基礎の底盤部分のコンクリート打設のときのチェックポイントを紹介します。コンクリート打設が大事であるのは言うまでもありません。
まず、外周部の型枠を設定したところで、型枠の固定状況や乱れなく並んでいるか確認します。型枠がバタついているようであれば、設置し直すなどの対処が必要です。また、その型枠にコンクリートやゴミ等の付着物があると、打設したコンクリートに影響することがあるので、型枠の搬入時やコンクリート打設前に確認しておかなければなりません。もし、付着物があれば、しっかり清掃するように指示しましょう。
次に、コンクリートの確認ですが、コンクリートは出荷伝票の配合内容を確認する必要があります。打設よりも前の計画段階で作成する配合計画書があれば確認したいところですが、大手ハウスメーカー以外ではこの書面を作成していることは少ないでしょう。JIS規格のコンクリートであるかチェックしましょう。 生コンが現場へ搬入されると受入検査が行われます。この受入検査の結果と配合計画書の内容に相違ないか確認が必要です。しかし、小さな工務店や建売住宅などでは、この受入検査がないことが多いです。以下に、受入検査をいくつかご紹介します。
スランプ試験は生コンクリートの軟らかさを測定する試験で、スランプコーンと呼ばれる容器に生コンクリートを詰めて裏返した後に抜き取って、生コンクリートの頂部の高さが何cm下がったかを測定します。一般的には15cm~18cmです。
コンクリートには打設時の作業性の向上や耐久性向上の為にAE剤又はAE減水剤と呼ばれる混和剤を使用します。空気量試験は専用の測定容器に生コンクリートを詰めてコンクリートの空気量を測ります。判定基準は4.5%±1.5%です。
生コンクリートの中に、ある程度以上の塩化物が含まれていると鉄筋がさび易くなります。これを測定するのが塩化物試験(カンタブと呼ばれる)です。規制値は0.3kg/?で、通常は専用の試験体をコンクリートに挿入して測定します。
圧縮強度試験は、専用の容器に決められた方法で生コンクリートを詰めて試験用供試体を製作します。通常は6本程度で、製作して打設日から4週後に試験場で圧縮試験を行います。これにより設計のコンクリート強度を発生している事を確認します。
ここまで書いてしまいますと、あまりに専門的で一般の方にはわからなくなってしまいますね。ただ、繰り返しとなりますが、このような受入検査をしない現場が多い(特に木造住宅)ので、せめてコンクリート打設の様子や出荷伝票は可能な範囲で専門家に診てもらうことも考えましょう。
コンクリートの打設時に立ち会うことができれば、打設時にバイブレータを使用して締め固めしているか確認したいところです。バイブレータの使用法が適切かもチェックしましょう。注意したいのは1ヶ所あたりの時間です。概ね5~15秒で約60cm間隔が良いとされています。挿入時間が長すぎるとコンクリートの骨材(砂利と砂)が分離する恐れがあり、ジャンカや空隙の原因になってしまいます。
打設し終えたら、コンクリート表面をよく観察して、ジャンカやクラック(ひび割れ)がないか確認しておきましょう。
ジャンカとは豆板とも呼ばれています。コンクリートの表面に空隙ができたもので、セメントと砂利が分離するなどしてできます。コンクリートの締め固めの不足などが原因として考えられます。多くの検査実績のなかで、問題とされるレベルのジャンカが見られることが何度もありましたので、特に注意が必要な点です。
コールドジョイントとは、コンクリートを打設する際に時間がかかりすぎるなどして、先に打設したコンクリートと後から打設したコンクリートが一体化せず、打ち重ねた部分に不具合が生じているものです。一般の住宅ではこれが問題となることはあまりありません。
もし、上記のような症状が見られた時には、施工者に説明を求め、異常があるならば補修等の対応をして頂くようにしましょう。
チェックポイント
型枠(基礎の外周部)
- 設置状況(固定・並びに乱れがないか)
- ゴミ等の付着物
コンクリート
- JIS規格のコンクリートか
- バイブレータでしっかり締め固めをしているか
- クラック(ひび割れ)
- ジャンカ
- コールドジョイント
- 出荷伝票
- 配合計画書