中古マンションのリノベーションで失敗しないための注意点
中古マンションを購入してから買主の理想の住まいを実現するために、リノベーションを行う人が増えています。そういった人が知っておくべき、中古マンションをリノベーションするときの注意点をまとめました。リノベーションで失敗して後悔する人は多いですから、きちんと学んでおきましょう。もちろん、これから購入するマンションに限らず、居住しているマンションをリノベーションする人にも役立つ知識です。
マンションのリノベーションで失敗しないための注意点は、大きく分けて以下の2つがあります。
- 竣工図書で現在のプランを要チェック
- リフォーム・リノベーションに関するマンションの規定
それぞれについて、詳しく説明していきましょう。
竣工図書で現在のプランを要チェック
竣工図書とは、そのマンションの仕様書や各階平面図、立面図、断面図などのデザイン的なことを主とした意匠図と、設備関係についてまとめた設備図、そして構造に関する構造図の3点で構成されています(1点や2点にまとめていることもある)。
基本的にはマンションの現況を表すものですが、各室の間取りなどが変更されていたとしても、一般的には反映されていません。共用部について、マンション完成後に変更されたことがあっても反映されていないことが多いです。竣工図書は、そのマンションが完成した時点のプランを描いているものだからです。
以下では、この竣工図書でチェックしておくべき主なポイントを説明しています。
配管の位置
リノベーションを予定している住戸内の配管については、詳細を把握しておく必要があります。上水、下水、汚水の配管が住戸内のどこを通っているか(配置されているか)を確認するのです。
上水はさや管ヘッダー方式を採用するなどして、ある程度、リノベーションに柔軟に対応しやすいのですが、下水や汚水の排水管は現状から大きく変更しづらい場合もあります。
また、ダクトの配置も確認しておきます。浴室やキッチンの上からどこを通って外部へ配管されているかですね。
コンクリートスラブ
配管の位置と深く関係するものが、コンクリートスラブです。コンクリートスラブとは、断面で見るとわかりやすいですね(以下のイラストを参照)。
上のイラストは、マンションの住戸の断面を簡易的に表したものです。グレーの部分がコンクリートですから、この部分は変更することができません。床の一部で下がっているスペースがあり、そこに配管していることが多いですが、配管はこのスペース以外に配置することが難しいです。
できないわけではありませんが、そのためには配管のある位置の床を挙げるなどの対処が必要であり、室内の天井高を低くする等のしわ寄せもあるので、慎重に検討しなければなりません。
コンクリートスラブの状況をよく把握せず、中古マンション購入前に「水周りの位置をあっちへ移動させよう」などと考えても、実現困難であることはよくあることです。
床と天井の工法
床や天井の工法も竣工図書で確認しておきましょう。床が2重床という工法になっておれば、配管の自由度が増して水周りの変更をしやすいことがあります。但し、2重床といえども、床下の高さが不十分であれば、それほど配管位置の変更ができません。
排水管に水などを流すための適切な勾配が必要ですが、床下の高さスペースが不十分であれば、排水管の勾配を保てないからです。
天井も電気配線の関係で確認しておきたいものですが、一部のマンションでは天井裏に上階の配管がとおっていることがありますから、その点も合わせて確認しましょう。
上下階の間取り
竣工図書を見れば、上の階や下の階の間取りを確認することができます。上も下も同じ列の住戸なら同じ間取りであることが多いですが、異なることもあるため確認しておくとよいでしょう。水周りの下に寝室が来るなどの問題を回避するための参考になることがあるからです。
但し、竣工図書にはリノベーションした結果が反映されているわけではないですから、確実な情報ではありません。自分で居住している部屋をリノベーションするのであれば、上階の音がどの辺りで鳴っているか注意しておいてもよいですね。
リフォーム・リノベーションに関するマンションの規定
竣工図書の次に確認が要することは、そのマンション独自の規定内容です。マンションの規定によっては、希望する仕様とすることができないこともあることですから、よく確認しておきましょう。
使用細則で規定を要チェック
リフォームやリノベーションに関する規定は使用細則などで確認しましょう。「リノベーションを考えているので、関連する規定を書面で見せてほしい」と管理人などに要望すれば、見せて頂けます。購入する前のマンションならば、不動産会社を介して入手して頂くようにしましょう。
よくあることとしては、床の仕様に関する規定です。床の仕上げ材の遮音等級を規定していることは多く、その条件を満たしたものとしなければなりません。
管理会社等に暗黙のルールを要確認
リフォーム、リノベーションに関する規定は、書面で明確にしていないにも関わらず、それまでの管理運営上、あやふやに決まっているかのような運用ルールがあることもあります。これがあれば、なかなか厄介です。
使用細則などで規定を確認してリノベーションの計画を立てたにも関わらず、管理組合に工事内容を申請したら、規定にない暗黙のルールみたいなものを理由に承認されないという事例もあります。購入してから、そのようなことを言われても困ることですが、管理組合ともめても長く住み続けるマンションですから対応が難しいですね。
規定で明確になっていない暗黙の運用ルールみたいなものがないか、管理会社に聞いておいた方が無難でしょう。
これから、マンションのリノベーションをするならば、ここに挙げていることは最低限度の確認事項であり、注意点ですから、必ず確認することをオススメします。
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