中古マンション購入の注意点(物件探し・建物構造・長期修繕計画)

前回の記事(中古マンション購入の注意点とメリット・デメリット)では、中古マンションを購入するメリット・デメリットなどを解説しましたが、今回は、購入しようと物件探しを始めるときの注意点や多くの人が心配する建物の構造に関すること、そして大事な長期修繕計画のことをお話しします。

物件探しの注意点

具体的に中古マンションを探すときについてお話します。

多くの方が新聞の折り込み広告やインターネットの物件情報で物件探しをしています。

しかし、なかには売主さんの都合などで広告掲載されていない物件もありますので、大手の不動産会社や地元でよく広告を入れている不動産会社に問い合わせするのも良いでしょう。

なぜ、大手や広告をよく入れている不動産会社かといいますと、一番情報が多く、情報入手が早い可能性が高いからです。

また、新たな売却の希望があったときに、既にある購入希望者へお知らせするタイミングが広告に掲載するより早い場合もあります。

さて、ここで基本的なことをお話します。

中古マンションを購入するときは、売主から直接購入するケースは非常に稀です。

なぜなら、新築と違い、中古マンションの売主は多くの場合が一般個人だからです。

一般個人の方であれば、売却するときは不動産会社へ依頼しますね。依頼を受けた不動産会社が買主さんを探すわけです。この場合の不動産会社は、不動産の仲介を行います。よって、仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は、「売買価格の3%+6万円」。3,000万円のマンションなら、消費税込みで1,036,800円です!

結構高い費用ですよね?

以上の内容はあくまで上限ですから、これ以下の場合もありうるのですが、圧倒的多数の不動産会社がこの上限を請求しています。業界の慣習のようになっています。

そこで、中古マンションといえども、不動産会社が売主であれば、直接売主から買うようにしましょう。無駄な仲介手数料を払わずに済みます。

広告のなかの小さな文字で書いてある物件概要に「取引態様」という記載がありますから、ここで売主直売か仲介(媒介)かを確認しましょう。

ただ、仲介の方が圧倒的に多いので、こだわらない方が良いです。一応、確認しておこうということですね。

また、購入希望エリアでの相場感を養うためにチラシを数多くチェックした方が良いでしょう。

マンション探しを始めた頃なら、チラシを見るだけでも楽しいものだと思います。今ならインターネットで見るのも良いですね。

中古マンションの現場へ行く前に

これまでは中古マンションのこと全般についてお話ししてまいりました。中古マンションを買う上で知っておいて欲しいことです。以降はいよいよ具体的なチェックポイントなどについてお話していきます。

まず、物件を現場へ見に行く前にチェックできることがありますので、これを確認しましょう。これは広告に掲載されている情報でも確認できることです。

広告によく掲載されている言葉で、「新築未入居」というものがありますね。

文字通り新築後、誰も住んでいない住戸というわけです。当然、使用されていないので通常は綺麗です。また、新築同様なのに完成物件を見られるというメリットもあります。

しかし、このフレーズには逆にデメリットも読み取れます。

それは、基本的には「新築未入居」=「売れ残り」ということです。

売れ残りの住戸の場合、売れ残った原因はいろいろとありますが、価格設定に問題があったことが考えられます。簡単に言いますと、高すぎたわけです。

ですから、こういったマンションを購入される場合は、新築時の価格で購入すると高すぎる可能性があるとお考えください。

どれぐらい高いのか?といいますと、難しいところです。売れ残っている住戸が1戸や2戸程度であり、完成から3ヶ月程度までであれば、別に高すぎるとまでは言えません。
逆に、完成後1年も経過しているのに、総戸数100戸のマンションで10戸程度も売れ残っているようであれば、かなり高いと判断してよいでしょう。

新築未入居と記載されている場合は、完成時期と販売戸数をよく確認しておきましょう。ちなみに、完成後1年以上経過しても売れ残っているマンションが普通に仲介物件として販売されていることもあります。

こういったマンションを購入する場合は、値下げしてもらうことが前提ですね。

次に、広告のなかで確認すべきは築年数です。これは、築浅の場合はPRのポイントとして大きく記載されていることもありますが、多くの場合、小さな文字で書かれています。

築年数は、皆さんがよく確認しているようですが、次の確認をしておきましょう。

1983年以降に完成したマンションかどうか?

