新築住宅の床下漏水被害の対処方法と注意点(2)

前回の「新築住宅の床下漏水被害の対処方法と注意点(1)」では、漏水が発見された後の初期対応や売主・工務店等の提案する対処方法への注意点などをお伝えしました。今回は、床下で漏水があったときの様々な注意点について解説します。

< 床下漏水被害の対応上の注意点 >

床下の漏水被害にあった場合、注意すべきことは前述の事項以外にもたくさんあります。対応を間違えれば、建物の劣化・痛みを早めてしまい、結果的に住宅所有者が損することになるため、十分に注意してください。

  • 原因と被害範囲の両方を確認する
  • 排水だけではなく十分に乾燥させる
  • 断熱材は濡れたら交換する
  • 木部は含水率を計測する
  • 濡れた箇所以外も点検する
  • 基礎コンクリートの強度はそれほど心配ない
  • 時間をおいてから経過観察する

漏水被害にあった人の話を聞いていると、漏水の原因追及への意識は高いのですが、意外なことに被害範囲の確認への意識がそれほど高くないことが多いです。原因と突き止めてそれを解消することが重要なのはもちろんですが、それと同じく被害範囲を確認することも重要です。

漏水で木部が濡れた

その理由は、被害範囲を確認しなければ、補修すべき範囲を決められないからです。たとえば、漏水によって床下の湿度が異常に高まり、土台や大引きといった木部にカビが生じたという事例は少なくありません。漏水による水たまりがあった箇所のみならず、他の箇所にカビが見つかった事例もあるため、床下はできる限り広範囲に確認した方がよいです。

給排水管からの漏水であった場合、漏水箇所によっては断熱材が濡れてしまったということもありますし、床の下地材が濡れていたこともあります。床の下地材の場合は、床下側から濡れた範囲を点検する必要もありますし、状況によっては床の仕上げ材を撤去して確認する必要があることもあります。

原因追及と一緒に被害範囲の確認は必ず実行してください。

漏水が見つかれば、当然、溜まった水を排水させる必要があります。当然、これは誰もが実行することです。そして排水させた後には床下を十分に乾燥させなければなりません。排水して漏水を止めた(補修した)からそれで終わりなどと考えてはいけません。

乾燥が不十分であった場合、しばらくして床下を点検してみたら、カビが繁殖していたということもあります。乾燥は大変重要な工程ですから、売主や工務店等にしっかり要望してください。

断熱材が濡れてしまった場合、原則として、断熱材は交換してもらった方がよいでしょう。断熱材を乾燥させても本来の性能を十分に発揮できるか疑問があるためです。売主や工務店等が応じない場合、その断熱材のメーカーに問い合わせて、濡れても十分に本来の性能を発揮できるか確認をとってください。発揮できないとなれば、その見解を基に売主や工務店等と交換を求めて交渉するとよいでしょう。

大引き・土台への漏水

木造住宅の場合、床下には土台や大引きといった大変重要な役割を果たす木部があります。木部に問題がないかどうかは目視だけでは判断がつきづらいものです。直接に水に濡れていなくとも、念のために水分計で含水率を測定して異常の有無を確認してください。

床下の異常な湿度が1つの要因となって、木部の含水率が高いこともあります。

木部に限らず、濡れた箇所でない範囲も床下全体にわたって確認しておくことも考えてください。後々、別のトラブルが生じたときに、何が原因で起こった問題なのか判断できないこともありますし、漏水箇所から離れた箇所でカビや腐食が確認されることもあるからです。

床下で漏水した場合に基礎コンクリートの強度を心配する人がいます。漏水したことだけで基礎コンクリートがダメージを受けることは考えづらいので、基本的にはその心配は必要ありません。但し、基礎にひび割れ(クラック)があり、そこから水が基礎内部へ侵入した恐れがあるときは内部の鉄筋の腐食や錆が心配されることもあります。

ひび割れ(クラック)に限らず、基礎の底盤(底の部分)と立上り(縦の部分)の打ち継ぎ箇所から水が浸入することもあるため、そういった可能性が無さそうか床下の点検時に確認した方がよいでしょう。

そして、最後に大事なこととして、排水・乾燥・補修工事をしっかりしてもらってから、数カ月(3カ月・6カ月など)経過してから床下の点検をする(経過観察する)ことも忘れないでください。補修する段階で、売主や工務店等にこの経過観察することをきちんと約束してもらっておくことです。

経過観察でも、床下は全面的に異常の有無を点検してもらうようにしましょう。

床下は住宅の基礎・土台といった大事な部分であることは言うまでもありません。漏水したときはもちろんですが、そうでなくとも普段からたまに点検しておくとよいでしょう。

執筆者:専門家

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