新築一戸建て住宅の基礎工事の流れとチェックポイント
新築一戸建て住宅を購入するのであれば、その工程についてある程度は知っておいた方がよいでしょう。自分の家の工事の凡その内容も理解できずにいては、工事進捗も建築工事の品質もチェックすることもできません。専門的で難しいと感じるかもしれませんが、ここで説明する凡その流れを抑えておくだけでもきっと役立つでしょう。
< 基礎工事の流れ >
一般的な基礎工事の流れです。建物によって、コンクリート打設のタイミングの相違などがありますが、概ねこの流れになると考えておいてください。ちなみに、地盤改良や地盤補強を行う場合には、これらの工程も入ります。
- 地縄張り・遣り方(やりかた)
- 根伐り(掘り方)・捨てコンクリート
- 基礎の配筋(底盤と立ち上がり)
- 基礎底盤のコンクリート打設
- アンカーボルトの設置
- 基礎立ち上がりのコンクリート打設
< 工事の詳細とチェックポイント >
上記が基礎に関する工事の大まかな流れですが、以降ではそれぞれの工程についてもう少し詳しく解説し、各工程におけるチェックポイント(検査すべき点)をあげていきます。
・地縄張り・遣り方(やりかた)とチェックポイント
地縄張りとは単に縄張りと呼ばれることもありますが、その敷地内における建物の配置を示す工程です。縄や紐で配置を示していく作業です。この工程にミスがあれば、建物の配置を間違うことになります。そのようなことはあり得ないと思うかもしれませんが、ホームインスペクションのアネストが行ってきた建築中の住宅検査でも、建物配置を間違っていたことを指摘した事例が何度かあります。
買主(建売住宅の場合)または施主(注文建築の場合)は、地縄張りに立ち会って図面通りであるか敷地配置図と照合しながら確認しましょう。敷地の境界から建物の位置までの距離は必ずチェックすべき項目です。
このときに高さの基準とするグランドレベル(略称:GL)を設定しますが、一般的にはマンホール等の動かないものをベンチマークとして、そこから一定の高さをGLとします。
また、敷地内にごみや撤去した建物等の残材などがないかもチェックしましょう。基礎コンクリート等に混ざってしまうこともあるため、意外と重要なチェックポイントです。
・根伐り(掘り方)・捨てコンクリートとチェックポイント
根伐りも掘り方も同じ工程を指します。地面を掘る工程のことで、掘った後には砕石を敷き詰めます。砕石のうえからしっかりと転圧して、地面を固めていくのですが、この作業も重要です。この転圧が不十分であるがために、基礎にひび割れが生じることもあるからです。
住宅によっては、砕石の前に割栗石を敷き詰めて転圧しておくこともありますが、最近はあまり見られません。
根伐りのときには、掘った部分の深さや巾を確認する必要があります。また、ここでも不要なごみや残材がないか確認します。転圧の作業は丁寧にしっかりやっているか見ておきたい工程です。
砕石をしっかり転圧した後に防湿シートを設置します。基礎の底の部分(底盤)全体を覆うように設置しなければなりません。この工程では、防湿シートに破れがないかチェックしましょう。
防湿シートの設置後は捨てコンクリートと呼ばれるコンクリートを打設します。捨コンと略して呼ぶのが一般的です。この捨コンを重要な構造部分と誤解する人もいますが、これは構造体ではありません。しかし、これが重要でないというわけではありません。捨コンは基礎の位置を示す作業(墨出し)のために必要な工程です。
捨コンの工程を省く住宅もありますが、実施した方が工事の精度という点で安心感がありますから、実施有無は確認しなければなりません。
・基礎の配筋(底盤と立ち上がり)とチェックポイント
基礎の配筋工事についてです。鉄筋を配置していく大事な工程であるのは言うまでもありません。基礎の底盤部分から配筋していきますが、鉄筋は何もしなければコンクリートの打設時にずれてしまい、必要なピッチやかぶり厚を確保できないため、結束線で鉄筋を固定したり、スペーサーを使用して必要なかぶり厚をキープしたりしなければなりません。
もちろん、こういった鉄筋の固定状況やスペーサーによるかぶり厚の適切な確保ができているかどうかは、非常に重要なチェックポイントです。メジャーで計測して確認していかなければなりません。
そして、鉄筋と鉄筋の間隔(ピッチ)の確認も重要です。図面通りに施工されているか実際に計測して確認するべきです。その他にも、鉄筋の径が仕様通りであるか、鉄筋の配置に間違いがないかもチェックが必要です。
基礎配筋はコンクリート打設後には目視確認できないため、後から基礎に心配される症状が出ても確認が難しく、建築会社との間で補修対応について意見が相違してトラブルをなかなか解決できないことも多いです。コンクリートの打設前に必ずチェックしておきましょう。
・基礎底盤のコンクリート打設とチェックポイント
基礎コンクリートの打設は、底盤と立ち上がりの2度に分けて行うことが一般的になっています。2度打ちと呼ぶこともありますが、2度打ちかどうかは工程表で確認するか、建築会社に聞いておきましょう。
基礎の外側にそって型枠を設置し、その内側へコンクリートを打設します。
コンクリート打設時のチェックポイントは、バイブレーターでコンクリートに振動をあたえて内部の空隙を無くすのですが、この工程を丁寧にしておかないと基礎にジャンカが生じることがあります。よって、バイブレーターを丁寧にやってくれているか現地で見て確認しましょう。
コンクリートの打設後には、コテ等で表面を平らで滑らかにしあげていく作業が入ります。これも丁寧な作業が求められ、雑な施工になれば表面のひび割れが生じやすくなります。
・アンカーボルトの設置とチェックポイント
基礎の立ち上がり部分にアンカーボルトを設置していきます。アンカーボルトは基礎と土台をつなぐものです。基礎とその上の構造をしっかり留めるために重要な役割を果たしているものですから、現地でチェックしたい項目です。
アンカーボルトの設置状況によっては、基礎立ち上がりにコンクリートを打設したときに位置がずれたり大きく傾いたりすることがよくあり、これによって基礎と土台のつなぎに支障をきたしてしまいます。このアンカーボルトを鉄筋に結束線でしっかり固定しているか、入念にチェックしましょう。そして、その位置・本数も仕様通りか確認しましょう。
・基礎立ち上がりのコンクリート打設とチェックポイント
基礎立ち上がりのコンクリートを打設する前に、基礎内側にも型枠を設置します。型枠が全て設置されてから、コンクリートを打設していきますが、底盤への打設のときと同じく、バイブレーターで丁寧に締め固めしているか確認しなければなりません。
そして、アンカーボルトが打設により傾いたりずれたりしていないか目視確認していきます。素早く確認し、異常があればすぐに位置を戻す等の対応が必要です。
コンクリートの打設後には、これも底盤と同じでコテ等で表面を平滑にしていきます。そして、立ち上がりの一番上の部分にはレベラーを流すことでより平坦に仕上げます。この上に土台を施工していくため、ここを水平に仕上げる必要があるのです。
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