住宅地を購入するときの地盤のチェックポイント
家を買うときには地盤が大丈夫だろうか?と心配する人は多いものです。建売住宅を購入するのであれば、売主が地盤調査をしていますから、地盤調査報告書を提示してもらってその内容について説明を受ければ、地盤の状況がわかるはずです。
しかし、中古住宅や更地を購入するときには、地盤調査報告書を確認できることは稀であり、他の方法で地盤について判断するしかありません。ここでは、家を買うときに知っておきたい地盤のチェックポイントを解説していますが、これにより購入後の地盤沈下や地盤補強費の負担リスクを抑えることができます。
地盤調査報告書(地質調査報告書)でチェック
住宅を購入するときに地盤をチェックする最善の方法は、その土地の地盤調査報告書(地質調査報告書)を閲覧することです。前述のように新築建売住宅を買うときには、売主に要望すればこの書面を提示してもらえるはずですから、その内容を確認しましょう。
但し、買主が自ら地盤調査報告書の内容を理解するのは難しいですから、売主や仲介業者からきちんと解説してもらった方がよいでしょう。
※地盤調査報告書を入手できたなら、専門家に見てもらって相談にのってもらうのも有効です。
問題は地盤調査報告書のない物件を買うときです。中古住宅では、売主が新築当時に地盤調査報告書を保管していないことが多いですし、昔は地盤調査をせずに建築することも少なくなかったため、そもそも調査していないという物件もたくさんあります。
更地を購入して住まいを新築したい人にとっても、地盤調査報告書を閲覧できないことが多いので問題となります。土地の売主が販売前に地盤調査していることは多くないからです。いくつもの販売区画があるのであれば、近隣の地盤調査報告書を参考として閲覧させてもらえないか聞いてみましょう。
注意しなければならないことは、地盤は区画によって異なることが多いということです。隣の地盤に問題なかったのにあなたが購入した土地は軟弱地盤だったということもありうるのです。ですから、近隣の地盤データは参考程度だと考えておく必要があります。
地盤のチェックポイント
購入した物件に関して地盤調査報告書が無い場合には何をチェックすればよいのでしょうか。地盤については、確実な回答があるわけではないですから、ここにあげるポイントについてできる限り多くの情報を集めたうえで、それらを参考とするようにしましょう。
理解しておくべきことは、ここに書かれていることで確実な判断ができるわけではないということです。これを肝に命じておいてください。
丘陵地は地盤が強固なことが多い
基本的には、丘陵地や台地は元の地盤が強固ですから、地盤が良いと言われています。丘陵地以外の地域に比べれば地盤が良い可能性が高いだろうくらいの理解でよいでしょう。
但し、丘陵地の住宅地では土地の造成の過程で地盤が非常に弱い土地も出てくるので注意が必要です。造成した土地には、切土と盛土があり、盛土の地盤は心配されることが多いものです。この点については、「開発された土地(造成宅地・分譲地)の地盤の注意点(切土と盛土)」で詳しいことをご覧ください。
川・池・田んぼが近い
近くに川や池、田んぼがある土地には注意が必要です。昔から水害にあっていることも多く、そういった低地の地盤はあまりよくありません。
埋立地
埋立地の地盤も心配されることが多いです。田んぼや畑を埋め立てて住宅地としているところでは、地盤沈下による建物の傾きが問題となっていることは多いです。
また、東北大震災のときにも湾岸エリアで液状化現象が注目を浴びたことを覚えている人もいることでしょう。
建物や塀のひび割れ
中古住宅を購入するときならば、既存の建物に軟弱地盤と関係がありそうな症状がないかどうかも見ておくべきです。地盤沈下が生じている場合、建物の外壁や内壁、基礎などにひび割れが生じたり、建物が傾いたりするといった症状が出ていることがあります。
建物を外部からも内部からもじっくり観察して異常がないか確認するとよいでしょう。また、建物以外に外構の塀などを観察することも役立ちます。塀の傾きやひび割れをチェックするのです。建物周りの土間コンクリートのひび割れや凹凸も参考になりますね。
更地を購入するのであれば、その土地に建築されている建物がありませんから、参考として隣近所の建物や塀を観察するとよいでしょう。但し、区画によって地盤に相違があることも多いですから、それだけで判断できるものではありません。
地名を参考に
地盤のチェックポイントとして面白いのは地名を参考にできるという点です。地名に、「川・河・田・沼・江・海・池」などの文字が入っていることは、昔、その漢字に関係するものがあったことを示していることがあるからです。
近くに川などがある場合と同じく、地盤が弱い可能性があります。
地盤に関する注意点
地盤に関して注意しておきたいことを他にも挙げておきます。
以前の建物等の地中埋設物
新しく家を建てようとしたときの地盤調査や掘削工事ではじめて明らかになることのある問題として、地中埋設物があります。
例えば、以前、その土地に存在していた建物の地下部分や基礎などの一部が埋められていて、それが邪魔になるので撤去しなければいけないといった問題です。地盤は弱くないものの、埋設物の撤去に大きな費用がかかる事例があるのです。
ただ、その物件を購入する前に地中埋設物があるかどうか確認することは困難です。契約する際、埋設物があったときには売主負担で撤去できる内容としておくと安心です。
役所等で地盤データを閲覧できるが参考程度に
地盤調査報告書が無い物件を購入する場合、参考とするデータとして役所や地盤調査会社から近隣のデータを見せてもらうという方法があります。役所のデータ閲覧は費用がかかりませんが、あまり多くのデータはありません。
Googleで「地盤調査データ」などと検索すれば、民間の地盤調査会社が公開しているデータを確認することができます。役所のデータも確認できるところが増えていますから、その「自治体名称+地盤データ」で検索すれば見つかる可能性は十分にあります。
最後に大事なことですから繰り返しておきますが、その土地ズバリの地盤調査データでない限り、たとえ隣地であったとしてもデータは参考にしかなりません。隣同士でも地盤の状況が異なることは多いからです。ここであげた建物のひび割れ等にしても、参考とするためのものであって、これだけで正確に判断することはできないことを理解しておきましょう。
○関連記事・コラム
○専門家に依頼するなら