新築建売住宅のオプション工事の注意点
新築一戸建て(建売住宅)を購入する人のなかには、その購入代金(本体価格)に含まれないオプション工事を発注する人も多くいます。基本的にはプランが決められている建売住宅でも、オプションを追加できることはよくあることです。
ここでは、新築の建売住宅を購入した人が、オプション工事を発注する際に注意すべき点や知っておきたいことをご紹介しています。
建売のオプション工事は割高なことが多い
よく言われることですが、建売住宅を購入したときに売主にオプション工事を追加発注すると、その商品や工事内容の割に高すぎるケースがあります。このことについて解説します。
建物の本体価格が安くてもオプション工事は高い
建売では、建物の本体価格を安く買えるように抑えていることも多いですが、その割にオプション工事の価格が高いということがよくあります。
たとえば、サッシ4カ所分の網戸の購入と設置作業だけで17万円もする見積書を見たこともあり、驚きました。網戸の商品価格は安いですし、その設置作業は簡単ですから、この価格はちょっと、、、
オプション工事の代金が高いのは会社によって異なることですから、個別に見積りをとって判断するしかないですが、売買契約を結ぶ前に確認しておいた方がよいでしょう。
オプションはコスト抑制の仕組みを確立していない
年間の供給棟数が非常に多い建売業者であれば、建築コストの抑制に非常に熱心であり、コスト削減を追求し続けています。その成果として、消費者に安く提供できているわけですから、消費者もその恩恵を享受できていると言えますね。
しかし、そういった建売業者であっても、オプション工事については無頓着な会社もあり、あまりコスト削減をしていないこともあるので、本体価格に比べて割高な印象を受けるのです。
担当によってはオプション工事の受注を嫌がることもある
オプション工事は本体の売買代金に比べると安いものですが、それでも会社の売上を伸ばすものですから、営業担当者が熱心に買主に営業してもよさそうに思います。しかし、実際にはオプション工事を熱心に進めない業者が多く、買主から説明を求めても対応が良くない担当も少なくありません。
オプション工事の受注を避けているように感じることもあるのですが、その理由はなぜでしょうか。
手間がかかる
担当者がオプション工事の受注に積極的ではない理由の1つは、意外と手間がかかるからです。1つ1つのオプション工事は建物本体の売買代金に比べると安いのですが、複数の商品から選択できるようなオプションであれば、買主に迷いが生じて選択に時間がかかったり、質問が多くなったりしがちです。
買主へのアドバイスや質疑応答などの手間を面倒だと感じる人は多いですから、積極的に営業しないのです。
個人成績にならない
不動産の営業担当者の多くの給与制度は、歩合給になっています。基本給が安い代わりに物件を売ったときの歩合給で収入を上積みしているのですが、建物本体を売った場合と違って、オプション工事を受注しても給与に反映されないことが多いのです。報酬を追加で得られないうえに手間がかかるとなれば、扱いたくないと考えるのも理解できるのではないでしょうか。
これは、担当者個人の問題だけではなく、会社や業界の体質の問題でもありますね。
仲介業者は興味がなく売主の担当には会わない
建売住宅は、売主が自社で直接営業して販売することもありますが、販売行為を他社(仲介業者)に任せていることも多いです。後者の場合、オプション工事は誰が営業するのでしょうか?
仲介業者にとっては、オプション工事の紹介・受注は儲けの無い余計な作業です。売主は、オプションの説明・受注を行う体制をとっていないことも多いです。つまり、誰も対応していないということもあるのです。
複数の業者を比較検討すべき
建売住宅を購入した時のオプション工事について、ここまでに記述したことを見てきたら、無理にその物件の売主に依頼する必要がなく、購入後に別の業者に発注すればよいのではないかと考える人も多いでしょう。
オプション工事にあるような工事は、物件の売主に固執せず、他の業者(リフォーム業者など)も対象として比較検討した方が良いと言えます。
網戸やカーテンレール、ウッドデッキ、ベランダの屋根、外構工事など様々な工事がありますが、こういった建物の売買代金に含まれていないものを希望するときは、複数の業者から相見積もりをとって比較検討することは必須ですね
建売住宅のオプション工事あるある
最後に、建売のオプション工事に関することでよくあることをまとめておきます。会社や物件によって異なることですから、全ての物件に該当しないことは理解したうえで読んでください。
丸投げや紹介のみの対応も多い
建売の売主が積極的にオプション工事を説明し受注しているにもかかわらず、その工事を他社に丸投げしていることがあります。丸投げして利ザヤを稼ぐわけです。また、売主が自社では受注せず(丸投げもせず)、他社に紹介という形をとることもあります。この場合、他社からキックバックあるので、それを目当てで紹介しているわけです。
営業担当によっては、紹介先の業者からその営業担当個人に対して支払われる紹介料を得ていることもよくあります。なかには、会社が自社でオプション工事を行うにもかかわらず、他社を紹介して個人的なメリットを求めるケースまであります。
建売住宅そのものの支払いとは別に決済する
建売の売主にオプション工事を発注したケースにおいて、本体の売買代金とは別にオプション工事の代金を支払うことがあります。支払いを一度にまとめておいた方が楽なのですが、本体を先に支払ってからオプションを後から支払う流れは少なくありません。これは次の話とも関係があります。
建物本体を引渡してからオプションの工事を始める
建築中や建築前の建売住宅を購入したとき、買主がその売買契約とほぼ同時にオプション工事を発注することもあります。その場合、普通に考えればもともと予定していた工事と並行してオプション工事もした方が効率の良いという工事項目もありえます。
しかし、売主によっては、オプション工事の内容などに関係なく、一貫してオプションは本体が完成して引渡しを終えてからしか着手しないということがあります。非効率なうえに引渡し後ということは、本体価格を先に支払ってから、オプション工事をしてその追加代金を支払う流れになるのも少し面倒ですね。
本体工事とオプション工事を別物として完全に分離させたい売主は意外と多く、その理由としては、本体工事のコスト抑制の仕組みに影響が出る可能性や、普段の担当な管理がやや複雑になること、またオプションは丸投げを前提としているために同時進行がしづらいことなどがあげられます。
建売の売主以外に追加工事を発注する場合の注意点
売主のオプション工事として発注せず、別のリフォーム業者などに発注する工事がある場合、買主は保証に関して注意しなければなりません。
建売の売主は主要構造部や雨漏りの防止に関する部分について、10年間の保証義務を負っています。その他にも各社が独自で保証制度を設けていることも多いです。この保証に関わる部分を売主以外で工事した場合、その工事内容によっては保証の対象外となることがあります。
たとえば、ベランダに屋根を付けたという場合、その設置工事によって外壁などにネジ穴をあけたことが原因で漏水することもありますが、売主の保証対象とならないことはありうることです。買主にとって厳しい状況として想定されるのは、雨漏りが発生した時に新築工事に問題があったのか、別業者にしてもらった工事に問題があったのか特定が難しい場合です。
どちらの業者も責任を認めず、なかなか解決しないということもあるため、追加で発注する工事については保証のことも考慮して検討した方がよいでしょう。
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