都市型中古マンション購入の注意点
マイホームを購入するなら便利な都心か都心に近いところがよいと考える人は多いですが、都市部の中古マンションは首都圏でも近畿圏でも東海圏でも、それぞれの周辺に比べれば当然ながら高めですね。それでも、都市型の中古マンションは人気を集めています。
都市型のマンションには、都市型ゆえの特徴や購入時に注意すべき点がありますから、これをしっかり確認してから購入判断するようにしましょう。
都市型の中古マンションが人気
マンションを購入するうえで立地は言うまでもなく大事なことですが、立地の良さは購入者にとっての利便性が大きな要素となりますね。利便性の良さは、都市型マンションの良い特徴(メリット)です。
どうしても、同じエリアに対して利便性の良さを感じることから、そういったエリアのマンションは高額になります。それは新築に限らず中古マンションでも同様です。便利で人気の都市型中古マンションは、高額になっていますね。
ところで、都市型のマンションといえば、どのようなマンションをイメージしますか?高層マンションでしょうか?
確かに20階を超えるような高層マンションもそうですが、30~60平米の住戸を中心としたコンパクトマンションもあります。もちろん、一般的なファミリー層を対象としたマンションもそうですね。
都市型の中古マンションを購入するときの6つの注意点
それでは、都市型の中古マンションを購入する前に知っておきたいこと、注意すべき点をご紹介していきます。
- 駐輪場の不足
- 駐車場の使用率の低さと駐車場収入の不足
- 機械式駐車場とメンテナンス費の問題
- 日当たりが極端に悪い住戸
- 隣地・周辺の環境変化(高層マンションの建築など)
- 建て替えでマンションが小さくなることもある
ここでとりあげる注意点は、上に挙げた6点です。これらは互いに関係することも多いのですが、それぞれについて、詳細を解説していきますね。
1.駐輪場の不足
都市型中古マンションの多くで問題となっていることは、駐輪場不足です。都市型であることは利便性の良いところであり、つまりは土地価格が非常に高い地域を意味します。それだけに、敷地面積いっぱいに建物を建築し、できるだけ多くの住戸を作るため、共用施設が犠牲になりがちです。
たとえば、集会室がないので管理組合の理事会をエントランスで開いているマンションもあります。そして、犠牲になっている共用スペースの代表が駐輪場です。駐輪場については、多くのマンションの管理組合において解決が困難な課題として残っています。
駐輪場の増設のために敷地内の植栽を撤去して、そのスペースに増設するマンションもありますが、緑がなくなりマンションの見栄えは損なわれます。もちろん、これに反対する人もおり、管理組合の意見がまとまらないことも多いです。
まだ、撤去できる植栽等のスペースがあるならよい方で、限られた敷地内に駐輪場を増設することが難しく、物理的に対処できないこともよくあります。
駐輪場が不足していると、敷地の内外に無理に置いている自転車が増え、これもまた見栄えを損ないますし、自転車の盗難リスクも高いですね。
都市部では自転車で移動する人も増えていますが、駐輪スペースは常に課題となっています。駐輪場の数は住戸数の2倍以上が目安ですが、単身世帯の多いマンションならば、もっと少なくとも大丈夫です。ファミリー層の多いマンションであれば2倍でも不足しますね。
2.駐車場の使用率の低さと駐車場収入の不足
駐車場の問題も根深いです。最近は車離れだと言われていますが、便利な都市部では余計に車を持たない人が多いものです。用意されている駐車場の使用率が低いことが多く、その場合、駐車場の賃料収入も少ないことになります。
新築当初は、駐車場収入を見込んで長期修繕計画を立てていることが多いですから、この収入が不足することはマンションの将来の維持・管理、そして資産価値にまで影響を及ぼすことがあるのです。
ところで、駐輪場不足という大きな課題があることを述べましたが、駐車場が余っているならばこれを駐輪場にすればよいという考え方もあります。確かに、駐車場を駐輪場に転用できるならば、駐輪場不足の解決につながる可能性はありますね。
但し、そうした場合、同じ広さのスペースでもえら得る収入は駐輪場とした方がずっと少ない金額となることが一般的であるため、駐車場収入の問題は解決しません。この辺りのことも考えながら、管理組合で話し合って決めていかねばなりません。
3.機械式駐車場とメンテナンス費の問題
都市型の中古マンションを見ていると、駐車場が機械式になっていることも多いです。限られたスペースを有効活用して、できるだけ多くの車が駐車できるようにしようということで、良い方法にも思えるかもしれません。
