのですが、この図面を見ても素人の私には難しすぎて読み取れませんでした...
こちらも同じ書面の右側に記載されているもので、基礎の断面がわかります。
これらの図面から配筋の形状や配置などを確認し、指定の位置に設置されているか、長さやかぶり厚を確認するそうです。素人ではこの図面通りになっているのかチェックできないので、建築士さんは頼もしいですね。
基礎配筋検査の開始
基礎配筋検査(鉄筋の径・配置・継手の長さ)
こちらが検査時の現場の状況です。工事中は危ないので、中に入れないよう鍵がかかっています。現場監督の方が来られて、開けて頂きましたがヘルメットのない私は中に入れず(–;)外から検査の様子を見せて頂きました。
現場監督の方と今回の検査内容について擦り合わせた後、検査が始まりました。
清水さんが配筋の高さや径が図面通りに施工されているか確認しています。
鉄筋が足りなくなった箇所では新たに鉄筋を継ぎ足していくのですが、この部分を継手と言います。継手部分は鉄筋を重ねる必要があり、その重ねている部分の長さも決まっています。指定通りの長さ以上で施工されているか清水さんが確認していました。
基礎配筋検査(サイコロ・かぶり厚)
この写真の鉄筋の下にある四角いブロックはかぶり厚を確保するためのサイコロというものです。かぶり厚とは、鉄筋からコンクリートの表面までの長さのことです。
こちらの物件では、6cm以上必要ですが、清水さんが計測したところ7cmあったので十分に満たしているそうです。かぶるり厚が十分にあれば劣化しにくく、基準に達していないと耐久性の面で問題が生じることがあるのです。
写真の中央の黄色い器具は基礎底盤のコンクリート表面の高さを確認するためのものです。コンクリートを打設した際に、左右は高さを測って確認しやすいのですが、真ん中は測らないことも多くあり、目視ではフラットに見えても真ん中だけ沈んでいる可能性もあるため、この黄色の器具を目印に打設するそうです。
戸建住宅でこれを使用するのはめずらしく丁寧な施工をされているとのことです。
写真の中央にある星型の器具はなんだと思いますか?私は現地に着いた時から、この星型は何のためについているのだろう?疑問に思っていたので聞いてみました。
コンクリートを打設する際に型枠と鉄筋が近づきすぎないようにスペースを確保する器具だそうです!スペーサーと呼ばれるもので、現場によっては丸い形等、形は様々あるそうです。こうしてひとつずつ、きちんと施工が行われるように工夫がされているのですね。
基礎の底盤でもかぶり厚を確保するためにサイコロがありましたが、基礎の立上りでも同じ役割をするものがあるのですね。
上のつの写真で、配筋の間隔が異なっていることがわかりますか?
ある一部分だけ細かく配筋が設置されているので清水さんに確認したところ、3階建ての建物の為、構造的に力がかかる部分はより多く鉄筋が設置されているそうです。
基礎配筋検査(アンカーボルト)
皆様、家を地震などの揺れから守ってくれる金物があるのをご存知ですか?
上の写真の真ん中の大きなボルトはアンカーボルトといい、コンクリートとその上にのる木材を固定する金物です。この大事なアンカーボルトが図面通り指定の箇所に設置されているか清水さんは確認していました。現場によってはアンカーボルトが足りなかったり、曲がって設置されたりとトラブルがある箇所です。
構造に影響を及ぼす大事なものであり、さらに何十年と住む家なのでこの基礎部分は本当にしっかりと施工してほしいですよね。こちらの現場は問題なく設置されていたので安心しました。
写真のなかの左側と右側に配管のスリーブがあるのがわかりますか?
ちなみに清水さんは奥の配筋を計測しています(^^)
コンクリートを打設する前に事前に配置しておくそうです。スリーブ廻りの補強筋の考え方は設計者や施工業者によって多少の違いがあることもあって、清水さんは現場監督の方へ強度に関することなどをヒアリングもしていました。
写真をよく見ると右側のスリーブが斜めになっているのがわかりますか?こちらの現場の配管は斜めに設置されるそうです。配管に水平の部分を作らず斜めにすることでスムーズに流れ、リフォームする際も配管の取り換えがしやすいそうです。
家の作り方もこうして日々変化し、より住みやすい家になっていくのですね。すごいですね。
以上、現場にて調査を行った内容はどの項目も、ひとつひとつ大事な検査でした。
基礎配筋検査を終えて
安心して末永く住む家になるよう、きちんと施工されることが基本ですが、そうでない施工もあるのが事実です。同行させて頂いて改めて検査の大切さを実感しました。今回拝見させていただいた物件は丁寧に施工されていたそうですが、丁寧なのかどうかも素人には判断できませんからね。
基礎の配筋検査で指摘として上がる事項が多いのは、鉄筋と鉄筋の間隔が開きすぎたり、継手の重ね部分が足りていなかったりすることだと清水さんに教えて頂きました。基礎は建物の土台となる大事な部分ですが、コンクリートを打設してしまうと配筋が隠れてしまって見えなくなってしまう前に検査しておきたいですね。
建築中の検査をご希望のお客様は早めに検査を入れられることをお勧め致します。
最後になりましたが、レポートを快く引き受けてくださいましたお客様、ありがとうございました。また、最後まで読んでくださった皆様ありがとうございました。
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