建築条件付土地の売買契約と工事請負契約の同時契約に処分

建築条件付き土地の売買において、建築工事請負契約を同時に契約する行為が以前から問題視されてきました。

建築条件付き土地とは、その土地の購入にあたっては土地の売主が指定する建築会社に建物の建築工事を発注しなければならないとするもので、土地の売主が指定する建築会社はその売主自身であるか、関連会社や提携する会社となっています。

買主からすれば、その土地を買うのであれば、土地の売主が指定する会社で住宅を建てなければならないとするもので、自由に建築会社を選択することができません。

建築条件付土地と請負契約

これは、独禁法の抱き合わせ販売の禁止に該当するとの考えもあり、トラブルも多いことから、次のように条件を付けることによって認められています。

それは、土地の売買契約から建物の建築工事請負契約まで3ヶ月の期間を設けることです。

土地の売買契約書には、「土地の売買契約日から3ヶ月以内に売主の指定する建築会社と買主の間で、建築工事請負契約が成立しない場合には、土地の売買契約を白紙解約できる。」などといった特約が付けられます。

つまり、土地の売買契約と建物の建築工事請負契約は同時に締結するのではなく、3ヶ月の猶予期間を見ているわけです

しかし、土地の売買契約と建物の建築工事請負契約を同時に契約しようとする不動産会社は後を絶たず、買主が不利を受けているケースがよくあります。買主は、建築工事請負契約も締結しているために、建築会社との間でプランや価格などの条件面で合意できなくとも泣き寝入りしているケースも少なくありません。

今回、ある上場企業に対してこの件で国土交通省から監督処分が下されました。

建物の請負金額やプランが決まっていないにも関わらず、土地の売買契約と建物の建築工事請負契約を同時に契約したため、買主の希望する予算や間取りで住宅を建築できないと判明し、買主が契約を解除しようとしたときに、買主は工事請負契約の前払金の放棄や土地の売買契約の手付金の放棄が生じ、損害を被ることが処分の理由とされています。

宅地建物取引業法第65条にある「業務に関し取引の公正を害する行為」としての処分です。

建築条件付土地の売買に関する重要な処分事例ですから、不動産会社、ハウスメーカーなどがこれを教訓として同様の問題を起こさないよう願いたいです。買主としては、建築条件付土地の売買と工事請負契約については、十分に注意したいところです。

執筆者:専門家

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