中古マンションを買うときの共用部のチェックポイント
中古マンションを買う人が、契約前にチェックすべきポイントは室内のみには限りません。意外と見落としがちな中古マンションの共用部分のチェックポイントをお伝えします。
マンションの共用部とは
中古マンションの共用部のチェックポイントを説明する前に、共用部とは何であるか正確に理解しておく必要があります。マンションは共用部と専有部によって構成されております。
専有部とは、マンションを購入してから実際に居住する室内スペースのことで、各住戸内の玄関・廊下・居室・トイレ・浴室などで構成されており、1つの家族だけで所有することが多いです(夫のみ、妻のみ、家族間の共有など)。もちろん、他人と共有することもできます。
これに対して共用部とは、マンションの利用者(所有者や居住者など)が共同して使用するスペースであり、各住戸の所有者全員で共有するスペース・部位です。マンションのエントランスや各フロアの共用廊下、エレベーター、外壁、屋上、管理事務室(管理人室)、集会室、共用トイレ、設備室、さらに駐車場・駐輪場などもそうです。
多少、マンションによって共有スペースの範囲が異なることもあります。
マンション共用部のチェックポイント(1)建物の劣化状態
中古マンションの建物における基礎や壁などの内部構造について心配する場合、何を確認し、どのような調査方法をとればよいか迷うことでしょう。第三者の専門家に中古マンションのホームインスペクション(住宅診断)を依頼するときでも、構造部分を破壊もせずに内部のことまでわかるのかと疑問を持つ人は多いです。
基礎や壁の内部を直接に確認することはできない
調査対象となる建物の一部を解体することもなく、構造部分の内部を直接に確認することは難しいものです。専門的な調査機器を使用することで、ある程度の参考情報を得ることはできるものの、確実なものではありませんし、一般的な個人が購入予定のマンションの診断のためにかける費用としては負担が大きすぎるものとなり、あまり現実的でもありません。
建物の著しい劣化や不具合は症状の有無をチェックする
基礎や壁などの内部を直接に確認できないからといって、あきらめる必要はありません。仮に、見えない構造部分に大きな瑕疵や問題があるならば、それに関する症状が建物のいろいろなところに現れてくるものです。
そういった怪しい症状の有無をチェックすることで、見えない箇所に大きな瑕疵や問題が存在していないかどうか探ることはできるのです。
例えば、外壁やその他の壁面などに大きなひび割れ・亀裂があれば、その症状次第では構造的な瑕疵などの問題を抱えている可能性を考えます。水染みが見られれば、その位置や建物のプランによっては内部への漏水を疑うべきこともあります。
まだ、築年数が新しいのにタイルの浮きや剥離が多くみられるならば、新築工事の施工品質が低いものだった可能性を疑うことができますし、築年数の古いマンションで大規模修繕工事をしてから2~3年のうちに同じような症状があれば、大規模修繕工事の施工品質を疑うこともできます。
目視で見える範囲でも購入判断の参考とすることはできる
前述のように、目視できる範囲において、1つ1つの症状をチェックしていくことで、建物の状態を大雑把に把握することができます。建物の状態を詳細まで把握したいということであれば、それは現実的には無理なことです。
マンションの管理組合で大規模修繕などを検討するときには、建物調査を利用することがありますが、建物一棟の調査には大きなコスト(規模によるが数十万円~百万円単位)がかかっています。また、足場なども必要ですが、購入前の中古マンションに対して、管理組合から足場を設置するなどの許可を得ることはできないでしょう。
詳細にマンションを建物調査することはできないものの、現実的に可能な範囲で簡易的に確認することならできるわけです。
この簡易的な確認において、建物の状態が悪ければ、将来の修繕コストの負担増大につながることから、購入判断に活かすことができるのです。
共用部でチェックするべき範囲
チェックする対象は、目視で見えるところは全てだと考えてください。エントランスや共用廊下、共用階段、エレベーターホール、外壁などです。
一部のマンションでは屋上へあがって屋上の状態まで確認できる可能性もありますが、基本的には無理だと考えておいてください。管理組合から了解を得ることが難しいためです。また、電気機械設備のあるスペースなども立入りは難しいでしょう。
ちなみに、各住戸のバルコニーも共用部です。専有部(室内)の確認をするときには、バルコニーも確認するようにしましょう。
簡易的な共用部のチェックポイントの具体的な項目
前述した範囲において、床・壁・天井のひび割れ・亀裂の有無を確認することが基本となります。何かを補修した痕があれば、何があったのか聞いてみるとよいでしょう。修繕記録が残っていればわかるはずですし、修繕記録が残っていなければ管理がよくないこともわかります。
仕上げ材(タイルやモルタル塗装など)については、浮きや剥がれがないか確認します。仕上げ材の目地のシーリング材が劣化(割れや剥がれなど)していないかも大事な確認すべき項目です。
バルコニーでは、床の防水状況も大事なチェックポイントです。床材の割れや排水溝の割れ、排水口周りの劣化は雨漏りの原因になります。
何か当てはまる症状が確認されたときは、安易に自分だけで判断せず、第三者の専門家にも診てもらってアドバイスを受けるとよいでしょう。
マンション共用部のチェックポイント(2)清掃・管理状態をチェック
中古マンションを買うときの大事なチェックポイントとして、清掃・管理状態があげられます。これは見た目のチェックだけでも参考になる情報が得られるため、必ず実行しましょう。
清掃・管理状態をチェックするべき範囲
清掃面の確認は、エントランス・共用廊下・敷地だけではなく、階段も確認してください。この階段を確認しない人は多いです。上るときはエレベーターを利用して、降りるときは階段を利用するのもよいでしょう。
敷地内は駐車場も含めてよく歩いて確認してください。駐車場を利用予定の人である場合、空いている駐車場の場所のみを確認して終えてしまう人が多いですが、清掃・管理状態を見る機会でもあることを理解しておきましょう。
清掃・管理状態の具体的なチェックポイント
ゴミなどが散乱していないか、掲示物(掲示板やエレベーター内に貼っているもの)が期限を過ぎた古いものでないか、駐輪場の使用状況はどうか(整理されているか)、落書きがないかなどに気を配って確認しましょう。そして、大事なチェックスペースとしてごみ置き場です。
ゴミ置き場の管理・清掃が行き届いていない場合、そのマンションの管理面にはあまり期待できないと考えてください。
また、管理人がどんな人柄の人である確認するために、管理人がいる時間帯にも訪問するとよいでしょう。
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