建売住宅の仕様は注文住宅に劣る?
住宅を取得しようとする人の多くは、漠然と建売よりは注文建築の家の方がいいというイメージを持っているのではないでしょうか。注文建築の方がいいけど、土地を持っていなかったり予算が厳しかったりといった何らかの理由で建売住宅を選んでいる人は少なくないでしょう。
注文建築の方がいいと考える理由は、間取りなどのプランを自由に選べるからですね。
ただ、注文建築の方が良いもの(材料など)を使って建てると考えている人が多いですが、それはそうとも言い切れません。注文建築でも、低価格を武器に展開しているハウスメーカーでは、ある程度の選択肢のなかから選んでいく方式を採用していることもありますが、この場合、材料等の品質が良いものではないことも少なくありません。
選択肢から選んでいく時点で、注文建築というよりもセミオーダーもしくはパターンオーダーと呼んだ方がよいようにも思われますね。
誰にでも予算というものがありますが、その予算次第では、注文建築で家を建てるよりも同じ予算の建売住宅を買ったほうが良い材料が使われていることもありますから、あまり単純に「注文建築 > 建売住宅」と考えない方がよいでしょう。
また、施工品質の点でも誤解が蔓延しています。施工品質とは、簡単にいえば施工ミス(施工不良)の有無が多いか少ないか、また施工ミスをきちんとチェックして適切に補修しているかという点です。
建売住宅は危ないと言う人は多いですが、注文建築の住宅であっても、適切な工事監理や社内検査がなされず、施工品質に問題のある住宅は多いです。低価格路線の注文建築に関わらず、高価格帯の住宅でもあります。
住宅の施工品質は、建売か注文かという取引形態で決まるものではなく、工事監理や社内検査を本気で行っているかどうかの問題なのです。残念ながら、注文建築でもこれらが疎かにになっている建築会社などが多いという現実を住宅取得者は知っておいたほうがよいでしょう。
設計事務所と設計、工事監理の契約をして、工務店と工事の請負契約をして進めている取引では、施工品質に大きな問題が生じる事例は多くありません。もちろん、工事監理者の能力、経験などにもよるのですが、ハウスメーカーや建売業者よりも施工品質が高いケースは多いです。
ただ、この取引の進め方の場合、設計料や工事監理料が他のケースに比べて高くなるケースが多く、消費者としては迷うところです。
建物の仕様レベル、使用材料、施工品質のいずれをとっても、建売住宅が注文建築より劣ると決めつける考えは間違っていることも多いため、注意しましょう。
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