しかし、機械式駐車場もまた都市型マンションの大きな問題となります。ちなみに、郊外のマンションは敷地が広いことが多いため、わざわざ機械式にはせず、平地の駐車場が立体駐車場であることが一般的です。
機械式駐車場が問題である理由は、そのメンテナンス・修繕費用が高額であるからです。劣化が進んだときには、交換も考えなければなりませんが、その費用も大きなものとなります。
そして、そういった高額なコストを賄うものが駐車場の賃料収入なのですが、前に述べたように都市型マンションでは駐車場の使用率が低いことが多いのです。駐車場収入を見込んで機械式駐車場の修繕計画を考えていたものの、お金が足りないということになってしまうのです。
そもそも、新築当時に見込んでいる機械式駐車場の修繕費用が甘すぎることもあります。その上に賃料収入まで計画より少ないとなればどうすればよいのかという問題になります。不足する分は、建物全体の修繕のための修繕積立金を使うなどしなければならず、積立金の値上げなどにつながっていく可能性があります。
あまり使用しない上にコストが高いということで、機械式をやめて埋めてしまい平地の駐車場に変更したマンションもありますが、この工事にもコストはかかりますね。
4.日当たりが極端に悪い住戸
都市型マンションだけに、隣接する建物との距離が近いことは非常に多いです。バルコニーから近い距離に隣のマンションやビルが建っていることもあります。住戸によっては、日当たりが極端に悪いということもあります。
また、目の前のマンションやオフィスビルから自分の住戸のバルコニーや室内が見えてしまうということもあります。こういったことを全く気にしない、もしくは窓は開けないという使い方をする人もいますから、それは個人の考え方によるものでもあり、個々でどう考えるかですね。
5.隣地・周辺の環境変化(高層マンションの建築など)
購入するときには日当たりはよかったけど、購入後しばらくしてから隣地に大きな建物が建築されて、日当たりがなくなったというケースもあります。都市部では、大きな建築物を建築しやすいところが多いですから、すぐに近くにタワーマンションが建設されるということはよくあることです。
中古マンションを購入する前に、近隣でタワーマンションや高層ビルが建築できるかできないか、きちんと調べておいた方がよいです。不動産会社に聞けば、用途地域やその他の関連する規制を確認して教えてもらえるはずですが、自分で役所へ行って確認してもよいでしょう。
知らない人には窓口の人が丁寧に教えてくれることでしょう。
6.建て替えでマンションが小さくなることもある
古い中古マンションを購入するときに注意して確認したいことがあります。それは、容積率と建物面積の確認です。
容積率とは、その敷地面積に対して何%の大きさの建物を建ててよいかという規制です。たとえば、敷地面積が500平米で容積率の上限が300%となっておれば、建物面積は1,500平米まで建築できます。
都市型マンションの多くは、できるだけ多くの住戸を作るためにも容積率の上限いっぱいまで活用して建築していますが、非常に古いマンションでは容積率の上限まで活用しておらず、ゆとりのあることもあります。その場合、建て替え時に建物面積を増やすことができますから、それによって住戸の数や増やすか各住戸の面積を増やすことができます。これは資産価値にプラスです。
しかし、逆に今の容積率を超えてしまっている中古マンションも存在します。容積率が厳しくなって(変更されて)、現行のマンションの建物面積が容積率をオーバーしてしまっているのです。だからといって、容積率が変更された時点で既に存在していたマンションを壊して面積を減らす必要はないのですが、新しく建築するときにはその時の容積率の規定を守らなければなりません。
つまり、将来、マンションを建て替えするときには、マンション全体の建物面積を今よりも小さくしなければならないことがあるのです。これは、資産価値の面で大きなマイナス材料です。
面積を減らす場合、各住戸の面積を少しずつ小さくするのか、住戸数を減らすのかといった問題を管理組合で話し合って解決していかなければなりませんが、壁が大きくて話がなかなか進まず、結果的に建て替えもできないこととなり、劣化が進んだマンションに住み続けなければなりません。
そのときになって売却しようとしても、なかなか売却が難しいですから、そのようなマンションの購入はリスクが高いでしょう。
ここで取り上げた都市型マンションを購入するときの6つの注意点は、いずれも大事なことですからよく確認して購入判断してください。
○関連記事・コラム
○専門家に依頼するなら