住宅を購入しようと物件見学した後、購入を迷う物件があったならば、すかさず不動産業者から購入申し込みや売買契約をするように急かされます。買主の都合を考えずに、押しの強い営業を受けることは多いですが、不動産業者が契約を急かす理由を考えてみましょう。
不動産業者に売買契約を急かされる理由
何故、不動産業者が購入申し込みや売買契約を急かすのでしょうか。
これは、答えを先にお伝えしますが、最大の理由は買主の気持ちが変わることを恐れているからです。
買主の気持ちの変化が怖い
買主が購入しようかと前向きな気持ちになってから、すぐに契約をしないと買主の気持ちや考えが変わって購入を中止することがあるので、これを避けたいと考えることは不動産の営業マンの典型例です。
「不動産・住宅業界の営業マンの本音と事情」の中でお話ししたことを思い出して下さい。
不動産業者の営業マンとしては、住宅を売れば成果報酬(歩合給)を得られるので、「売りたい」という気持ちは強いです。また、その取引が仲介であるならば、他社の買主に先に契約されてしまうと自社では仲介手数料を得ることができず、当然ながら営業マンも成果報酬を得ることもできません。
だから買主に対して契約を急かし、気持ちが変わらないうちに買主をガチっと固めてしまいたいと考えているのです。売り手都合の一方的な理由ですね。
他社が先に売ってしまうことが怖い
不動産業者が契約を急かす理由はもう1つあります。それはその取引が仲介である場合に該当します。
1つの不動産(住宅)を多数の不動産業者が仲介することができます。つまり、どの不動産業者がいつその住宅を売ってしまうか(別の買主を見つけて契約するか)わからないために、あなたの契約を急かしているのです。他社に売られる前に自分が売りたいということです。
他の不動産業者が先に契約してしまいますと、あなたが仲介を依頼している不動産業者には仲介手数料が入りませんので、急ぎたくなります。不動産業者間の競争(物件の奪い合い)がこのような行為を招いているのです。
そして、同じ不動産業者のなかでも営業マン同士で競争があり、同僚などが売ってしまわないうちにと考えて買主を急かすこともあります。
そして、実際に先に売れた場合には買主であるあなた自身もその物件を買えなくなってしまいますので、それを理由に不動産業者から急かされることもあるでしょう。本当に買いたいと思う物件が先に売れてしまう(他の人に買われてしまう)ことは、確かにありうることですし、もしかすれば大事な機会の損失であったかもしれません。
しかし、住宅購入には大きな資金が必要で、長く住宅ローンを支払っていくわけですし、またその後の人生にも影響することなので、相手(不動産仲介業者や売主)のペースではなく、買主のペースで住宅購入を進めたいものです。そのためにも、不動産業者に急かされることがあったとしても冷静になってほしいものです。
急かされて申し込みや売買契約してしまう前に、以下の対応をしたかどうか確認してください。
- 住宅診断(ホームインスペクション)をして建物の状態(劣化や不具合の有無)を確認しましたか?契約書はしっかり確認しましたか?
- 購入金額の値段交渉もしましたか?
こういったことも確認してから、契約するようにしましょう。