中古マンション購入で後悔した6つの理由と失敗しないための注意点
都市部を中心に中古マンションは人気で、その利便性、セキュリティの高さ(物件による)などから、多くのファミリー層はもちろん、シングル世帯でも購入することが多いです。ただ、あまり深く考えず、チェックすべきポイントを見逃して、購入後に後悔する人が多いのも事実です。
今回のコラムでは、中古マンションを購入してから後悔したという失敗談の実例から学び、またその失敗に関連する注意点を理解しておくこともできます。これにより、中古マンション購入を成功させることができるでしょう。
後悔した6つの理由とは?
中古マンションの購入において後悔した6つの理由は以下です。
- 騒音問題・遮音性の低さを確認せず後悔
- 近隣の環境変化を調査せずに失敗
- 中古マンション購入後のリフォームに関する失敗
- マンションが共同住宅であるが故の後悔
- マンション購入後の修繕積立金の値上げで購入を後悔
- 中古マンション購入後に築年数の基準で後悔
いずれも、住宅コンサルティングをしてきたなかで本人より聞いてきた後悔のお話です。以下では、これらの詳しい内容とその対策としての注意点などをご紹介していきます。
上階からの騒音問題・遮音性の低さを確認せず後悔
マンション生活において、昔からなかなか解決できないテーマでもある騒音問題に関するお話です。
上階からの物音がうるさくて購入を後悔
マンションを購入し引越ししてから、すぐに悩まされることがあるのが騒音問題です。騒音と言っても相手が非常識な生活をしているとも限りません。
マンションでは、自分たちの真上の階からの物音に悩まされることは非常に多いことです。悩む原因を大きく分けると以下の3点です。
- 上階が非常識で一般的な生活音以上の物音を起している
- 自分たちが過敏になりすぎている
- マンションの遮音性能が低すぎる
最も多い理由は、3つ目の「マンションの遮音性能が低すぎる」という点ですが、他の2つの理由との組み合わせによることも非常に多いです。とくに、はじめは過敏に反応していなかったにも関わらず、徐々に過敏になっていくパターンも多いようです。
遮音性に関する注意点と購入前の対策
マンションの遮音性については、ある程度は調べることができますから、購入前に調べておくとよいでしょう。最も有効な調査方法は竣工図書で確認する方法です。
マンションの設計図をまとめた竣工図書が管理人室や共用部の倉庫などに保管されているはずです。保管されていない場合には、どこで閲覧できるのか管理会社に聞いてみるとよいでしょう。
竣工図書で床のコンクリートスラブの厚さや床の工法を確認することで、遮音性が低すぎないかわかります。音の感じ方というものは人によって差異が大きいため、一概に言えることではありませんが、コンクリートスラブの厚さが200mm未満であれば音が伝わりやすいことが多いです。
竣工図書の断面図などで確認できますが、専門的であるため、専門家に調査してもらう方法が最も安心です。
近隣の環境変化を調査せずに失敗
マイホームを購入する上で、近隣の環境変化は常に問題となりうるものです。そして、それは中古マンションの購入においても同様で、マンションならではの問題もあります。
購入して数年で目の前に高層マンションが建築されることになり後悔
都市部の便利なところで、高層マンションを購入した人から数年後によく聞く話に次のようなものがあります。目の前に高層マンションの建築計画があることがわかり、日当たりや眺望の悪化、さらに資産価値の低下の問題があるため、管理組合からそのマンションの建築主に抗議したいといった類のものです。
人によって眺望は仕方ないけど、日照は問題だと考える人もいますし、資産価値の低下を我慢できないという人もいます。だから、その建築主に損害賠償を求められないかという話を聞くこともあります。
しかし、それは難しいことです。そもそも、そのマンションの購入前の時点から、そういったリスクはあるものですし、自分たちのマンションの影になっている人たちもあるわけです。前の前の建築主が制限の範囲においてマンション建設することはなかなかとめられるものではありません。
目の前のマンション建設計画などの確認方法と予測
対象物件の目の前が大きな駐車場とか倉庫などであれば、予測しやすいですが、他にも企業が自社の社宅を売却してディベロッパーが建築することもありますし、古い借家が多い地域を開発することもあります。それほど高層でない規模ならば、古い長屋の建て替えが影響することもあります。
目の前が一体の大きな土地である場合は、基本的には環境変化の可能性が高いことを理解しておくことと、古い長屋などの借家が集まっている場合でも可能性を考えておくべきでしょう。
その時点で建設計画があるかどうかは、購入前に不動産仲介業者に念押しして確認してもらえば、役所で確認できます。但し、計画がまだ水面下で進められている段階では正式に確認することは困難でしょう。
また、目の前の道路を挟んだ向かい側が商業地であればリスクは高まりますから、都市計画の用途地域は不動産業者からきちんと説明を受けてください(商業地は高層建築物を建てやすい)。
中古マンション購入後のリフォームに関する失敗
中古マンションは購入後にリフォームする人が多いです。そのリフォームに関する失敗談も少なくないです。
中古マンションなら安易にできるだろうと考えていたリフォームで失敗
リフォームやリノベーションを前提として中古マンションを買う場合、希望するリフォームがそのマンションで実行できるかどうかは大事な確認事項です。マンションの間仕切壁は全て撤去できるものだと考えていたら、撤去できない壁だったという事例がありました。
