土台敷きの工程での注意点やチェックポイントです。
最初のチェックポイントは、搬入された材料(土台や大引)とプレカット図の照合です。土台等の材料にはプレカット工場で記号(刻印のようなもの)が記されているので、これとプレカット図に誤りがないか確認していくことになります。
ただ、施工に直接的に役立てる施工図でもあるこのプレカット図は、記号や作図上での約束事が多く専門性が高いため、一般の方が見て理解するのは難しいです。基礎工事やこの土台敷きから後の構造部分の工程についてだけでも、せめて第三者の専門家に検査してもらうことも考慮してください。特に、建売住宅などの工事監理が疎かになっている現場では要注意です。
そして、搬入された土台や大引などの材料に欠損がないかも確認しなければなりません。プレカット工場での加工物ですが、搬入されるまでの過程で一部が欠けてしまうこともあるからです。工場で機械が作っているから安心だと誤解している人もいますが、常に人が関係していることを頭に入れておきましょう。
アネストでの検査事例では、大手ハウスメーカーの現場でも、建築資材の搬入段階での指摘は意外と多く、出荷時や搬入時のチェック体制に問題があるかもしれません。
次に、基礎の天端に打たれた墨の位置が適切であるか確認しましょう。このときに、アンカーボルトが曲がっていないか、大きく斜めになっていないかもチェックしておき、その確認結果次第では対処を検討しなければなりません。建築中の検査でも、この工程でアンカーボルトに指摘があがることは多いです。
アンカーボルトについては、基礎コンクリートの打設時などにも確認しているものの、ここでも位置を図面と照合しておきましょう。位置がずれている場合などには、その影響(構造的な問題の有無)を検討し、問題あるようであれば対処方法を考えなければなりません。
アンカーボルトは設置前(工程がここではありませんが)に長さも確認しておきます。
アンカーボルトはチェック(検査)すべき点が多くわかりにくいので、以下の図とともに説明します。以下は建築中の住宅を横から見た図です。
アンカーボルトにはいくつか約束事(チェックポイント)があります。
- 埋め込み長さは2階建ての場合L=240mm以上、3階建ての場合L=360mm以上。※埋め込み長さは上手の右下付近を参照
- 位置は土台の中心とする。
- 柱の間隔が広いときには、アンカーボルトの間隔は2階建ての場合@2700mm以内、3階建ての場合@1800mm以内とする。
- アンカーボルトが傾いていない事、ねじ山にモルタルが付着していない事を確認する。
- アンカーボルトが大きく傾いた場合、又は筋交い(筋違い)金物及びホールダウン金物と干渉する場合には干渉するアンカーボルトは使用しないものとします。この時には、後打ちアンカーを追加します。後打ちアンカーとは、基礎コンクリートに孔を空けて接着材が入ったカプセルを挿入し、アンカーボルトを打ち込むとカプセルが割れて接着力が発揮され、短時間で固着する方法です。
- アンカーボルトの頂部高さは、ナットを締めた後にねじ山が3山以上確保する高さとする。
- 土台の継手がある箇所は、アンカーボルトを仕口の上部(男木)側に設ける事。継手とは土台と土台の接続部分です。
- 柱とアンカーボルトの距離は柱芯から200mm以内とする。
また、土台や大引の位置も図面と照合しましょう。位置が合っていても土台が基礎から大きくずれている場合などには、状況に応じて対処方法を検討しなければなりません。
最後に、土台や大引の水平、高さ、巾もチェックしておくようにしましょう。
チェックポイント
- 搬入された土台・大引とプレカット図の照合
- 墨芯が適切か
- アンカーボルトの曲がり・歪み
- アンカーボルトの位置
- 土台・大引の位置
- 土台・大引の高さ・水平
- 基礎との取り合い(ずれ)
- 基礎との取り合い(レベル)
- 土台継手とナットのかかり方、締付け力
- 仕口位置
- 継手位置
- 接合方法
- 接合状態
- 金物の状態
- 金物の認定マーク
- 防腐措置
- 防蟻措置(塗布回数)
- 防蟻措置(塗布範囲)
- 含水率