断熱工事は、その住宅の断熱性能に直接的にかかわる大事な工程ですが、同時に施工ミスが非常に多い工程でもありますので、しっかりチェックしなければなりません。断熱工事は住宅の検査を行っていると、最も指摘数が多い工程でもあります。
もっとも基本といえるチェックポイントは、隙間なく断熱材を施工しているかどうかという点です。断熱材は隙間があると性能を十分に発揮することができないからです。

外壁面の断熱材では、隙間なく施工したつもりであっても、少し時間が経過すると断熱材がずれ下がってくることもあります。

床下の断熱材も同様に垂れ下がったり、完全に落ちてしまっているケースも多く見かけます。
こういった問題は、建築中にチェックして指摘されることも多いですが、新築住宅の完成物件や中古住宅の検査の際にもよく見られます。
外壁面の断熱材でグラスウールの場合は、その耳の部分を重ねて施工することが良いと考えられており、重ねているかチェックしておくと良いでしょう。断熱材はタッカーでとめられていますが、適切な箇所でとめているかもチェックしなければなりません。
断熱材が縦方向で継ぎ目ができる場合には、防湿シートの隙間ができないように防湿テープで補修しているか確認が必要です。同様に、筋交いのところで断熱材を分断している場合にも隙間が生じないようにしているかチェックが必要です。
断熱材が発砲ウレタンの場合には、その吹付け厚さをチェックしなければなりません。
検査をしていますと、サッシなどの開口部の上など、狭いスペースの断熱材の設置忘れが少なくないので、確認しておきたいチェックポイントです。

他にも、コンセントボックスなどを後から取り付けた際に、その周りに断熱材との隙間が生じることも多く、よく指摘にあがりますので注意が必要です。サッシ周りやスリーブ周りにも隙間が出来やすいので、注意してチェックしておく必要があります。
小屋裏の断熱材は、天井断熱と屋根断熱の場合がありますが、いずれにしても断熱材の隙間がないかしっかりチェックしておかねばなりません。
天井断熱の場合は、天井板の上に敷き詰められている断熱材に隙間や乱れがないか確認します。屋根断熱が採用されている場合には、小屋裏の妻側の壁の断熱材の施工を忘れている現場を建築中の住宅検査で何度も指摘されていますので、大事なチェックポイントと言えるでしょう。
また、床下の断熱材は後から落下しやすいので、建築中だけに限らずに完成時にも確認し、できれば入居後も定期的な確認をした方が良いでしょう。
チェックポイント
外壁面の断熱材
- 断熱材の隙間がないか
- グラスウール:外壁面の断熱材が下に垂れ下がっていないか
- グラスウール:断熱材の耳を重ねてとめているか
- 発砲ウレタン:厚さが仕様通りか
- コンセント周り等の隙間がないか
- 配管等の貫通部周りの隙間がないか
小屋裏の断熱材
- 天井断熱:断熱材の隙間がないか
- 屋根断熱:断熱材の隙間がないか、妻側の壁にも施工されているか
床下の断熱材
- 断熱材の隙間がないか
- 断熱材が垂れ下がったり落ちたりしていないか