質問内容
住宅を購入するときに住宅診断(ホームインスペクション)を利用する人が多いと聞きました。建物の専門知識がなく、経験もない素人なので利用した方がよいと思うものの費用もかかるため躊躇しています。
住宅購入時の費用を抑えるためにも自分で住宅診断(ホームインスペクション)をすることは可能でしょうか?もし可能な場合、どのような調査道具が必要でしょうか?
回答内容
家を買うときに利用されることが多い専門家による住宅診断(ホームインスペクション)ですが、5~20万円程度の費用がかかります(利用するサービスの範囲・地域・面積等の条件によって異なる)。この費用を節約するために自分で何とか住宅診断(ホームインスペクション)かそれに近いことができないか考えている方は一人や二人ではないでしょう。
自分自身で住宅診断(ホームインスペクション)をするために必要なものが何か考えてみましょう。少なくとも以下の3点が大変重要です。
- 住宅診断(ホームインスペクション)でチェックする項目を把握すること
- チェック項目を見て得た情報を理解し判断すること
- 売主や施工業者の説明を理解できること
1つ目の「住宅診断(ホームインスペクション)でチェックする項目を把握すること」はそれほど難しいことではありません。インターネットで情報を探せば出てくるからです。もちろん対象物件の工法・構造・プランによってチェック項目はずれるものですが、それなりに参考となる情報はいくらでもあります。
参考として、アネストのHPにも以下のようなチェックリストが掲載されているので、見てみるとよいでしょう。
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)建物外部編
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)床下・屋根裏編
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)玄関・居室等編
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)台所・洗面等編
- 住宅診断のチェックリスト(新築・中古)和室・設備編
しかし、2つ目の「チェック項目を見て得た情報を理解し判断すること」や3つ目の「売主や施工業者の説明を理解できること」となりますと、途端に難しくなってしまいます。
現地で目視確認できたものの、それが良いのか悪いのか判断できる業界外の方はほとんどいないでしょう。もちろん、キズや汚れの類のことであればわかるのですが、様々な部位のひび割れ・傾き・歪みなどを発見しても、それが果たして問題あることなのか、そうではないのか判断しなければなりません。
そして、そうして気になったことを売主や施工業者へ伝えても、「それは一般的なもので問題ないです」「そんなものですよ」と説明されたときに、本当か?妥当な判断か?と疑問をもつことでしょう。それから慌てて第三者に依頼される方も多いです。
住宅診断(ホームインスペクション)は専門性が高いため、建築業界の関係者でもわからない方は多いものです。むしろ業界人の方が専門外だと認識して、かつ業界の問題点も目の当たりにしているために、第三者に依頼しようとしている方が多いぐらいです。
ここまでに自分ですることの難しさを説明していますが、念のため調査道具についても説明しておきます。実はそれほど専門性の高い道具が必須ではありません。住宅の購入判断や補修工事の参考とするための診断は1次診断とも言われますが、何らかの不具合の原因調査(雨漏りの原因調査など)とは違って、目視調査が中心です。
専門家は、レーザータイプの水平器を使用するなど、調査器具を活用しますが、ホームセンターにおいて3000円程度で入手できる水平器でもある程度は代用できます。専門家はこの水平器も使用しています。他にはメジャーや脚立があると便利です。脚立は天井点検口や屋根裏点検口を見るために必要となります。
はじめに、5~20万円程度の費用がかかると書きましたが、大きな買い物であることや専門性の高さを考えれば、無理に自分でやって後悔するよりは、住宅診断(ホームインスペクション)は専門家に任せた方が賢明でしょう。