やはり、その購入者は購入前に調べておかなかったことを非常に後悔していました。考えていた間取りにできないのは悲劇ですね。また、不動産仲介業者には、「たぶん大丈夫ですよ」と聞いていたそうです。
リフォームやリノベーション前提で中古マンションを購入するときの注意点
マンション購入後、リフォームをする段階になってから後悔しないためには、購入前に竣工図書でそのマンションや住戸のことを調査しておくべきです。
調査すべきことは、予定しているリフォーム工事の内容にもよりますが、床や天井の工法、床コンクリートスラブの形状、配管(特に排水管の経路)、壁の構造などです。これらは、竣工図書で確認することができますが、判断するには建築の知識が必要になりますから、建築士を同行することが望ましいです。
マンションが共同住宅であるが故の後悔
一戸建て住宅とマンションの代表的な相違点は、マンションが共同住宅であるという点です。他人と共同して1つの建物で生活しているということを理解しておく必要があるのです。
マンション管理組合のイベントや居住者との関係で後悔
1つの建物に多くの世帯が入居して生活しているということは、当然ながら、共同して管理や修繕に対応していかなければなりません。理事になれば毎月の理事会に出席したり、その準備をしたりすることもありますし、町内会のようなイベントがあることもあります。
そういった会合やイベントに関わりたくないので、参加するつもりもなくマンションを購入したところ、仲良くなった他の居住者から頼まれて理事になってしまうことやイベントの手伝いをすることになると、後悔することもあるのです。共同生活する人たちからの頼みごとを簡単に断れないこともあるのです。
共同住宅であるマンションを買う注意点
実は、管理組合などの活動から逃れる良い方法というのは、なかなかありません。理事は持ち回りで順番になるマンションが多いですし、積極的ではなかったご近所付き合いも長い暮らしの中で、関わりを持たざるを得なくなることもあるものです。
注意点というよりも、マンションを買うならば、共同住宅であり、多少はわずらわしいと感じることがあるものだと理解しておくことが大事だといえるでしょう。
マンション購入後の修繕積立金の値上げで購入を後悔
多くのマンションで課題にながっていることの1つが、修繕計画や修繕積立金の問題です。これに関する後悔の話も何度も聞いてきました。
購入後2年で修繕積立金が月額1万円も値上げで購入失敗
中古マンションを購入して、全面リフォームして入居。それから2年を経過してから、毎月の修繕積立金が1万円も値上がりすることがわかって、後悔したという人がいました。
すぐに大幅に値上げになるようなマンションを購入したこと、さらにこのことに気づかず手持ち資金の大半を全面リフォームに費やしてしまい、かつ住宅ローンの返済計画もあまりゆとりがないプランであることを後悔していました。
購入前にチェックしておきたい長期修繕計画と修繕積立金に関する注意点
ほとんどのマンションには、長期修繕計画というものがあり、それは書面になっているはずです。一部ではこの計画を作成していないこともあるので、そのようなマンションの購入は大きなリスクを伴うことを理解しておきましょう。
長期修繕計画書や修繕積立金とその残高を見れば、修繕積立金が不足気味であることがわかることがあります。これらの書面は売買契約の前に不動産仲介業者に用意してもらって、確認するようにしましょう。
中古マンションを買ってから1981年以前の物件は危ないと聞いて後悔
中古住宅を購入するとき、建物の建築年が1981年より前か後かでリスクが異なるといわれます。このことを知らなかったがために後悔したという話です。
中古マンション購入後に築年数の基準で後悔
築年数の古いマンションの方が購入価格を抑えられます。古いマンションを購入してリノベーションをしようと考え、購入前からリノベーション業者に物件について相談して購入を決めました。契約して引渡しを受け、これからいよいよリノベーション工事の開始だという段階になって、知人から1981年以前のマンションは耐震性が低いと聞き、驚いたという人がいます。
そのマンションは、1980年築のものでした。
1981年ではなく、1983年を参考にすべき
上の事例では、購入前にリノベーション業者に相談していたとのことですが、その業者からはそのようなアドバイスはなかったとのことです。リノベーション業者としてみれば、早く購入するマンションを決めてほしかったのかもしれません。このことを知らないはずはないですから、知っていて言わなかったと考えた方が自然です。
ところで、1981年には、耐震性に関わる建築基準法の改正内容が施行された年です。その施工後の基準で建築されているマンションの方が耐震性の面で安心感が高いということになります。ただ、施行された後に建築確認申請する建物が対象であるため、それ以前に申請されたものが1981年や1982年に完成しているものは多いです。
よって、建築確認申請をしたタイミングが1981年6月以降であるかどうかを確認しなければなりません。これが確認できないときには、ゆとりをみて1983年以降に完成したマンションを対象と考えるのもよいでしょう。
中古マンションの購入で後悔した6つの理由と、それに関する注意点や対策についてあげてきました。これを参考にしてマンション購入を目指してください。
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