空き家とホームインスペクション
日本では人口が減少傾向であることが明らかであるにもかかわらず、新築住宅の供給は止まりません。国土交通省が公表した平成27年度(2015年度)の建築着工統計調査を見ても、新設住宅着工戸数は92万537戸となっており、その前年に比べて4.6%も増えています。
人口減で住宅需要が減っていく状況にありながらも、新しい住宅の供給は減っていないのです。当然のことながら、古い住宅を中心に利用、活用されていない空き家が増えています。抜本的な解決策を講じない限り、今後もますます増えていくことは間違いないでしょう。
実際に空き家の所有者(オーナー)にとっては、空き家問題にどう対処していくかは真剣に考えなくてはいけません。とりあえず、何もせず現状のまま所有しておく、つまり問題を先延ばししておくという人が多いですが、ただ所有しているだけであっても、固定資産税や都市計画税といったランニングコストがかかります。その不動産にもよりますが、都市部では年間で数十万円の負担となることが一般的です。
空き家になるのは需要の無い田舎だと考えている人もおりますが、実際には都会でも空き家があり、今後は都会でも増えていくでしょう。
空き家の多くは建物の築年数が古いものであり、これを活用(貸す等)するにしても売却するにしても、所有者にはリスクが伴います。貸したものの、借主から不具合等へのクレームがあり修繕等の対応が大変だとか、売ったものの買主から後日に瑕疵担保責任を求められることなどがあります。
建物の劣化、不具合に起因するトラブルが多いこともあり、空き家の所有者としては建物の状況をできる限り正確に把握しておきたいものです。把握して、事前に補修等の対応ができれば理想的です。
そのためによく利用されるのが、ホームインスペクション(住宅診断)です。空き家の利用や活用をする前に、建物の抱える問題点を把握し、対処するための有効な手段です。売却するにしても、その前にホームインスペクション(住宅診断)をしておき、買主の資料として提供したり、補修の必要箇所を先に補修しておいたりといった対応をする人も増えています。
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