住宅の引渡し

売買契約を交わし、住宅ローンの申し込みをして承認がおりれば、残代金の支払い(決済)をして引渡しを受けます。つまり、多くの場合、住宅の引渡しと残代金の支払いは同日に行います。今回は、この引渡しと残代金の支払いについてお話しします。

住宅の引渡しはいつか?

住宅の引渡しの日には何をするのでしょうか?

引渡しの日には、買主が売主へ残代金を支払い、買主が売主から住宅の鍵を頂きます。買主が残代金支払いのために住宅ローンを利用する場合には、銀行で借入を行い、その場で売主に残代金を支払うので金融機関で行うことが多いです。

不動産登記は通常、司法書士が引渡し・決済日の当日に書類一式を揃えて法務局で申請します。内容としては所有権の移転(新築住宅の建物なら保存)と、住宅ローンを利用する方には併せて抵当権の設定を行います。

引渡し前の注意点

これが、住宅購入取引の最後の部分になります。契約も重要ですが、引渡し時も重要なことばかりです。まずは引渡し前に、必ず物件の状況をチェックするようにしましょう。

物件チェック

売主側に遠慮しておられるのか、「契約後に建物を見に行っても良いのですか?」と買主さんに訊かれた事がありますが、当然、何度でも見に行って問題ありません。引渡し前なので、売主へ断ってからとはなりますが。

契約前に物件を見る事ももちろん大切です。ですが、引渡し前にも物件を見に行き、きちんとした物件を引き渡して頂けるかのチェックをします。

引渡し前の内覧会同行

新築住宅なら、竣工検査(内覧会や施主検査と呼ばれる場合もあり)で、施工精度を確認し、補修すべき箇所があれば施工業者へ要望を出します。引渡し前にチェックして売主に補修しておいてもらわないと、引渡し後では対応してもらえないケースも多いです。住宅の引渡しを受けてから後悔しないように、引渡し前に施工精度をチェックしておきましょう。

専門家のサポートを利用する

買主が竣工検査を適切に行うのは難しいので、第三者の専門家に依頼(建築士の内覧会立会い・同行)する方も多く、首都圏や関西圏を中心に全国でかなり多くの方が利用しています。このときには入居を想定した家具のレイアウトを考える為に、採寸なども行い易いでしょう。

新築の戸建住宅の場合、竣工検査や内覧会を行わない売主もいます。その場合は契約時に、内覧会の機会を設けるように要求しておくと良いでしょう。

また、中古住宅の場合には建物や設備の劣化や不具合が無いかどうか、確かめます。契約時に補修要望を出した事項が、補修されているかなどの確認も行うと良いでしょう。但し、中古住宅は現状のまま引渡しということが多いです。

劣化・不具合を確認するのは難しい作業ですから、中古住宅診断(ホームインスペクション )の利用で安心感をプラスしましょう。

新築なら引渡しの2週間ほど前に建物チェックを

新築住宅の場合、チェック後の補修工事期間を考えて、建物の完成後~引渡しの2週間前頃に行うことが理想です。

なかには、「ウチは丁寧に作っていますし、保証もありますから問題ありませんよ」と引渡し当日にチェックをすることを要求してくる売主がいますが、万一、補修すべき箇所があった場合、引渡し後の補修となりますので、売主の対応が遅かったり、最悪対応してくれなかったりした場合もあります(下の写真は、専門家の検査で指摘された基礎のひび割れ)。

基礎のひび割れ

引渡し後の補修には要注意

引渡しを受けるということは、残代金を全て支払うことなのです。きちんと補修されて、完成した物件を引き渡して頂くのは、買主の当然の権利です。

もし、引渡し日に未完成である場合や補修事項がまだ直っていないにも関わらず、引渡し日が延ばせない場合には、引渡し後の工事や補修についてきちんと対応して頂けるように売主に一筆書いて頂くことをお勧め致します。

引越しの日程なども、もし余裕があれば引渡しの直後に行うのではなく、少し日程をもたせるとより良いかもしれませんね。補修すべき点が多くて、補修工事期間が長くなる場合には、引渡し日に間に合わないということもありえるからです。

居住しながら補修工事を続けている住宅を見たこともありますが、居住者はいろいろと気を遣って大変そうでした。出かけることもできず、職人が何度も出入りして、自分の家なのに自分の家ではないような状況です。やはり、引渡し前に補修間で終えて頂くスケジュールを組みたいものです。

物件探しから引渡しまでの注意点は、以上です。人生にそうあることではない大きな買い物ですので、出来るだけ正しい知識と情報を得て、自衛しましょう。

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