二世帯住宅を購入するメリット・デメリットと注意点(2)

前回の「二世帯住宅を購入するメリット・デメリットと注意点(1)」では、二世帯住宅を購入して暮らしていく上でのメリットについて取り上げ、解説しました。経済的なメリットやその他のメリットもあることがわかりましたが、次に、デメリットや注意点について解説します。

二世帯住宅を購入するデメリット

次に二世帯住宅の購入・新築するデメリットについて考えましょう。デメリットは事前に把握しておくだけでも、大きな違いがあるものです。

  • 間取り等のプランニングへの意見の相違
  • 生活習慣・考え方の相違とストレス(プライバシーの問題)
  • 二世帯での居住を解消するときの問題
  • 売却時に不利になる(売却しづらい)
  • 相続時のトラブル

 

間取り等のプランニングへの意見の相違

二世帯住宅を新築する場合、設計者等と打合せながらプランニングしていくことになりますが、2つの世帯で意見が相違してしまうことは多いです。これを上手く調整しながら進めていかなければならず、なかにはこの段階で二世帯住宅を中止するケースもあります。

楽しいはずの家づくりが、この時点でマイナスイメージになることは悲しいことですが、嫁姑問題などに発展してしまうこともあるため、状況によっては確かにあきらめるという選択肢も考慮しながら進めるぐらいの気持ちがあってもよいでしょう。

また、二世帯の中古住宅を購入する場合も希望する物件が相違することはあります。ここでも互いの調整が必要ですね。

生活習慣・考え方の相違とストレス

間取り等のプランニングへの意見の相違は、住宅を取得するまでの問題ですが、ここであげるデメリットは居住してからの両世帯の相違の問題です。

結婚するときは、2つの異なる家の文化が一緒になると言いますが、2世帯住宅も同じことが言えます。別々に暮らしていて、それぞれの文化・生活習慣・考え方というものが出来ているにも関わらず、二世帯住宅で一緒に暮らすことで互いの相違が気になり、ストレスを感じることがよくあります。

互いにあまり干渉しないことが対策になりますが、人によっては干渉しているつもりなく、干渉するということもありますから、二世帯住宅に合わない人もいるでしょう。

二世帯での居住を解消するときの問題

二世帯住宅で暮らしていくことが耐えられなくなったとき、この二世帯による居住形式を解消するための問題が持ち上がります。ちなみに、二世帯住宅を解消する理由は、転勤などが生じたケースもそうですね。

解消により持ち上がる問題の代表格は、その住宅の住宅ローンの支払いと引越し先の家賃(又は住宅ローン)の2重負担です。2世帯住宅の方の住宅ローン残高がなければよいですが、ローンがある場合は解決が難しいこともあります。

また、どちらが出ていくかが問題となる事例もありました。

売却時に不利になる(売却しづらい)

将来、その住宅を売却するときがくるかもしれません。二世帯住宅を解消したときや相続が生じた後などには、売却の可能性が出てくるのは自然なことです。

しかし、二世帯住宅を中古物件で購入する人はそう多くなく、買主の希望地域と一致する可能性はそう高くありません。売却完了までに時間がかかることも多いですし、またいつまでも売れないということもあります。買主側の両世帯がその物件を気に入らなければならないことも壁になりますね。

これからは、若い世代の経済的な問題解決の1つの方法として、二世帯住宅のニーズがより増える可能性もありますが、この可能性に今から頼ってよいのか判断が難しいところです。

相続時のトラブル

2世帯住宅で暮らす親世代が亡くなったときには、相続が発生します。相続人が一人であれば話し合いの問題も生じませんが、複数の相続人がいる場合にはトラブルになることもしばしばあります。

それまで一緒に暮らすなかで親世代の介護の面でサポートしてきたという想いと、別に暮らす相続人の間で意識のずれが大きいことはよくあることです。ほとんど介護も何もしてこなかった相続人が、その住宅の相続を求め(相続後に売却して金銭を得ることを求め)、意見が対立する可能性はあります。

 

二世帯住宅を購入するときの注意点

二世帯住宅を購入するときの注意点

二世帯住宅のメリットとデメリットを把握した後は、実際に購入する上で注意すべき点について把握しておきましょう。

  • 二世帯による居住解消に備えたプランニング
  • 二世帯住宅のデメリットを両世帯で共有する
  • 経済的なメリットを優先してよいかもう一度考える

注意点としては上のことがあげられますが、それぞれについて解説していきます。

二世帯による居住解消に備えたプランニング

二世帯住宅のデメリットとしても挙げられていた二世帯を解消するときの問題に対して事前に対策をとっておくことは大事なことです。大事なことは、1世帯のみが居住することになっても、多少のリフォームで対応できるようなプランにしておくことです。

玄関を別にして、階段も建物内部ではなく外部にしておいたほうがより独立性が高まります。また、キッチンやトイレなどの水回り設備がそれぞれにあることは言うまでもありません。建物内部でつながっている部分は1箇所のみとしておき、二世帯を解消した時にはそこをリフォームして壁を作って行き来できなくすればよいですね。

残った世帯はそのまま住み続け、空いた方を賃貸に出すことで家賃収入を得ることができます。これを住宅ローンの返済に充てることもできますから、二世帯解消時の問題を解決することができます。

二世帯住宅のデメリットを両世帯で共有する

プライバシーの問題(ストレス等)や将来の相続時の問題の解決は簡単なことではありません。この問題を抑えるには、やはり互いに二世帯住宅のデメリットを理解しておくことです。両方の世帯でデメリットを共有することで普段から気遣いすることが大事です。

相続時の問題についても、親世代の理解が必要で、早めに話し合っておくことでトラブルを抑制することもできるでしょう。

経済的なメリットを優先してよいかもう一度考える

二世帯住宅に暮らすことを両世帯で決めた後、具体的に物件を探したり、プランニングしたりしていくなかで、それぞれの世帯がもう一度、真剣に考えてみることです。決心が簡単に揺るがないかどうかです。子世帯にとっては経済的なメリットが大きいかもしれませんが、これを最優先して本当によいかどうかもう一度考えてから話を進めていきましょう。

 

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