前回のコラム「物件探しの注意点(物件案内に注意)」では、不動産業者に物件を案内してもらうとき、つまり見学するときの注意点を書きましたが、今回はその続きとして、具体的に購入したい物件を見つけた後の購入申込について注意点を紹介します。
気に入った物件があれば早速購入の申し込みをすることになるのですが、意外とこの申し込みの意味をご存じ無い方がいるので、注意したい項目です。
申し込みとは、購入の意思表示
ここでは、住宅購入のし込みと申し込み時に支払う申込金について説明します。
住宅購入の申し込み
住宅購入の申し込みとは、「気に入った物件なので購入しますよ」という住宅購入の意思表示です。購入申し込みは売買契約とはまた別の行為ですので、注意して下さい。この申込については、不動産業者などがあいまいな表現をすることがよくあり、買主が混乱することが多いようです。
一般的に申し込みは書面で行いますが、その書面は購入申込書や買付証明書などと呼ばれます。不動産会社によって書面の呼び名が異なるだけで、その意味は同じです。
住宅購入の申込金
その書面(購入申込書)の提出と一緒に申込金を支払うことが一般的です。その金額は10万円程度までが一般的ですが、申込金が無い場合もあります。逆に、稀ではありますが、申込金として50万円などといった高額を要求さたと買主から聞くことがあります。しかし、それは申込金ではなく手付金の可能性があるので、よく注意しましょう。
また、この申込金は、買付証拠金などと別の名称が使われていることも多いです。申込書と同じく不動産業者によって呼び名が異なることがあるわけです。住宅購入の申込をする際に金銭を求められた場合、それが手付金ではなく申込金であるかどうか不動産業者に質問して確認しましょう。
この購入申込をした後、売買契約に進むわけですが、この申し込みにあたっての注意点をお伝えします。
住宅購入の申し込み時の注意点
住宅購入の申し込みや申込書についての基礎知識を理解したところで、よくあるケースをあげつつ注意点を紹介します。
人気物件だから早く!
不動産業者の営業マンがよく「この物件は人気なので、できる限り早めに申し込みをしてもらわないと別の方が買ってしまうかも・・・」と、はじめて物件を見学した日に申し込みを迫ってくる場合があります。確かに人気物件であるかもしれませんが、それが真実であるかどうか買主にはわかりづらいですね。
都市部などの流通性の高い(売買件数が多い)地域であり、且つその地域における他の住宅の土地や建物の大きさと同等程度のものであり、価格も適正なものであるならば、複数の買主が同時に購入を検討するということは確かにありうることです。
今日にでも契約してください!
いろいろなケースがあるものですが、ひどい時には、「今日にでも契約してください。」と契約を迫ってくることがあります。それを断っても、「せめて明日には契約してほしい」と言ってくることもあります。
さらに、申し込みをすぐにするよう迫られて申込書にサインしたところ、「申し込みの3日後には契約ですよ!」と営業マンが言ってくることもあります。
営業マンも仕事ですから、たたみかけるように営業トークを繰り出し、買主を焦らせてすぐに判断させようとすることがよくあるのです。
買主は、ここで一度、落ち着いて下さい。
はじめて物件を見学した当日の申し込みはいけません。売買契約も然りです。見学した後にきちんと考える時間を設けてから購入判断しましょう。
そして、申し込みから契約まではせめて1週間は空けましょう。その間に冷静になって、物件のことを考えてみたり、調べたりしてみて下さい。現地では見えなかったものが、色々と見えてくるかもしれません。
仮契約しましょう!
住宅購入を迷っている時に相談した営業マンが、「じゃあ、仮契約をしましょう!仮契約のあとに、じっくり検討して下さい」と言ってくることもあります。それでも買主が渋っていると「仮契約だから大丈夫ですよ!」と言われる場合もあります。
しかし、住宅の売買において、仮契約というものはありません。この「仮契約」というものが、実際の売買契約なのか、単なる購入申し込みなのかをはっきり確認しておきましょう。
これをきっちり確認しておかないと、この時に支払った金銭が実は売買契約の際に支払うべき手付金だったりして、「もう判を押しているから、決済しないといけません。手付金も返せません」と言われてしまうこともあります。
ちなみに、購入申し込みの場合であれば、売買契約では無いので法的な拘束力はありませんから、購入申し込みを撤回(キャンセル)すれば、申込金は返金されるのですが、売買契約の際の手付金を支払って契約したのであれば、キャンセルすると支払った金銭は返金されません。
では何故、不動産会社が申し込みや契約を急かすのでしょうか。その点は、「住宅購入の申し込み(2)不動産業者に売買契約を急かされる理由」でお伝えします。