二世帯住宅を購入するメリット・デメリットと注意点(1)

住宅の購入・建築を考えたとき、二世帯住宅という選択肢について考えることもあるでしょう。お互いの生活上のメリット・デメリット、経済・予算に関するメリットなどを慎重に考慮したうえで考えたいのが二世帯住宅の取得です。

ここでは、二世帯住宅を購入するメリットやデメリットを整理して、そのうえで注意点についてもあげておきますので、参考になるでしょう。

二世帯住宅を購入する経済的なメリット(主に税金に関するメリット)

二世帯住宅にはメリットが多いです。しかし、経済的なメリットは税金が絡むことが多くてわかりづらいものでもあります。

  1. 2棟の住宅を購入・建築するより安い
  2. 土地・建物の固定資産税の軽減を2棟分も受けられる
  3. 不動産取得税の軽減を2棟分も受けられる
  4. 小規模宅地の特例で相続税が安くなる

上の4点が経済的なメリットとしてあげられますが、それぞれについて、詳しく解説していきます。

1.2棟の住宅を購入・建築するより安い

親と子の世帯がそれぞれに住宅を購入もしくは新築することと、共同して二世帯住宅を購入もしくは新築する場合を比べると、二世帯住宅の方が安くなることが多いです。

新築を購入する場合、2棟を新築するより建築費が経済的ですし、二世帯住宅の中古物件を購入する場合も一般の中古物件を2棟購入するよりも安くなります。二世帯住宅は一般の物件よりも安い傾向があるからです。親が所有する土地に二世帯住宅を建てる場合は、土地の購入費がいらないため予算が立てやすいことも大きなメリットですね。

若い世代の経済的な負担が軽くなるということは、貯蓄がしやすく、孫世代の教育資金の確保などにもつながり、豊かな将来計画を立てやすくなります。

2.土地・建物の固定資産税の軽減を2棟分も受けられる

住宅の土地・建物の固定資産税には、もともと軽減措置がありますが、二世帯住宅の場合には建物の条件を満たしておけば、2棟分の軽減を受けることができます。

2-1.土地の固定資産税の軽減

土地の固定資産税は、土地の面積が200平米までの部分について小規模住宅地として固定資産税の評価額が1/6に軽減されるため、税金もそれだけ軽減されています(ちなみに都市計画税は1/3)。二世帯住宅で2棟分だと認められる条件を満たした場合、この軽減を2棟分も受けられるメリット(土地の面積が400平米まで固定資産税の評価額が1/6に軽減される)があります。

但し、2つの世帯が独立したものだと認められる条件を満たしておかなければならず、そのためには玄関・キッチン・トイレはそれぞれの世帯の住宅に必要です。建物内で互いに行き来できるのはよいのですが、常時開放したものではなく、扉などで仕切られている必要もあります。

この条件については、設計者や役所に確認してからプランを決めるべきです。

2-2.建物の固定資産税の軽減(新築住宅の場合)

建物の固定資産税は、建物の床面積が120平米までの部分について新築後3年間、固定資産税が1/2となります。但し、その建物の床面積が50平米以上、280平米以下である必要があります。

条件(土地の固定資産税に記述した内容)を満たした二世帯住宅であれば、2棟分ですから240平米までの部分が対象となるのです。ちなみに、長期優良住宅である場合は、新築後3年間の期間が5年間になり、より長期にメリットを受けられます。

3.不動産取得税の軽減を2棟分も受けられる

不動産取得税は、固定資産税評価額から1,200万円を控除したものに税率を掛けて計算します。これも二世帯住宅であれば、2,400万円を控除できるメリットがあります。その建物の床面積が50平米以上、280平米以下である必要性は固定資産税と同じです。

4.小規模宅地の特例で相続税が安くなる

生計をともにする親族の住宅を相続した場合、土地の評価額を80%も減額してもらえますが(但し、条件がある)、二世帯住宅であれば生計をともにしているため、これに該当して相続税の節税ができることがあります。

ちなみに、二世帯住宅といっても建物の内部で互いに行ったり来たりできないプランの住宅もあります。この場合、生計をともにしていないと解釈できそうですが、この場合でも小規模宅地の特例を受けられるようになっています。二世帯住宅で相続税の節税を考えるということもできるのですね。

但し、土地の面積が330平米までが対象となる(居住用の宅地の場合)ものですから、これを超える面積の場合は対象となりません。

 

二世帯住宅のメリット

二世帯住宅を購入する経済面以外のメリット

経済面のメリットは魅力的ですが、その他のメリットについても見ていきましょう。

  1. 子供の面倒を親に見てもらいやすい
  2. 親の面倒を見やすい(介護問題の抑制・解決)

経済面以外のメリットとして2点あげていますが、いずれも日々の生活に関わることなので、経済面よりもこちらのメリットの方が魅力を感じる人も多いのではないでしょうか。

1.子供の面倒を親に見てもらいやすい

共働きの多い子育て世代にとっては、子供の面倒は大事な課題ですね。親との同居は、共働きをサポートできる良い仕組みです。また、孫の顔を頻繁に見られる環境は嬉しいものでしょう。

2.親の面倒を見やすい(介護問題の抑制・解決)

親の介護の問題はどの家族にも大事な課題となってくるでしょう。同じ家に暮らすことで介護やそれに準ずることがしやすくなるのは良いですね。介護が必要でなくとも、親が遠くに居住していることで安否確認がままならないという問題まで浮上してくる世の中です。すぐに近くに暮らすという安心感もメリットだと言えますね。
ここまで、二世帯住宅の購入・新築することのメリットを解説してきましたが、当然ながらデメリットもあります。次の「二世帯住宅を購入するメリット・デメリットと注意点(2)」では、そのデメリットや二世帯住宅に関する注意点も取り上げます。

 

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