バルコニー(ベランダ)の工事の注意点とチェックポイントです。バルコニーといえば、やはり防水に関する工事が注意を必要とします。
チェックポイントの1つは、床面の勾配が適切であるかどうかです。床の勾配は1/50以上ある必要があり、これ以下であれば雨水の滞留が心配されます。雨水が流れないと防水層の劣化が早まるなどして、漏水の一因となることもあります。
住宅検査をしてきたなかでは、この勾配が逆になっている(逆勾配)ことがありました。これでは雨が吹き込んだ際に雨水が室内側へ集まってきてしまいます。ちなみに、床面に凹凸があると全体として勾配がとれていても雨水が溜まりやすいのでチェックしておいた方が良いでしょう。
また、排水溝についても1/100以上の勾配があるかチェックしなければなりません(上写真は排水溝の勾配の測定の様子)。雨水が排水口の方へと流れるように勾配が必要です。この排水溝の勾配不足も多いですので、注意が必要です。
排水口付近には、オーバーフロー管(左写真の丸い穴)がありますが(ないこともある)、これは雨水の量が多くて排水口からの排出容量を超えるほどである場合などに、雨水がこのオーバーフロー管から流れるようにしているものです。
オーバーフロー管の位置(高さ)が室内側(サッシ枠の下側)の壁の防水層の立上りよりも低い位置になっているかも確認しましょう。
防水層の施工前には、下地材の状況も確認しておくのが理想です。下地材の構造用合板が雨で濡れた状態で防水層を施工してしまうと、防水層が早期に浮いてしまうなどして漏水の原因にもなりかねませんので、防水層の施工前に確認しておきましょう。
他の大事なチェックポイントは、壁面の防水層の立上りの高さです。腰壁(バルコニーの外側の壁)の立上り部分は、250mm以上の高さで防水層が施工されているかどうかです。
そして、バルコニーの室内側(サッシ枠の下側)の壁については、120mm以上の高さがあるかどうかをチェックします。この室内側(サッシ枠の下側)の壁については、サッシ枠との境の施工を丁寧にしていないとそこから雨水が侵入して雨漏りになってしまう事例がよくあるので、特に注意したいところです。
バルコニーの床が下階の屋根になっている場合がよく見られますが、この部分のFRP防水には防火性能が必要になります。建築基準法上の屋根扱いになりますので、屋根防火(飛び火)に関する法的な基準を満たす構造とした認定品を使用していることを確認してください。認定番号はDR-○○○○という番号で表記されます。
防水層が認定品を使用しない場合には、その下地にケイ酸カルシウム板等の不燃材料を張る場合と、モルタル塗りを施工する場合があります。これにより屋根としての防火性能を確保します。
バルコニーの防水工事が適切にされていないと、雨漏りが起こってしまうことが多いので、大事な工程であると言えます。
チェックポイント
- 床の勾配が1/50以上あるか
- 排水溝の勾配が1/100以上あるか
- 床面が平滑か(凹凸がないか)
- 腰壁の立上りの高さ
- サッシ枠下の立上りの高さ
- サッシ枠下の施工が丁寧か
- 排水溝の勾配
- 排水口(ドレイン)周りの補強
- オーバーフロー管の有無と位置