中古住宅の購入時の外壁のチェックポイント
これから中古住宅を買おうと考えて、現地へ見学に行ったとき、すぐに建物内部へ入って間取りの確認だけで終えていませんか?
部屋の中の確認も大事ですが、実は建物外部には大事な確認すべきポイントが多いです。外観はざっくりと眺めるだけで済ませて内部の確認だけをするのではなく、外部から時間をかけてチェックしてください。外部でも基礎や外壁などの部位がありますが、今回は外壁で買主がチェックすべきポイントを紹介します。
1.外壁の役割
中古住宅を見学しに行ったときに確認すべき外壁のチェックポイントを理解するために、基礎的なこととして外壁の主な役割を確認しておきましょう。
外壁には、主に以下の役割があります。
- 雨から守る
- 風から守る
- 日照から守る
- 建物内外の遮音・防音
- 断熱
- 建物内部を見えないようにする(プライバシーの保護)
- 建物のデザイン性(住宅の見栄え)
上にあげた項目のいずれに関しても、現地見学の際には意識して見ておけばよいですが、そのなかでも「雨から守る」を重視したチェックが必要です。つまり、雨漏りしそうにないかどうかです。
ただし、外壁の劣化は、雨・風・日照によって進んでいくものですから、「風から守る」「日照から守る」という点も大事ではあります。
それでは、雨・風・日照を意識した現地での外壁のチェックポイントを解説していきます。
2.外壁のチェックポイント
中古住宅の外壁を現地チェックする際、雨が建物内部へ侵入しそうな箇所がないか意識して確認することは大変重要です。しかし、雨水は目で見てもわからない程度の隙間からも侵入することが多く、また目で見づらい箇所から浸入することもあります。つまり、目視点検で全てを完全に把握することは無理です。
実は、住宅診断(ホームインスペクション)のプロにとっても、雨漏りしそうな箇所を全てチェックしきることはできません。それでも、出来る範囲でチェックしておくことで購入後に後悔するリスクを少しでも減らしておきましょう。
2-1.仕上げ材の劣化・ひび割れ・欠損
外壁の仕上げ材とは、建物外部から外壁を目視して実際に見えている材料のことです。最近の建売住宅ではサイディング(窯業系・金属系・樹脂系など)が多いですが、モルタル塗りやタイル仕上げの住宅もあります。
仕上げ材の種類が何であれば、その仕上げ材そのものに、劣化・ひび割れ・欠損などの症状が出ていないかよく確認してください。たとえば、サイディング材にひび割れがあればそこから雨水が浸入する可能性は高いですし、モルタルにひび割れや欠損があればモルタルの裏側に雨水がまわって剥落しやすくなります。
また、手で触って白い粉が付くようならば劣化が進んできていることがわかります(白い粉が付くことをチョーキング減少と言う)。日照や風雨によって劣化が進みつつある証です。これ自体は直ちに危ないわけではないですが、塗装などの対応を考える時期が近づいていると考えた方がよいでしょう。
2-2.仕上げ材の継ぎ目の劣化・欠損
外壁をチェックするときに非常に重要な項目となるのが、仕上げ材と仕上げ材の継ぎ目です。外壁の仕様にもよりますが、この継ぎ目はシーリングされていることが多いですが、このシーリングの劣化がひどいときには、雨漏りの要因になることがあるので、丁寧に見ておきたいところです。
シーリングの劣化というものは、慣れていない人が見ても、見た目では細かなことのように感じられて大したことないと判断しがちですが、実はそういうもののなかに雨漏りリスクもありうるので注意して観察してください。ひび割れがあってぱっくり割れているようなら、リスクはより高いと言えます。
2-3.サッシ・配管貫通部等の開口部周りの劣化・欠損
外壁では、仕上げ材間の継ぎ目以外にもシーリングが使われる箇所は多いです。たとえば、サッシの周囲です。サッシがある箇所は、言わば外壁に空いた穴ともいえる箇所で、穴があり貫通しているだけに、外壁内部の防水シートの無い箇所ともなっており、雨漏りしやすい箇所なのです。
ちなみに、外壁の内部には防水シートがあり、仕上げ材を突破して壁内に入った雨水を防水シートで守っているのです。しかし、サッシがあるということは、そこには防水シートがないというわけなのでリスクが高いとなるわけです。
ところで、サッシ以外にも外壁の貫通部分があります。たとえば、配管するための穴です。配管のための開口部はサッシと同じで周囲のシーリングが重要です。また、ダクトやエアコンスリーブなども外壁を貫通している箇所ですから同様のことが言えます。
こういった貫通部分周りのシーリングにひび割れなどがあれば、雨漏りの可能性が高いことを知っておきましょう。
2-4.バルコニーと外壁の取合い部の劣化・欠損
次に紹介するチェックポイントは外壁とバルコニー手摺壁の取合い部分です。ここはバルコニーから目視でチェックしてください。
外壁に対して手摺壁が接着している箇所にもシーリングされていることが多いですが、これも劣化が進むと雨漏りリスクを考えなければなりません。
3.外壁の確認方法
中古住宅の見学時に外壁を確認する方法は、主に以下の2つです。
- 目視
- 触診
特に目視が調査の基本となります。
建物の高い位置は目視でわかりづらいため、双眼鏡やデジタルカメラのズーム機能で確認する方法もありますが、最初からこういったもので確認すると広い外壁のどこを確認しているのかわかりづらいうえに、あまりにも時間がかかりすぎてしまうので現実的ではありません。
普通に目視確認していき、高い位置で怪しいと感じたところがあれば、これらを使用するのもよいでしょう。
また、ベランダからも外壁を確認するとよいでしょう。ただし、窓から身を乗り出して確認するのは危険ですからやめておいた方がよいでしょう。
触診とは、触って確認するという方法です。手の届く範囲で外壁の劣化状態を触診することで前述したチョーキング現象などを確認することができます。
目視や触診とあわせて打検(打診)という方法もあります。ただ、慣れてない人がこれをすると壁を傷つけることもあるので、お奨めはしません。