新築住宅の内覧会(完成検査)で指摘の多いランキング(TOP5)

新築一戸建て住宅を購入して、もうすぐ引渡しを迎える人にとって気になることは、引渡し前の内覧会(=完成検査)でのチェックポイントですね。何をチェックして売主や施工会社に指摘し補修を求めるべきなのか、明確にわかっている人は少ないです。

新築住宅の内覧会(完成検査)でチェックするべきポイントは多数ありますが、そのなかでも指摘数が多いポイントがわかれば、忘れずに確認しておくことができますね。ここでは、第三者の専門家が新築住宅の買主の依頼で内覧会に立ち会って検査を行った実績から、指摘数の多い事項をランキング形式で公表します。

専門家がよく指摘するポイントは、あなたもチェック必須

住宅検査の専門家が現場で指摘してきた項目で、かつ指摘頻度が高いということは、あなたが購入した住宅においても同様の指摘が生じる可能性が高いということです。数多くからチェックポイントの全てを理解して、自分で確認するのは無理でも、指摘頻度の高いところだけでも抑えておきたいものです。

建築の専門的なことでわかりづらいのではないかとイメージするかもしれませんが、事前にチェックポイントを理解しておけば、素人でもチェックできることはあります。ここで、よくある指摘を写真付きで解説しているので参考にしましょう。

内覧会(完成検査)での指摘数ランキング TOP5

指摘数ランキングの結果は、2003年より多数の住宅に対して、内覧会立会い・同行サービスをしてきたアネストブレーントラストの実績によるもので、第5位から第1位までを公開しています。それでは、ランキング結果と解説をご覧ください。

第5位 サッシ周りのコーキングの施工不良

新築住宅の内覧会でよく指摘される項目の第5位は、サッシ周りのコーキングの施工不良です。サッシ、つまり窓の周りに施工されているコーキングの施工状態がよくないので補修を要すると判断したものです。

サッシ周りのコーキング

サッシ周りのコーキングは建物の外部から確認します。サッシは、実は雨漏りの原因箇所となることが多い危険な場所でもあることから、サッシ周りのコーキングについては細かく丁寧なチェックが必要とされる大事な箇所なのです。

外壁面から外壁内部への浸水を防ぐ役割があるのですが、わずか一部でもコーキングの施工し忘れや雑な工事があれば、そこから雨水が壁内部へと入ってしまうことがあります。外壁の内部では防水シートがあり、それ以上の侵入をしないように防ぐのですが、サッシ周りの防水シートの施工ミスも多いため、漏水リスクが高い箇所となっているのです。

ちなみに、防水シートは壁の内部にあるものであるため、完成時の検査(内覧会)では確認することができません。

各サッシの周りを1つずつ丁寧に目視で確認していくしかないのですが、忘れやすいのがバルコニーのまたぎ部分の下側です。

サッシまたぎ部分の裏側

この箇所はバルコニー側から、覗き込んで丁寧に確認してください。屈んで確認するとよいのですが、下の写真のように鏡を使用すると楽に確認することもできます。

鏡で確認

チェック漏れしやすい箇所ですが、施工時も施工後の確認が漏れやすい箇所でもあるのです。雨漏りの発生箇所としては有名なバルコニーのまたぎ部分は最新の注意を払って確認しましょう。

第4位 扉の調整不良

次に第4位です。それは、室内扉の調整不良です。

扉の調整不良

この確認は比較的簡単なものです。全ての扉において、実際に開閉させて(動作させて)ガタツキがないか、重すぎないか確認していきます。また、扉を閉じた状態で建具枠との隙間に異常がないかも目視確認してください。

このチェックで扉に異常を確認したとしても慌てることはありません。この調整は容易なものですから、安心して指摘するとよいでしょう。

第3位 屋根裏の断熱材の施工不良

指摘の多いランキングの第3位は、屋根裏にある断熱材の施工不良です。

多くの住宅において、屋根裏の断熱は天井断熱になっています。天井断熱とは天井材のすぐ上に断熱材を敷き詰めるように施工しているもので、天井面で断熱するのです。これに対して屋根断熱という工法がありますが、これは屋根面に断熱材を施工しています(下図を参照)。

断熱工法

 

天井断熱である場合、断熱材が隙間なく設置されているのか目視確認していきます。屋根裏の点検口から覗いて確認する必要があるため、大きめの脚立を用意しておくとよりよいでしょう。売主に事前に依頼しておくと大きな脚立を用意しておいてくれることもあります。

屋根裏の断熱材

上の写真は断熱材が乱れて隙間が生じていますね。これは、きちんと施工しなおしてもらわなければなりません。

第2位 玄関・ポーチの床タイルの浮き

指摘ランキングの第2位は、玄関や玄関ポーチの床タイルの浮きです。これは非常に多い指摘ですね。

玄関タイルの浮き

タイルの施工は丁寧にしないと浮きが発生してしまうことがよくありますが、見た目だけではわかりづらいので、目視確認というわけにはいきません。専門家がチェックするときには、打診棒(またはこれに代わるもの)でチェックします。

打診棒でタイルを叩いてしまうとタイルが割れたり、ひびが入ったりすることもありうるため、叩かずに軽く転がすように滑らせるのがコツです。せっかくの新築住宅ですから、ここは慎重に転がすように確認してください。

このときに、タイルが浮いているかどうかは音の変化で察知しなければなりません。ここが少し難しいポイントなのですが、タイル全体で打診棒を転がすようにしてよく音を聞いておけば、音の変化があればわかると思います。

ちなみに、打診棒と書きましたが、わざわざこれを購入する必要はありません。マイナス・プラスドライバーなどを逆向きにもって使用しても大丈夫です。

タイルが浮いていても見栄えには影響がありませんから、部分的なものであれば気にしないという人もいます。ただ、浮いている個所は何かをそこへ置いたときに割れやすいなどの問題があるので、できれば補修してもらった方がいいですね。

第1位 床下の断熱材の施工不良

そして、いよいよ新築住宅の内覧会(完成検査)で最も指摘が多いランキングの第1位です。それは、床下の断熱材の施工不良です。屋根裏の断熱材の施工不良が多いことも既出の通りですが、床下はもっと指摘が多い箇所です。

床下の断熱材は床下点検口から目視確認しましょう。床下収納庫がある住宅では、これが点検口を兼ねているはずです。

但し、点検口からは一部のみしか目視できません。床下には基礎コンクリートなどがあるため、奥まで目視することができないのが難点です。専門家の内覧会立会い・同行サービスを利用する場合には、床下まで潜ってもらって確認してもらうとよいですね。

点検口から見える範囲で問題があれば、やはり奥も心配ですから、せめて売主や施工会社には再チェックを依頼すべきです。

床下断熱材

ところで、床下の断熱材の施工不良とはどういうものでしょうか。上の写真はその一例ですが、床面の裏側に施工された断熱材が下に垂れ下がっている状況です。新築なのに断熱材が落下していたり、垂れ下がっていたりすることがよく発見されています。

落ちた断熱材

ちなみに、新築完成時点で既に落下等がみられるということは、もう少し期間が経過したときにはもっと落下等が生じてしまう可能性が高いので、半年後、1年後にも点検しておく必要がありますから忘れないようにしましょう。

断熱材の施工不良は、建物の断熱性能の低下や結露などの原因となることがあるため、新築住宅の引渡し前には必ず丁寧に確認しておきましょう。

 

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