住宅診断(ホームインスペクション)でのチェックポイントを写真とともに詳しく解説するシリーズの第3弾は、屋根裏の断熱材についてです。
新築でも中古住宅でも、第三者として住宅診断(ホームインスペクション)を実施するなかで、不具合や施工ミスなどの指摘として非常に多く挙げられる項目として「断熱材」があります。
断熱材の施工ミスや劣化具合は、その住宅で暮らす際の快適性やエネルギー効率にも関わることである上に、本当に不具合が多いということからも住宅購入時には確実にチェックしておきたい大事なポイントだと言えます。
断熱材の効果
断熱材で住宅をくるんでおくことで、室内の温度変化を抑える効果が期待できます。
たとえば、冬の寒いときであれば、室内の暖かい空気が外部へ流れていくことを抑えることができるために、室内が暖かく保ちやすくなります。逆に夏であれば、外部の暑い空気が室内へ流れることを抑えることができるために、室内を涼しく保ちやすくなります。これがエアコンの効果・効率と関係してくることは想像できますね。
断熱材は、屋根裏・床下・外壁面に施工されますが、断熱材の設置位置や断熱材の種類はいろいろあります。これをここで解説すると長くなりますので、ここでは実際に数多く見つかった断熱材の施工ミスや著しい劣化具合などについて紹介します。断熱材のチェックポイントとしてご確認ください。
屋根裏の断熱材の不具合
屋根裏の断熱材には、天井板の上にグラスウール等の断熱材を施工する天井断熱の場合と屋根の裏側(内部側)に施工する屋根断熱の場合などがありますが、多くの住宅で天井断熱材が採用されています。これらは、上の写真のように点検口から断熱材をチェックします。
それぞれにはメリット・デメリットがありますが、ここでは触れずに不具合のチェックポイントについて触れておきます。
住宅診断(ホームインスペクション)の際にチェックすべきこととしては、屋根断熱であれば断熱材の落下・はずれがないか確認しなければなりません。
天井断熱であれば、天井材の上に設置された断熱材に隙間がないか確認すると上の写真のように隙間が生じていることがあります。
これは中古住宅の場合のみではなく、新築住宅においても重要なチェックポイントです。なぜならば、屋根裏の断熱材を丁寧に施工した後に、電気工事業者が配線の施工や確認のために断熱材をどけてしまうこと等もあるため、新築の完成時点で断熱材が十分に機能していないこともあるからです。
また、屋根裏の点検口から屋根裏へ入ることで点検口からの確認だけではわからない不具合を発見することもあります。上記は屋根裏の内部に入って確認した不具合で、隙間があるのがわかりますね。
この次は、「床下・外壁の断熱材の有無と不具合・劣化具合のチェック」で床下や外壁面の断熱材の不具合について見ていきます。