これがなぜか?と言いますと、そのマンションの構造の安全性に関係があるからです。

建物は建築基準法や条例などの規制のなかで建築されるのですが、建築基準法が1981年に改正・施行され、耐震基準が厳しくなっているのです。

つまり、この改正された建築基準法が施行された後に建築されたマンションの方が耐震上は安心できる可能性が高いという事が言えるわけです。

では、なぜ改正・施行された1981年ではなく1983年以降かと言いますと、改正された建築基準法が施行される直前までに着工したマンションがあるからです。

この直前に着工したマンションは、改正前の基準通りの建物でもよかったため、古い基準に沿って建築されている可能性があるのです。

マンションの工期は一戸建てと違い長いです。ですから、念のため「1983年以降に完成したマンション」を1つの目安としてお勧めします。マンションによっては、施行前から新しい基準に合わせて建築されているものもありますが、それを一般の方が見分けるのは困難ですからね。

中古マンションの構造が心配なら

2005年11月にマンションやホテルの耐震構造偽装問題が生じ、世間を騒がせました。建物の耐震性という多くの方が関心を持っていることに関して偽装があったのですから、世間のショックも大きかったですね。

この問題のときにテレビや新聞でよく耳にした(目にした)のが、「構造計算書」です。

構造計算は専用ソフトを使用して行われるとはいえ、それでも膨大な作業が必要なものです。そして、この構造計算書を一般の方がチェックして安全性を確かめることは不可能でしょう。

中古マンションを購入するときに、多くのお客様から「構造計算書」のチェックについて質問されましたが、購入前に一個人が調査をしたり、専門家に調査依頼することは事実上不可能なのです。調査費用も数十万円単位、もしくは100万円以上です。

ただ、この構造計算書のチェックを個人ではなく、マンションの管理組合でチェックしているケースはあります。

そこで、購入を検討しているマンションが「構造計算書」のチェックを行ったのかどうかを聞いてみることをお勧めします。管理人は管理会社、もしくは管理組合の理事長に問合わせればわかります。

実際には仲介される不動産会社の営業担当者に聞いてもらっても良いでしょう。これならば、費用も一切かかりません。

しかし、構造計算書のチェックをしていなければ、その安全性が確認できません。残念ながら、一般の方がコストをかけずに確認することは不可能です。

前述の1983年を目安とした耐震性の確認方法と今回の構造計算書のチェックの有無が誰でも簡単にできるチェック方法です。

マンションの大規模修繕

長期修繕計画のチェックは中古マンション購入の基本

マンションのエントランス付近のスペースにいる管理人さんには、聞いてみると良いことがたくさんあります。当社で調査へ行く際にも様々な事を聴聞します。

例えば、「長期修繕計画」について以下のことを確認しましょう。

  • 長期修繕計画があるか?
  • 長期修繕計画に屋根の防水・外壁の修繕・給排水設備・電気設備・エレベーター・鉄部の塗装・建物調査などが含まれているか?
  • 修繕積立金がマイナスになる計画になっていないか?
    → マイナスの計画ならば、大幅に修繕積立金を上げる可能性が高いと予測しておきましょう。
  • 築10年以上経過しているマンションの場合、修繕計画の見直しをしたことがあるか?
  • 修繕積立金があがる計画になっていないか?
  • 修繕積立金が上がる場合、いつ、いくら上がる計画になっているか?
  • 一時金を徴収する計画になっていないか?
  • 一時金を徴収する場合、いつか?いくらか?

ちなみに、管理人さんによっては、これらのことを全く把握していないこともあります。それは、そのマンションの管理組合との契約形態や管理人さんの熱心さにもよります。

そういった場合は、管理会社や理事長に確認すると良いでしょう。これらのことを把握している管理人かどうかは、良い管理人であるかどうかの判断材料にもなります。

マンションの管理状態は、管理人の影響もありますからね。
さて、前述したチェックポイントは全て長期修繕計画に関するものです。「長期修繕計画」はそのマンションを適正に維持していくために必要であり、非常に大事なものです。

長期修繕計画は、これ自体がないマンションもあるのですから驚きます。築年数の古いマンションほど、長期修繕計画のない確率があがります。

万一、購入検討中のマンションが、このようなマンションであれば、購入後に自ら長期修繕計画の作成に乗り出すぐらいの気構えがないとお勧めできないものが多いです。

仮に、これから長期修繕計画を作成しても、今までに計画的な修繕が行われていない可能性が高いために、金銭的にも精神的にも負担が大きくなることが予想されます。

慎重に検討したいところですね。

長期修繕計画があったとしても、その計画内容は適切なものか、所有者の金銭的な負担はどうか?よく確認してください。もちろん、将来的な負担の変化も要チェックです。