住宅診断業者、ホームインスペクターの選び方と注意点
住宅購入時やリフォーム・リノベーションのとき、または自宅を売却するときに住宅診断(ホームインスペクション)を利用するならば、どの住宅診断業者に依頼すべきか、どんなホームインスペクター(住宅診断員・住宅検査員)に担当してもらうべきか迷うのではないでしょうか。
何度も家を買うことがないように、何度も住宅診断(ホームインスペクション)を利用する人もそう多くありません。はじめて利用するサービスですから、何を基準に住宅診断業者、ホームインスペクターを選べばよいかわかりづらいものです。
ここでは、最低限度、抑えておくべき住宅診断業者、ホームインスペクターの選び方と注意点をお伝えします。
■住宅診断業者選びで必須の4つのチェックポイント
- プロフィール(写真・氏名)の公開
- 建築士の資格(できれば一級建築士)
- 住宅の設計・監理の経験
- 第三者の立場(不動産、リフォームの兼業は不可)、斡旋・紹介にも注意
上記のようなチェックポイントがあります。各社のホームページから簡単に確認できることもあれば、確認できないこともありますが、細かく各社のホームページでチェックしてみましょう。
プロフィール(写真・氏名)の公開
プロフィールの確認といっても過去の職務経歴を履歴書を取り寄せて確認しようというものではありません。最低限度の情報をホームページに公開しているのか確認するようにしてください。その情報とは、氏名・保有資格・写真です。
これぐらいの情報で何が信用できるのかと思われるかもしれませんが、実はこの基本的な確認作業は重要です。なぜならば、無責任な人が担当者にならないことをチェックすることができるからです。
この住宅診断(ホームインスペクション)業界では、建設会社などで勤務する会社員が会社に内緒でアルバイトしているケースが多いからです。堂々と住宅診断業務を提供できない人である場合、ホームページ上での氏名の公表をしない傾向にあります。会社にばれないようにするからです。
事実として、長く住宅診断(ホームインスペクション)をしてきたアネストには、会社に内緒でアルバイトしたいという人たちから応募があったことが何度もあります(アネストでは、これらを全てお断りしております)。
堂々と表に出られない人に大事な住宅の診断を依頼するのは考え直した方がよいでしょう。
建築士の資格(できれば一級建築士)
次にチェックすべきポイントは保有資格です。いろいろな民間資格があり、それを強くPRしていることがありますが、今のところ民間資格で有効なものはありません。名称から住宅診断(ホームインスペクション)の専門的な資格で必要なもの、保有していた方がよいものだと誤解する人もいるようですが、住宅診断(ホームインスペクション)の実務レベルで通用するようなものはありません。
但し、最低限必要な資格として確認すべきなのは、「建築士」資格です。一級建築士もしくは二級建築士であることを確認しましょう(もちろん、できれば一級建築士)。
建築士の資格は、国家資格であり、他の民間資格よりも信頼性が高いです。しかし、この資格があれば大丈夫というものではなく、あくまで一級建築士の資格は最低限必要な条件だと認識しておいてください。大事なのは建築士として経験してきた業務内容です。
現地で担当の一級建築士に会ったときには、資格証を提示してもらって本人かどうか確認するようにしてくだい。
ここで注意しなければならない点として、担当者が一級建築士を保有する本人であるかどうかです。住宅診断(ホームインスペクション)サービスを提供する会社が「一級建築士事務所」として登録しているものの、担当者が二級建築士や他の資格者ということもよくあります。
会社が「一級建築士事務所」として登録していることと、担当者が一級建築士であることは全く別ですので注意しましょう。
住宅の設計・監理の経験
先ほど、大事なのは建築士として経験してきた業務内容だとお伝えしました。同じ一級建築士であっても、設計ばかりで現場での業務をほとんどしていないという人もいます。現場経験が少ない人では、住宅診断(ホームインスペクション)を適切に実施するのは心もとないものです。
また、現場経験があるといっても対象の建物が商業ビルや学校、官庁施設などに限られている場合も、一戸建て住宅を診断するには無理があります。
建築士としての業務経験がどういったものか、ホームページで開示されているようであれば、その内容次第で判断できます。過去の業務経験が明記されていない場合は注意しましょう。
第三者の立場(不動産、リフォームの兼業は不可)、斡旋・紹介にも注意
そして非常に大事な条件であるチェックポイントは、その会社の立場が本当の第三者であるかどうかです。第三者の立場で住宅診断(ホームインスペクション)を行うとどの会社も主張しているものの、実態が異なる、もしくは実態が微妙だと感じるものが非常に多いです。事実と印象の異なる自称だけの第三者に要注意です
不動産業者や建築業者などが出資する会社であったり、不動産業者や建築業者の下請け(お客様を継続的に紹介してもらう契約関係)になっていたりと様々な会社があります。しかも、これらの会社も第三者であると主張していることが多いため、一見したところでは判断しづらいものです。
不動産業者や建築業者から継続的にお客様を紹介してもらう関係を築いている業者である場合、不動産業者等の意向を考えたり意識したりして、消費者に本当のことを話さないことやニュアンスを操作するリスクが考えられます(そういった事実が確認されている)。
本当の第三者であるか冷静に見極めましょう。以上が、住宅診断業者、ホームインスペクターの選び方と注意点です。
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