前回(売買契約時の注意点(1)契約前に契約書の確認)に引き続いて、売買契約時の注意点をお話ししていきます。今回のテーマは、諸費用と住宅ローン特約の2点です。
住宅購入の諸費用について
売買契約時に気になることの1つが、購入に際して必要となる諸費用です。
登記費用や住宅ローンの保証料、事務手数料や仲介手数料、印紙税等がありますが、そういった諸費用の明細は契約前に書面で出してもらって確認しておきましょう。売買契約の場で初めて諸費用の項目と金額を目にするのではなく、契約日よりも前に確認しておくべきものですから、事前に諸費用の概算額を書面で出してほしいと不動産業者に依頼してください。
諸費用の概算額を書面で入手したら、以下の視点でその内容を確認しましょう。
- それぞれの諸費用とは実際にどれぐらい必要なのか?
- どこに支払うものなのか?
- 何のために必要なのか?
- そもそもどんな諸費用があるのか?
この辺りをきちんと契約前に把握し、不明な点は不動産業者に問合わせしておきましょう。意外と諸費用について詳細まで把握していない方が多いです。
ところで諸費用はいくらぐらいかかるものなのでしょうか?
諸費用の金額の目安は売買代金の3~4%程度で、不動産業者が物件を仲介するケースにおいては、+3%多めにかかります(引越し代は別)。
不動産業者によっては、住宅ローンの斡旋手数料を要求する場合もあり注意が必要です。その金額が10万円程度までであれば一般的に見られる範囲ですが、これ以上は高いので注意して下さい。
住宅購入の諸費用についてどのような項目があるのか、もっと詳しく知りたい人は「住宅購入の諸費用」をご覧ください。
住宅ローン特約について
売買契約書を見るときに注意すべき点の1つとして、住宅ローン特約というものがあります。契約書のなかには、融資利用の特約と書かれていることも多いです。
この特約は、買主が住宅ローンの借入が出来無かった場合に、売買契約を白紙に戻すという内容のものです。つまり、売買契約時に支払った手付金を売主から買主へ返してもらい、契約自体を無かったことにするものです。
これは、住宅ローンを利用する場合には必須の特約ですので、通常は契約書に記載されています。この特約に関連して、金融機関の名称や金利、返済方法などの条件を明記することが大切です。
取引によっては、売買契約を締結してからその物件の引渡しを受けるまでに数カ月もあることがあります。未完成の新築住宅を契約した場合や居住中の中古住宅を契約した場合においては、ありうることです。
そういったとき、契約した時点と引渡しを受ける時点で住宅ローンの金利が変動していて、返済計画に影響が生じる可能性もあります。そうなれば、契約時に予定していた金融機関以外の金融機関で融資を受けたいと考えることもあります。
そこで、買主が希望すれば、住宅ローンを利用する金融機関を売買契約の後に変更することができるようにしておくことが望ましいです。
ちなみに、新築マンションの場合には、契約してから完成、引渡しまでに1年半以上ということもあり、金利変動リスクがあると言えるでしょう。
住宅ローンの借り入れ先を決めるのは、本来ならローン実行の直前(1~1カ月半くらい前)が良いですので、ローン特約には買主側で借入先を変更出来るように記載しておくとより安心ですね。
もちろん、これは業者との交渉が必要になりますので、売買契約を交わす前にローン特約に記載してもらえるか確認しておきましょう。
次回は、契約時の注意点についての最終回です。