住宅ローンの仮審査

購入する物件を決めて購入申し込みした後には、住宅ローンの仮審査を行うことが一般的です。今回は、この住宅ローンの仮審査について解説します。

住宅ローンの仮審査の基礎知識

住宅ローンの仮審査は、不動産会社や担当の営業マンによっては、事前審査と呼んでいることもありますが、同じものを指しています。

仮審査の前後の流れ

住宅購入に際して住宅ローンを利用する買主ならば、購入申し込みと売買契約の間のタイミングでこの仮審査を金融機関に対して申し込みすることになります。この前後の流れをまとめると以下の通りです。

  1. 購入する物件の売主へ購入申し込み
  2. 住宅ローンの仮審査を金融機関へ申し込み
  3. 金融機関から仮審査で承認(仮承認)の連絡
  4. 売買契約の締結
  5. 住宅ローンの本審査を金融機関へ申し込み

上を見てもわかるように、売買契約の後に住宅ローンの本審査を行いますが、この本審査で承認を受けられない場合には、買主が資金不足のために購入できなくなってしまいます。そうなれば、売買契約の手続きが無駄になってしまいますし、売主はその間に他の人へ売却する機会を逸してしまうこともあります。

無駄や機会損失を最小限に抑えるために必要なことが、住宅ローンの仮審査(事前審査)というわけです。これによって、売買契約をする前に買主の住宅ローンが承認を得られそうなものかどうか確認しているのです。

仮審査の結果は絶対ではない

注意しておきたいことは、仮審査の結果は絶対的なものではないということです。あくまで融資が可能であるという見込みを確認しているものであり、正式に融資の承認を得ているわけではないのです。

よって、仮審査で承認を得ていたにもかかわらず、住宅ローンの本審査では承認不可(融資不可)という結果が出たり、融資可能額が減額になったりすることもありうるのです。ですから、仮審査の結果は確実なものではありませんが、仮審査で融資可能だと判断されれば、本審査でも審査をパスできることが一般的です。

仮審査は複数に同時申し込み可能

住宅ローンの仮審査を1つの金融機関にのみ申し込みする人が多いですが、実は複数の金融機関に同時申し込みしても問題はありません。複数の金融機関で迷っているときや、承認を得られるかどうか不安なときには、複数の申し込みを行うとよいでしょう。

状況によっては、不動産業者からもそのようにアドバイスされることがあることでしょう。

ちなみに、仮審査をせずに売買契約を行うケースも見られます。買主の条件(年収・自己資金等)や物件の条件、取引状況等から不動産業者が仮審査を求めないこともあるのです。但し、基本的には実施するものだと考えておきましょう。

住宅ローンの仮審査に関する注意点

仮審査に関することでいくつか注意したい点があるので、お伝えしておきます。

仮審査に落ちたとき

仮審査を申し込みしたものの金融機関から融資不可と回答されることもあります。それでも、その物件を購入したい場合は別の金融機関に申し込みするか、別の方法で資金調達しなければなりません。

別の方法とは、身内からの資金援助等が考えられますが、一般的には購入代金の全額を援助してもらうのは難しいですね。しかし、資金援助で乗り切れるケースもあります。たとえば、以下のようなケースです。

仮審査で借入希望額の全額が融資不可という結果が出たわけではなく、希望額よりも少額の融資ならば可能だという結果が出ることもあります。借入希望額3,000万円に対して2,700万円なら融資可能という場合です。

不足する300万円ならば、身内から援助してもらえるということならば、現実的にはありうることです。

売主や不動産業者から売却拒否にあうこともある

また、別の金融機関へ仮審査の申し込みを希望する場合でも、時間がかかりすぎるために不動産業者や売主から売却を断られることがあります。時間がかかっている間に他の人へ売却できるならば、その方がよいと考えることがあるからです。

先にも書きましたが、審査に不安があるならば、最初から複数の金融機関へ申し込みしておいた方が無難でしょう。

仮審査で不承認なら申込金は返金される

残念ながら住宅ローンの仮審査で不承認(融資不可)となったならば、購入申し込みはキャンセルとなります。そして、その申し込み時に支払った申込金は売主(または不動産業者)から買主へ返金されることになります。

この時点では売買契約を交わしておらず、手付金も支払っていないので、特にペナルティはありません。つまり、金銭的な負担は生じないということです。

なかには、申込金を返金できないと言う不動産業者または営業マンがいるようですが、それは偽りですので、しっかりと主張して返金して頂くようにしましょう。返金を拒否されるようなことがあっても、自信を持って強い態度で臨むべきでしょう。

次回は、いよいよ売買契約についてお話ししていきます。

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