地盤調査のチェックポイントです。
地盤調査は、1区画の敷地のなかで1ヶ所だけで測定するのではなく、数か所のポイントで行います。土地の大きさや形状にもよりますが、一般的な住宅の敷地であれば5か所で行うことが多いです。建物の4隅と中心部分で5か所になります。
1つの区画のなかでも、計測ポイントによって地盤の固さが異なることは少なくありません。道路側と敷地の奥では全く異なる結果がでることもあるので、地盤調査は適切な箇所と数の計測を行うが大事です。
その計測結果を地盤調査報告書で確認しなければなりません。各測定ポイントごとに、地面から下方向へと順に地質やN値が表示されているはずです。
地質については、粘土は注意が必要なことが多く、砂質土・礫質土は比較的固い地盤です。また、関東ローム層という言葉を聞かれた方も多いと思いますが、こちらも比較的良好な地盤です。
しかし、こういった地質だけでは判断できないので、後述するN値やその他の条件も考慮して判断しなければなりません。
住宅建築前の地盤調査では、スウェーデン式サウンディング試験が用いられることが多いのですが、その方法はスクリューを回しながら地中へと貫入させていき、その荷重や回転数から地盤の固さを調査しています。
しかし、非常に地盤が軟弱である敷地では、スクリューを回転させずとも、その重さだけでどんどんスクリューが貫入してしまうこともあります。このような敷地で住宅を建築するのであれば、しっかりした地盤補強を行うことが前提となります。
もちろん、回転させなければスクリューが沈まないなら大丈夫というわけではありません。地盤調査報告書では、N値(えぬち)をチェックする必要があります。N値とは、地盤の強さを表す数値で、これを参考にして基礎の工法(ベタ基礎or布基礎)を決めたり、地盤補強工事の有無や種類を決めたりします。
N値が部分的に高くとも、そのすぐ真下の地盤が弱ければ安心できません。そのような場合には、しっかりした支持地盤のあるところまで地盤改良(柱状改良や鋼管杭で補強)することが必要となることもあります。
1つの参考としては、地盤の地耐力が20kN/㎡未満の場合や不同沈下の恐れがある場合には、鋼管杭工法のような地盤補強工事を考えるようにしたいところです。補強方法については、「地盤改良工事(地盤補強工事)表層改良工法・柱状改良工法・鋼管杭工法」もご覧ください。
一般的に、布基礎よりもベタ基礎が丈夫であると言われていますが(諸条件による)、地耐力が30kN/㎡以上であれば、ベタ基礎ではなく布基礎を採用しても構いません。しかし、最近の新築住宅の多くはベタ基礎を採用しています。
このN値は参考になりますが、これだけで判断することもできません。前述した地質もそうですが、地盤の判断は簡単ではないので、売主や施工会社に説明を求め、それが納得できない場合は専門家に相談することも考えましょう。
地盤改良工事のチェックポイントは、一般の方には難しいです。
柱状改良や鋼管杭工法であれば、その柱の位置が基礎コンクリートの立上りの真下部分にあることが大事です。建物の重さを杭へ伝えるためです。ベタ基礎であれば底盤部分がありますが、布基礎の場合はより慎重に工事して欲しいところです。
杭の大きさ(径・長さなど)や杭の頭の処理の仕方は確認しないといけません。表層改良であれば、改良する深さや範囲の確認が必要です。
また、地盤補強をする場合、木造住宅であれば柱状改良か表層改良を採用することが多いです。しかし、大手ハウスメーカーでは、軟弱地盤である場合は、安全側を取って鋼管杭工法で地盤補強工事していることも多いです。
いずれにしても、どのような地盤補強工事を行ったか把握するためにも、地盤改良工事を行った場合には、必ず地盤改良工事報告書を施工者からもらうようにしましょう。
< チェックポイント >
○地盤調査
- 地盤調査を敷地の大きさや形状・建物プランに適した箇所・数で行っているか
- 地質の種類
- 近隣条件(近くに河川・池がないか)
- 地歴(以前に田・畑でなかったか)
- 現況目視(解体前の建物や塀に地盤沈下に起因する症状がないか)
- 現況目視(近隣に上記と同じ症状がないか)
- 資料・ヒアリング調査(敷地内に盛土がないか)
○地盤改良・地盤補強工事
- 造成状態
- 杭の径
- 杭の長さ
- 杭の深さ
- 杭の位置
- 杭の継手処理
- 杭頭処理
- 柱状改良の径
- 柱状改良の深さ
- 柱状改良の位置
- 表層改良の深さ
- 表層改良の範囲