失敗しないための資金計画にはバランスが大切
日銀のマイナス金利導入により住宅ローン金利が過去最低を更新し、フラット35が金利1%程度、銀行同士の競争が激しい10年固定金利は最低0.4%と数年前では考えられない状況になっています。
住宅ローン金利だけ見ると、家づくりを考えている方にとっては良い環境になっています。しかし、失敗しないための資金計画を立てるには、人生の4大支出のバランスが大切になります。
<教育資金>
子どもが幼稚園から大学まで進学した場合は、進路によって差異はありますがおおむね1,200万円~1,500万円かかります。これは子ども1人にかかるお金ですので、2人だと×2ですし3人だと×3となり家づくりができるぐらいの大金が必要になることを頭に入れておく必要があります。
さらに、自宅通いではなく下宿になったり、海外留学する場合には、上積みでお金がかかります。
<老後資金>
老後の収入は公的年金だけという方が大半ですので、公的年金への不信から老後が不安という方が非常に増加しています。老後に突入するまでに3,000万円用意しましょう、という雑誌記事もあったりしますが、ある程度余裕のある老後を送ろうとすると、この金額は大きくかけ離れた数字ではありません。
ただし、ご夫婦共働きなのか奥様が専業主婦なのかどうか、会社員か自営業かによっても、受け取る年金額は大きく違ってきますので3,000万円という数字はあくまでも参考程度にしておきましょう。
<住宅資金>
家づくりをするにしろ、ずっと賃貸に住むにしろ、一生で考えると住宅にかかるお金はかなりの額になります。自宅を所有すれば税金や修繕費用が発生し、住宅ローンを合わせると50年程度の期間で家にかかるお金は5,000万円以上になる方も珍しくはありません。
ですので、住宅ローン金利だけを見るのではなく、今後ずっと負担するランニングコストにも目を向けるようにしましょう。
<保険料>
人生で住宅についで2番目に高い買い物と言われることも多い保険料は、毎月にすれば大きな金額ではないかもしれませんが、数十年トータルで見ると1,000万円を超える支出になることも十分あり得ます。
家づくりは慎重に進める方でも保険は言いなりに加入しているという方は多いと思いますので、まずは遺族年金や高額療養費制度など公的な保障を理解し、保険料を抑えることも考えてみましょう。
<資金計画にはバランスが必要>
人生の4大支出を見てきましたが、この4つの支出のバランスを考えておかないと、ライフプラン=人生計画が崩れてしまう可能性があります。例えば、住宅にお金をかけすぎると子どもの教育や自分たちの老後に影響が出てきてしまいます。
また、一人一人の価値観によって家づくりにかけられるお金が違うのは想像できますでしょうか?例えば、子どものいる・いないによって家づくりにかけられる金額は大きく異なってきます。年収から一律に組める住宅ローン額を考えるのではなく、人生の4大支出を意識し、資金計画のバランスを是非考えていただきたいと思います。
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<執筆者>
・執筆者:長谷剛史
・所属会社:長谷ファイナンシャルプランナー事務所
・主な資格:ファイナンシャルプランナー(CFP・1級FP技能士)、住宅ローンアドバイザー
<執筆者のプロフィール>
住まい・資産運用・保険3つの分野に強いファイナンシャルプランナー。ライフプランを中心とした総合的な観点からアドバイスを行う。